「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」「海駆ける騎士の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

Catégories: / /

  [amazon] [amazon]
買ったばかりの椅子を壊したせいで、夏休みまでおこずかいナシとされてしまったジェスとフランク。どうしてもお金を稼がなければならない2人は「仕返し有限会社」を作ろうと考えます。最初の客となったのは、いつも手下を引き連れて暴れまわっている悪がきのバスター・ネル。ヴァーノン・ウィルキンズに歯を折られたことを根に持っており、ヴァーノンの歯を持ってきてくれたらフランクがバスターに借りている10ペンスをチャラにすると言うのですが... という「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」。
そしてもう1つはヴィクトリア女王の時代の物語。父親が小作農からすっかり金持ちになったせいで、村の子供たちとは縁を切って近くに住む名門コーシー家の子供たちとつきあうように言われて、すっかり不満のセシリアとアレックス。そんなある晩、霧の中から突然2人のいる台所に現れてたのは、1人の見知らぬ男。男は全身ずぶ濡れながらも、歴史の教科書から抜け出てきたような見事な中世の騎士姿。主君殺しの疑いをかけられて追放の身となった、元ゲルン伯爵、ロバート・ハウフォース卿と名乗るのですが... という「海駆ける騎士の伝説」。

日本で出版されたのは去年と最近なんですが、どちらもダイアナ・ウィン・ジョーンズの初期の作品。「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」は、児童書として初めて世に出た作品のようですし、「海駆ける騎士の伝説」はデビュー前に書かれたという作品。今のダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品の複雑さはあまり好きじゃないんですけど、比較的ストレートな初期の作品には結構好きなのがあったりするんですよね。
「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」は、構成こそ比較的あっさりながらも容赦ない悪意の話で、かなり最近の作風に近かったかな... まあ、こういうのもいいんですけど、私の好みとはちょっと違う感じ。でも「海駆ける騎士の伝説」は、好みのツボど真ん中でした! なんといっても、異世界の雰囲気が中世騎士伝説の世界だし(笑)、ロバートという騎士が最初に現れた時の挿絵が! まるで「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンなんですよぅ。(私の中では、本と映画でちょっぴりイメージが別物のアラゴルンなんですが、この場合は映画の方のイメージです) 干満の差がとても大きくて、干潮時には危険な流砂が現れるという湾は、異世界への入り口としてすごく相応しく感じられたし、河口近くにあるという城の廃墟が残っている岩だらけの島も物語の始まりに相応しい場所。まあ、言ってしまえば、ダイアナ・ウィン・ジョーンズが書く必要もない歴史ロマンスのような雰囲気なんですけど... でもすごく好き。この世界の話がもっともっと読みたいな。この作品、元々はこの場所を舞台にした6部作のうちの1つで、他の5作は「長ったらしくて、とりとめがなかったので」処分されてしまい、この「海駆ける騎士の伝説」だけが残ったようなんですね。やっぱりこれは、あとの5作の存在があるからこその世界観の深み。でも他の作品も読んでみたかった~。(早川書房・東京創元社)


+既読のダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品の感想+
「魔法使いハウルと火の悪魔」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「アブダラの空飛ぶ絨毯」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「デイルマーク王国史」1~4 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「わたしが幽霊だった時」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法使いはだれだ」「クリストファーの魔法の旅」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔女と暮らせば」「トニーノの歌う魔法」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法がいっぱい」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
留守中に読んだ本(18冊)(「マライアおばさん」「七人の魔法使い」「時の町の伝説」の感想)
「呪われた首環の物語」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「花の魔法、白のドラゴン」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「いたずらロバート」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジーランド観光ガイド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バウンダーズ」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「星空から来た犬」「魔空の森ヘックスウッド」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「バビロンまでは何マイル」上下 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」「海駆ける騎士の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「うちの一階には鬼がいる!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法!魔法!魔法!」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ぼくとルークの一週間と一日」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「牢の中の貴婦人」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「魔法の館にやとわれて」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「キャットと魔法の卵」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
Livreに「ダークホルムの闇の君」「グリフィンの年」「九年目の魔法」の感想があります)

| | commentaire(2) | trackback(0)

Trackbacks(0)

「ウィルキンズの歯と呪いの魔法」「海駆ける騎士の伝説」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

Commentaires(2)

初めまして、お邪魔いたします。
私も「海駆ける騎士の伝説」のロバート、アラゴルンかと思いました!
デビュー前にこれだけ書けていたんだ…と感慨深くもありました。
他の5作が無いと、未消化の部分もあり…。是非ほかも読んでみたかったです。

ニゲラさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
わあ、ニゲラさんも、やっぱりアラゴルンかと思われましたか~。
そうですよね、きっと佐竹の頭の中にはアラゴルンが浮かんでいたに違いないです!(笑)

本当にデビュー前の作品とは思えませんでしたね。
だから一層、他の5作が残っていないのが惜しまれるのですが…。

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.