「バビロンに行きて歌え」池澤夏樹

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ベイルートで組織のためにしたはずの暗殺が、自分の暴走ということにされてしまい、仲間の手引きで船に密航して日本にやって来たターリク。東京で新しい他人名義のパスポートがもらえる手はずが整っているから、それを受け取って3ヶ月ほどほとぼりを冷ましてから帰国するように言われていたのですが、そのパスポートがターリクの手に渡る直前、入っていたアタッシュケースがひったくられてしまい...

中東レバノンの兵士だったターリクが、国にいられなくなって言葉も分からない日本に放り出されて、様々な人々の好意にすがりながら、なんとか自分の居場所を確保していくまでの物語。実際に戦火の中で生き延びてきただけあって、最初はものすごく危機感が強いですよね。実際、パスポートがない状態では不法滞在者としていつ国外に退去させられるか分からない状態なんですけど、常にアンテナを張って警戒し続けてるんです。そんなターリクの持つ緊迫感が、周囲の平和ずれした人々の中では浮いているように感じられるんですが、それだけにとても印象的だし、いろんなエピソードがターリクの視点というよりもむしろ周囲の人々の視点から描かれているので、いろんな視点が面白かったです。周囲の人たちも個性的な面々でしたしね。まあ、後半のあのトントン拍子っぷりは、どうなのか正直よく分からないんだけど...。前半の方が面白かったな。それにターリクの目に東京がバビロンのような華美な悪徳の都として映ったのかといえば、それもちょっと違うと思うんですよね。(新潮文庫)


+既読の池澤夏樹作品の感想+
「南の島のティオ」池澤夏樹
「スティル・ライフ」池澤夏樹
「真昼のプリニウス」池澤夏樹
「夏の朝の成層圏」池澤夏樹
「バビロンに行きて歌え」池澤夏樹
「神々の食」池澤夏樹

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Commentaires(2)

はじめまして。
トラックバックさせていただきました。

ぼくも中東と日本の温度差みたいなものを
楽しく読みましたが、バンド活動のところがよくわからなくって困りました。
あと教養のないせいか題名もいまいち理解できませんでした。

でも、池澤さんの作品というだけで楽しく読んでしまう自分が情けないというか、
彼のすごさを思い知ります。
あの複眼的な語りはとても面白かったので。

またこれからもお邪魔させてもらいそうです。
よろしくお願いします。

門外漢さん、こんにちは。はじめまして~。
トラックバック、ありがとうございます。

やっぱりあの温度差みたいなとこが楽しかったですね。
バンド活動は、やっぱりトントンと上手くいきすぎなんじゃ…
それはそれで、東京という場所の中身の空っぽさをあらわしてて
いいのかなあ、なんて思ったりもするのですが。(^^ゞ

でも、池澤さんの作品というだけで楽しく読んでしまうというの、
すごくよく分かります!
私はまだほんの数冊しか読んでないんですけど
まだまだ読もうと思ってますし~。

そちらにもお邪魔させていただきますね。
こちらこそよろしくお願いします。^^

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