「星とトランペット」竹下文子

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野外音楽堂で夜空のコンサートが大成功に終わった夜、トランペット吹きのドンさんが出会ったのは不思議な男性。落し物でも探しているように、身体をかがめて地面をきょろきょろ見回しながら歩いているのです。その男性が拾っていたのは、ぴかぴかと光る小さな物。それは素晴らしい音楽が空気をぴりぴり震わせると、ぱらぱらと落ちてくるという星くずでした... という表題作「星とトランペット」他、全11編の短編集。

竹下文子さんの初めての短編集。ほとんどの作品が10代の頃に書かれたのだそうです。トランペットを吹くとパラパラと星くずの降ってくる夜空、思わず寝転んでみたくなるような、木漏れ日が差し込む林の中の小さな空き地、おだやかに打ち寄せる波にすべるように進んでくる船、麦藁帽子をかぶった途端に見えてくる懐かしい景色、フルート吹きを探しながらるるこが歩き回る様々な場所。どれも目の前に情景が広がるようですし、匂いや感触、そして吹いてくる風も感じられるよう。牧野鈴子さんのイラストもとてもよく似合ってて素敵~。
私が特に好きなのは、なぜか動物ばかりが本を買いに来る「タンポポ書店のお客さま」、トラックの運転手らしいヤスさんとキャベツを手にしたルリコ、そして未亡人のアイダ夫人、店主の4つの話が1つに溶け合う「いつもの店」。あと、「野のピアノ」に出てくる自動車事故で小指をなくしたピアニストの言葉も素敵でした。

ぼくにはまだ九本の指がある。この指で、やさしいやさしい曲をひこう。十本の指先に心を集めるのはむずかしかった。だけど、九本なら、すこしやさしいかもしれない。一本ぶんだけ、やさしいかもしれない。

上の画像は復刊された単行本。私が読んだのはこれと同じく牧野鈴子さんの表紙なんですが、講談社文庫版です。(講談社文庫)


+既読の竹下文子作品の感想+
「風町通信」竹下文子
「木苺通信」竹下文子
「星とトランペット」竹下文子
「窓のそばで」「星占師のいた街」竹下文子
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ

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