「須賀敦子全集1」須賀敦子

Catégories: / /

 [amazon]
須賀敦子さんの全集の文庫版第1巻。まだ7巻が出てないし、先日出たばかりの3巻はまだ買ってないし、読むのがもったいないような気がしてしばらく寝かせてたんですけど、読まない方がもったいないので(笑)、ようやく読み始めました。この中に収められてるのは、「ミラノ霧の風景」「コルシア書店の仲間たち」「旅のあいまに」の3つ。「コルシア書店の仲間たち」だけは既読。(感想) 「ミラノ霧の風景」「コルシア書店の仲間たち」は独立した本にもなっているのだけど、「旅のあいまに」は全集でしか読めない作品なのかな? これはミセス誌に連載されていたエッセイ。

そして「ミラノ 霧の風景」は、須賀さんがイタリアにいた13年間の日々や知り合った友人たちとのエピソードが綴られてるエッセイです。これがどうやら須賀さんのデビュー作だったようですね。

乾燥した東京の空には1年に1度あるかないかだけれど、ほんとうにまれに霧が出ることがある。夜、仕事を終えて外に出たときに、霧がかかっていると、あ、この匂いは知ってる、と思う。10年以上暮らしたミラノの風物でなにがいちばんなつかしいかと聞かれたら、私は即座に「霧」とこたえるだろう。

という冒頭の文章からしてとても印象的。ロンドンの霧も目じゃないほどのミラノの霧は、今はそれほどひどくなくなってしまったそうなんですけど、ミラノに霧が出るなんて全然知らなかったな。私が以前イタリアに行ったのは10月だったし、まだ霧なんて全然なかったし。先にこの本を読んでいたら、11月に行きたいと思ったかしら。でも飛行機がちゃんと降りてくれなきゃ困るから、やっぱりそういうのは旅行者には向いてないですね。(笑)
読んでいて一番印象に残るのは、須賀さんのしなやかな強さ。自分自身をしっかり持ってらっしゃること。日本にいてもイタリアにいてもどこにいても、周囲の環境に呑まれてしまうことなしに、しなやかに須賀さんらしさを持ってらしたのでしょうね。この本の中にも、普段親しくしてるイタリア人たちが急に遠い存在に感じられてしまったというエピソードが書かれているし、ここには書かれていないような嫌な思いもきっと色々とされたのだろうなとは思うんですが...。日本文学をイタリア語に翻訳する仕事で知り合った編集者のセルジョや、ご主人と知り合うきっかけとなったマリア、コルシア書店で精力的に頑張っていたガッティなど、須賀さんが大切に思うお友達がそれぞれにくっきりと鮮やかに描かれています。読んでいて心地いいとはこのことなのかしら。と思ってしまうぐらい没頭してしまいました。しばらくこの文章に浸ろうと思います。(河出文庫)


で、次は2巻を読もうと思ったのだけど!
手に取ってみたら、本のカバーは確かに2巻になってるのに、中身はなんと1巻でした...。もう買ったお店のレシートなんてないんですけどぉ。河出書房に言ったら、取り替えてもらえるものでしょうか... がっくり。2巻に入ってる「ヴェネツィアの宿」も「トリエステの坂道」も既読なので、とりあえず後回しにしようっと。


+シリーズ既刊の感想+
「須賀敦子全集1」須賀敦子
「須賀敦子全集2」須賀敦子
「須賀敦子全集3」須賀敦子
「須賀敦子全集4」須賀敦子
「須賀敦子全集5」須賀敦子
「須賀敦子全集6」須賀敦子
「須賀敦子全集7」須賀敦子
「須賀敦子全集8」須賀敦子

+既読の須賀敦子作品の感想+
「トリエステの坂道」須賀敦子
「本に読まれて」須賀敦子
「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」須賀敦子
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子

+既読の須賀敦子翻訳作品の感想+
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「ある家族の会話」ナタリア・ギンズブルグ

| | commentaire(4) | trackback(0)

Trackbacks(0)

「須賀敦子全集1」須賀敦子 へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

Commentaires(4)

こんばんわ。全集出ていたんですね。文庫だから買いやすそうですね。
須賀敦子さんの『トリエステの坂道』がとっても好きで良く読んでました。
>>本のカバーは確かに2巻になってるのに、中身はなんと1巻でした…
あらら。それは河出さんに言えば取り替えてくれるんじゃないですかねえ。多分。私もレシートはすぐ捨てちゃいますが、こういうとき困りますね(^▽^;)

こんにちは~。
そうなんですよ、文庫の全集だから揃えやすくて嬉しいです。場所もそれほど取らないですし。
そりゃ単行本の方がきっと素敵なんでしょうけどね。こちらの表紙もなかなか雰囲気がありますしね。

うーん、やっぱり河出書房さんに直接言った方がいいですよねえ。
もう全然気づいてなかったので、昨日はほんとびっくりでした。

お久しぶりです~。
霧については思うことがいろいろ。須賀さんのように上手く表現することはできないけど。
私の住んでるところ(ミラノから南に車で1時間半くらい)も霧がスゴイですよ。
この辺りはポー河を中心に開けた広大な平野なので、11月くらいから2月頃まで
毎日とは言わずとも、だいたい朝と夕方は必ず深い霧に包まれてます。
この平野の先っぽのトリノなども同じような状況です。
じめじめして鬱陶しいだけでなく、もう指の先が見えないくらいだから車の事故が多くて!
この地で生まれ育った夫は霧が上ると半分本気、半分冗談で
「なんと情緒があるんだ~」とか言ってますけどね。うーん。
その中で生活するのにはちょっと不便。でも、窓から乳白色の霧に包まれた
ミラノの旧市街の町並みなど眺める分には確かに絵画的です。
そこに大量の排気ガスが含まれていることを考えるとうっとり気分も萎えますが。
霧の時期に北イタリアへいらっしゃるときは、帽子もお忘れなくね~。
でないと、髪の毛までじとじとして大変なことになっちゃうので(涙)。

しかし、カバーと中身が違うって。がっくりですね。かわいそう・・・。

ねるさん、こんにちは~。
ああ、北イタリアの霧は今でもすごいんですね。
「深い霧」というと、なんだかとても詩的なイメージなんですが
日本にいると霧なんて滅多に遭うことがないから、指の先が見えないほどの濃霧は、なかなか想像ができなくて!
そっか、結局のところ水分だから、じめじめしてるんですね。帽子が必需品… と。
でも、そんな霧でも車に乗っちゃうというのがすっごいですねえ。
地元の人は慣れてるんでしょうけど、対向車のヘッドライトだって見えないですよね。怖いなあ。
以前イタリアに行った時は、もっぱら汽車とレンタカーで移動してたので、やっぱり霧が出なくて良かったです。
いや、霧に包まれた絵画的な風景も、窓から眺めたかったですが~。(笑)

カバーと中身が違うなんて、もうびっくりでした!
でも版元さんに言ったら取り替えてくれるそうで、昨日送ったんです。近々無事に読めそうです♪

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.