「幼き子らよ、我がもとへ」上下 ピーター・トレメイン

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修道女フィデルマは、兄であるコルグーの呼び出しに応えて、モアン王国の王城・キャシェル城へ。叔父のカハル王が黄色疫病に倒れてコルグーが王位を継ぐのは時間の問題となっており、そんな時に王城に訪れたラーハン王の使者の強硬な要求にコルグーは困り果てていました。人々から広く敬われていた尊者ダカーンが8日前にロス・アラハーの修道院で殺害された事件のことで、ダカーンの縁者でもあるラーハン国王が、「血の代償金」と「名誉の代価」を払えとモアン国王に要求してきたのです。「名誉の代価」として要求されているのは、オリスガ小国の支配権の返還。これはモアンとラーハンの間でこの6世紀もの間争われ続けてきた件。ロス・アラハーの修道院長がコルグーやフィデルマの従兄であることから、ラーハン王はモアン王家にも責任があると言ってきたらしいのですが...。本当にモアン王家の責任があるのかどうかを調べるために、フィデルマは早速ロス・アラハーへと向かうことに。

昨日に引き続きの修道女フィデルマシリーズ。今度は本国では3作目として刊行された作品で、「蜘蛛の巣」よりも2つも前の作品。もう本当に、なんでこんな順番で刊行するかなー。
というのはともかくとして、こちらの方が「蜘蛛の巣」よりすんなりと読めました。事件的には「蜘蛛の巣」の方が絡み合ってて面白かったんだけど、何と言ってもフィデルマの高飛車なところが前回ほどなかったので(私が慣れたのかもしれませんが)、読みやすかったです。でも今回一緒に組むのが、サクソン人の修道士・エイダルフではなくて、国王直属の護衛戦士のカースだったのがちょっと残念。私としては、カースもすごくいいと思うんですけどね。肝心のフィデルマが物足りなく思ってるようなので~。
今回一番興味深かったのは、アイルランド五王国の大王(ハイ・キング)による「タラの大集会」。この頃のアイルランドにおけるキリスト教のあり方って、ローマの正統派のキリスト教のあり方とはまた少し違うし、アイルランドの法律そのものも、アイルランドでの生活によく合うようにアレンジされてるんですよね。その部分が思いの外しっかりとしたもので好印象だし、すごく面白いところなんです。「蜘蛛の巣」でも、身障者の人権を保障する制度がきちんと存在していて驚いたんですが、今回も女性の人権に関する法律がしっかり登場していました。古代のアイルランドが身近に感じられちゃうなあ。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「蜘蛛の巣」上下 ピーター・トレメイン
「幼き子らよ、我がもとへ」上下 ピーター・トレメイン
「修道女フィデルマの叡智」ピーター・トレメイン

+既読のピーター・トレメイン作品の感想+
「アイルランド幻想」ピーター・トレメイン

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Commentaires(2)

こんにちは。
≪修道女フィデルマ≫読まれたんですね!!
刊行順には大いに不満がありますが,
やはりトレメインの作品は大好きです。
フィデルマの造形は自分は結構好みだったりするのですが,
隙のなさが可愛げのなさに繋がっている気はします。
エイダルフのことを憎からず思っているのに,
一生懸命否定しようとしてるとこは可愛いんですけどねー。
個人的には自分とこの感想にも書きましたが,
ブレホン法というケルトの法律に強く心惹かれます。
残念ながら日本語で読める参考文献は少なそうですけれども。
じっくりと勉強できればなあと思います。

年1冊の邦訳では待ち切れません。
どんどん翻訳してほしい作品ですよね。

森山さん、こんにちは~。
やっぱりトレメインはいいですね!
刊行順にも、完璧すぎるフィデルマにも多少不満もありますが(笑)
それでも作品そのものがすごくしっかりしてるなあと改めて感じました。
とてもじゃないけど、学者先生の書いた本とは思えないですし~。(笑)
エイダルフとのことも、大きな流れとしてこれから楽しめそうですね。
彼のこれまでの人生にも、実は興味津々です。
うんうん、ブレホン法には私もすごく惹かれました。
今の法律なんかよりも、余程現実的に役立ちそうだなあとびっくり。
これからも色々出てきてくれそうで楽しみですね。

ただ、そうなんですよね。年に1冊の邦訳じゃあ…
カドフェルみたいに、訳者さんが違うせいで雰囲気が変わるのも嫌なんですが
(1人だけ、訳が妙に違う方がいらっしゃいますよね?)
でもほんと、どんどん翻訳して欲しいです。

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