「楽昌珠」森福都

Catégories: / /

 [amazon]
やり場のない怒りを抱えて家を飛び出し、粗末な小船を操っていた二郎が、一羽の翡翠に導かれるようにして辿り着いた場所は、まるで桃源郷を思わせるような満開の桃林。そしてその桃林で、10年ぶりに幼馴染だった七娘と小妹と再会します。七娘は金色の毛の猿に、小妹は白虎にそれぞれ導かれてこの地にやって来たのです... という「楽昌珠」他全3編の連作短編集。

簡単に言ってしまうと、久しぶりに再会した幼馴染たちが、酒を酌み交わしながら宴を囲んでいるうちにふと寝入ってしまい、夢とは思えないほどリアルな夢を見るという話。この夢の中では、科挙に受かって立身出世をしたかったという二郎の夢が叶っていて、唐の武則天の時代の権謀術数渦巻く宮中にいるし、現実の世界では怪我をしていたはずの七娘はピンピンしてるし、小娘が妓楼に売られるなんてこともないんですよね。3人の名前も年齢も、桃林と夢の中では違うし、3人の関係だって全然幼馴染じゃないんです。この宮中でのドロドロとした話が面白い! 桃林に元々現実味のあまりなかっただけに、本当はどちらが現実なのか分からなくなってしまうほど。久々に森福都さんらしい話だなあ~と嬉しくなっちゃう。この作品には高力士も登場するんですが、以前の作品の設定とはまた全然違っていて、ニヤリとしてしまうし。
...でもね。これで終わりなのでしょうか? あの桃林には、結局どういう意味があったの? あの3匹の動物たちは? 3人はただ現実逃避をしていただけだったのか、それとも...? 本としては、一応これで完結してしまったみたいなんですけど、これじゃあ話としてちゃんと落ちてないですよね。それともこれで本当に終わりなのかしら。ええと、最後のあの思わせぶりな書きっぷりは回想シーンじゃなくて、新しい環が始まったってことなんでしょうか。もしそうだったら、今度は実は弄玉があの有名な妃だった、なんていうのも楽しいと思うんですが...。
これはぜひとも続編をお願いしたいものです。このまま放り出されたら、落ち着かないわ~。(講談社)


+既読の森福都作品の感想+
「琥珀枕」森福都
「漆黒泉」森福都
「狐弟子」森福都
「楽昌珠」森福都
「肉屏風の密室」森福都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

| | commentaire(2) | trackback(1)

Trackbacks(1)

「楽昌珠」森福都 へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

森福都「楽昌珠」 とにかく借りて積んだままではいけないので、何とか読み終えました。 きっと3冊全部は無理だと思いますが、これは予約までしたので、さす... » Lire la suite

Commentaires(2)

お久しぶりです!
楽昌珠、先日ようやく私も読めました。
夢であるはずの世界の、宮廷ドロドロ劇がかなり面白かったですね。(笑)
ただ、やはりここで終わりではちょっと物足りない気もします・・・。
三匹の動物も、結局わからずじまいでしたし。
続編が読みたいですね!

遼さん、こんにちは~。
宮廷ドロドロ劇は、ほんと面白かったですよね。
それだけに最後にきちんと謎が明かされずに終わってしまったのが
とても惜しかったと思うのですが…
でももしこれで続編があるなら、問題なしですよね。(笑)
3匹の動物のことも気になるし、続きが読みたいです~。

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.