「北村薫のミステリびっくり箱」北村薫

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前身である探偵作家クラブの時代を含めて、60周年を迎えた日本推理作家協会の機関誌に残っている、かつて大作家たちが集まって行っていた様々な試みの記録。例えば江戸川乱歩と大下宇陀児の将棋対決や、甲賀流忍者を招いての忍術の講演並びに実演。北村薫氏がテーマを選んでそれらの試みを振り返りつつ、その件について詳しいゲストを呼んで鼎談を行うという企画の本です。

企画そのものも面白いし、その都度呼ばれるミステリ作家たちも豪華な顔ぶれ。しかも各界のプロと呼ばれる人間も招いての対談なので、素人だけでは分からない部分に触れられていたのが面白かったです~。例えば、将棋のプロが江戸川乱歩の棋譜を見れば、その性格がある程度想像できるといったような部分ですね。今の時代にも本物の忍者っているんだ!って、そんな初心者レベルでもびっくりさせられたし。(笑)
個人的にとても共感したのは、活字や朗読の「そのもののイメージを目の前に出されるのと違う」、受け取り手の想像力がつくり上げる部分が大きいという面こそが物語を豊かにしているという話。これは「声」の章での宮部さんとの対談の中で出てきた話なんですが、「落語」の章の、池波正太郎作品は一見するとスカスカなのに、会話と会話の間の情報を自分で補って刺激されるから、短編を読んでも長編を読んだような充実感がある、という話に繋がってきました。ほんと、そうなんですよね。
それから面白かったのは、落語とミステリは本来相反するものだという話。落語は観客が先に知っているからこそ笑えるものだから、観客が犯人を知らないと真剣に聞いてしまって笑える状態にはないわけで... だからミステリ的な新作は難しいのだそうです。全然考えたことなかったけど、そう言われてみると確かにそうだなあ。なるほどぉ。
作る側も楽しかっただろうな、なんて思っちゃう色々と凝った作りの本なんですけど、さらに付録としてCDが1枚ついてます。収められているのは、横溝正史原作の文士劇「びっくり箱殺人事件」のラジオ放送と、江戸川乱歩インタビュー、江戸川乱歩の歌う「城ヶ島の雨」、甲賀三郎自作朗読「荒野」の4つ。こんな貴重な音源が江戸川乱歩邸に残っていたとは! そして、こうしてCDで聞けるのがすごいです。(角川書店)


+既読の北村薫作品の感想+
「北村薫のミステリびっくり箱」北村薫
Livreに、これ以前のいくつかの作品の感想があります)

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