「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
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ずっと旅から旅へという生活の中で絵を描いてきたのに、ある時、何のへんてつもない窓につかまってしまい、パリのアパルトマンにしばらく住むことになった「ぼく」。それはルリユールじいさんとの出会いでした... 「ぼく」から「Y」へのパリからの手紙。
以前、「ルリユールおじさん」「絵描き」(感想)を読んだ時に、これも読みたいと思っていたのです。でも題名と表紙から勝手にエッセイだと思い込んでいたら! これも物語だったんですねー。元は理論社のホームページに連載されていたエッセイを改稿、未公開スケッチを加えて構成し直したものだそうなので、もしかしたら元々の語り手は、「ぼく」ではなくて伊勢英子さんだったのかもしれないのだけど。
私が読んだ「ルリユールおじさん」と「絵描き」はそれぞれ独立したお話だったのだけど、これを読むと、1つに繋がった大きな物語だったんだなあって分かります。そしてやっぱり「絵描き」に登場しているのは、伊勢英子さんご本人だったのだなということも。前の2冊に比べると、もちろん絵は少ないのだけど、文字から伝わってくるものも大きいわけで。何度も読み返したくなってしまいます。
古いアパルトマンのルリユールおじさんの家の壁は、どれも天井まで本でいっぱいで!
何百冊あるかわからないけど、すべて革張りで深紅や紺や緑の表紙、金箔の背の文字 -- 気が遠くなりそうなほど美しい本棚だった。
やっぱり私は職人を目指すべきだったんだわ... 芸術家ではなくて、あくまでも職人。ああ、こんなところで何をやってるんだろう。(平凡社)
+既読の伊勢英子作品の感想+
「ルリユールおじさん」「絵描き」いせひでこ
「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」伊勢英子
「マキちゃんの絵にっき」「ぶう」伊勢英子
「カザルスへの旅」伊勢英子
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「1000の風 1000のチェロ」「雲のてんらん会」いせひでこ
「空のひきだし」いせひでこ
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ
「大きな木のような人」「ルリユールおじさん」いせひでこ
「にいさん」いせひでこ
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