「須賀敦子全集8」須賀敦子

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須賀敦子全集最終巻。ここに収められているのは、両親や後に夫となるペッピーノに宛てた書簡集、『聖心(みこころ)の使徒』所収のエッセイ、「荒野の師父らのことば」、未定稿「アルザスの曲りくねった道」とそのノート、そして年譜。

両親、特にお母さんへの手紙は、全体を通してとても明るいトーン。手紙はかなりの頻度で出されていたようで、日常生活のこまごまとしたことが色々と書かれています。でも、「忙しい毎日だけど、元気なので心配しないで」という思いがとても強くて、それだけに、逆にかなり無理して頑張っていたのではないかと思ってしまうほど。ちょっぴり痛々しかったです...。そしてそんな両親への手紙と対照的なのが、夫となるペッピーノへの手紙。こちらには素直な心情が吐露されていて、ペッピーノに対する信頼の大きさがすごく伝わってきます。抑えられた情熱が文面からあふれ出してきそう、なんて思いながら読んでいたら、徐々に2人の間で愛情が高まり、そして深まっていく様子が手に取るように... きゃっ。
そして残念で堪らなくなってしまったのは、最晩年に構想中だった小説「アルザスの曲りくねった道」が、結局未完のままに終わってしまったこと。ああ、これは完成された作品を読みたかったなあー...。

時代こそ少しズレてますが、うちの母も須賀さんと同じ「丘の上の学校」にいたので、須賀さんのこと知ってたりしたのかしら、少なくとも共通の知人は結構いるはず、なんて思いながら読んでいたら、いきなり私の友達のお祖父さんの名前が登場してびっくり。という私にとっても「丘の上の学校」は母校なので、そこで一緒だった友達。そのお祖父さんは既に亡くなってるので、もう須賀さんの話を聞くことはできないのだけど。
そんなこんなもあって、須賀さんの少女時代~大学時代のエピソードが書かれている「遠い朝の本たち」や「ヴェネツィアの宿」には、妙に思いいれがあったりします。今回は、普段なら読み飛ばしてしまいそうな年譜までじっくりと読んでしまいましたー。もしかしたら私が大学の時に入っていた寮に、かつて須賀さんもいらしたのかしら? なんてちょっとミーハー興味混じりですが。^^; (河出文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「須賀敦子全集1」須賀敦子
「須賀敦子全集2」須賀敦子
「須賀敦子全集3」須賀敦子
「須賀敦子全集4」須賀敦子
「須賀敦子全集5」須賀敦子
「須賀敦子全集6」須賀敦子
「須賀敦子全集7」須賀敦子
「須賀敦子全集8」須賀敦子

+既読の須賀敦子作品の感想+
「トリエステの坂道」須賀敦子
「本に読まれて」須賀敦子
「ヴェネツィアの宿」「コルシア書店の仲間たち」須賀敦子
「こうちゃん」須賀敦子・酒井駒子

+既読の須賀敦子翻訳作品の感想+
「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「ある家族の会話」ナタリア・ギンズブルグ

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