「タルト・タタンの夢」近藤史恵

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ビストロ・パ・マルは、料理長の三舟、料理人の志村、ソムリエの金子ゆき、ギャルソンの高築智行の4人が切り盛りする小さなフレンチ・レストラン。値段も手頃で、気取らないフランス家庭料理を楽しめる店には常連も多く、カウンター席7つテーブル5つという小さな店は、すぐに予約でいっぱいになってしまうほど。そんなある日やって来たのは、常連客の西田。連れていたのは、最近婚約したという華やかな美女。幸せそうな2人に和やかな雰囲気で食事が進みます。しかしそれから2週間ほど経ったある日、再び現れた西田はどうやら体調が悪いらしくて... という表題作「タルト・タタンの夢」他全7編。小さなビストロが舞台の連作短編集です。

基本的な流れとしては、ビストロにやって来たお客の抱える食べ物絡みの悩みや疑問、問題なんかを、三舟シェフが美味しいお料理と共に鮮やかに解決してしまうというもの。読む前は、近藤史恵さんまでもが今はやりの(?)美味しいミステリを書いてしまうのか...! と、ちょっぴり違和感だったんですけど、これが本当に美味しそうで! フレンチには日頃それほど興味のない私なんですが、強烈にフレンチレストランに行きたくなってしまうほどでした~。しかも近藤史恵さんのお料理に関する薀蓄の入れ方も、いつものことながら、ほんと絶妙なんですよね。
ミステリとしてはあまり派手ではないというか、どちらかといえば地味のような気もするんですけど、でもしっかりとお料理絡みの謎だし、お客さんがシェフの美味しいお料理でおなかもいっぱい、心も満足、となるのが良かったです。きっとそうなんだろうなとは思っても、なぜというところまでは分からない謎も結構あったので、シンプルな謎解きが鮮やかに感じられました。私が好きだったのは、夫婦のことはその夫婦にしか分からないんだなと実感させられた「ロニョン・ド・ヴォーの決意」。謎解きの時のシェフの言葉が好きなんです。そしてトリックに単純にびっくりさせられたのは、「理不尽な酔っぱらい」。まさかそんなことができるとは...!(驚)
読んでるとおなかもすくんですけど、それ以上にシェフ特製のヴァン・ショー(ホットワイン)が飲みたくなっちゃいます。読後感がとても暖かい連作短編集。これはぜひ続きも読みたいです~。(東京創元社)


+シリーズ既刊の感想+
「タルト・タタンの夢」近藤史恵
「ヴァン・ショーをあなたに」近藤史恵

+既読の近藤史恵作品の感想+
「モップの精は深夜現れる」近藤史恵
「賢者はベンチで思索する」近藤史恵
「南方署強行犯係 黄泉路の犬」近藤史恵
「にわか大根」近藤史恵
「ふたつめの月」近藤史恵
「モップの魔女は呪文を知ってる」近藤史恵
「サクリファイス」近藤史恵
「寒椿ゆれる」近藤史恵
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ) オススメ! カウンター七席、テーブル五つ。下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのシェ... » Lire la suite

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Commentaires(6)

『タルト・タタンの夢』読了ですねー。
私はまだ積んであります~(^^;)。でも、本当に美味しそうなんですね♪これはお腹いっぱいにして読まねば!!
表紙も素敵なんですよねー。私はこんな感じも好みです(^^)。
そうそう、私の祖母が最近読書にはまっています。
といっても、文庫サイズの文字は長時間目で追うと疲れてしまうらしく、「大きい字の本ない?」といわれ、ハードカバー&新書サイズをいろいろ見繕って貸し出しているんですよ。
最初に貸した田中啓文さんの「落下する緑」がすごく好評で(82歳なのに、すごく”ハイカラ”だと妙に感心しちゃいました・笑)、今は近藤さんの『賢者はベンチで思索する』『ふたつめの月』『にわか大根』を貸し出し中です。
そのうち2冊はもう読んでしまったそうで、「この作家さんの他の本はないの?」と聞かれてしまいました~。

追加で『桜姫』それから『モノレールねこ』『最後の願い』『卵の緒』も準備しています。キリコちゃんシリーズも文字サイズを確認して貸し出そうと思います(笑)近藤さん、幅広く支持が広がってますよー。『タルト・タタンの夢』も私より先に読んでもらおうかしら♪

彩水仙さん、こんにちは。読了しましたよ~。
ほんと美味しそうでした!
おなかがいっぱいの状態で読まないとほんとキケンです、この本は。(笑)
うんうん、表紙もいいですよね。これは髪型といい雰囲気といい、三舟シェフの絵だと思います。^^

お祖母さまが読書にハマってらっしゃるとは、素敵ですね。しかもお孫さんと読む本を共有できるとは~。
あ、でも「落下する緑」を貸すお孫さんというのも、なかなかやるなあ!って思いますよ!
私は未読ですが、だって、田中啓文さんでしょう…(どうやらかなり先入観があるらしい・笑)
近藤史恵さんも気に入ってらっしゃるんですね。うふふ、ファンが増えて嬉しいなあ。
「最後の願い」や「卵の緒」も気に入ってもらえるといいですね~。
「タルト・タタンの夢」を一緒に読んで、一緒にフレンチレストランに行くというのも素敵かも♪

こんばんわ。
久々に近藤さん読みました♪
これはあったかくて、まさにいい味でしたね。
謎解きも面白かったですし、近藤さんらしくスパイシーな部分も好きでした。
「割り切れないチョコレート」は、ほろ苦かったですね。

ia.さん、こんにちは~。
ほんと美味しそうでしたよね。
あれからヴァンショーが飲みたくて飲みたくて。(笑)
謎解きも、やや小粒ながらも面白かったし。
あんなビストロ、行ってみたいです~。

こんばんわ。TBさせていただきました。
是非とも続編を出してほしい作品ですね。
フレンチは私は食した事がないので、料理は全然分からなかったのですが^^;
ストーリーは本当に面白かったです。
シェフがいい味出していますよね。
私もこんなビストロ行ってみたいです!

苗坊さん、こんにちは~。
TBありがとうございます。
フレンチは確かに慣れてないと分かりにくいですよね。
私は先日タルト・タタンが売られてるのを見て
「おお、これが…!」と思いましたよ。
甘いものはあんまり食べないので、よく知らなくて。(^^ゞ
その時はダメだったんですけど、食べてみたかったです~。
ほんとこんなビストロ行ってみたいですよね。
初のフレンチ体験にもぴったりですね。^^

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