「空のひきだし」いせひでこ

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癌で亡くなったお父さんのこと、高校生となった2人の娘さんのこと、犬のグレイのこと。空のこと、風のこと、雲のこと、絵を描くこと、そして自分のこと。2年もの間、空の底に棲んで、昨日と明日の境目で「空の断片」を切り取っては、「その形や色をことばにおきかえて 空のあなをうめて」いく作業をし続けていたといういせひでこさんの、日常を切り取ってスケッチしたようなエッセイ集。

このエッセイは、「雲のてんらん会」の絵本(感想)とほぼ同時期に書かれていたみたいですね。この2冊はセットで楽しむべき本なのかも。それぞれのエッセイのタイトルも、「はぐれ雲」「ひつじ雲」「ひこうき雲」「徒雲」「線状巻雲」「北海道の雲」... と、雲や空を感じさせるものばかりです。毎日の空に浮かぶ様々な雲にはそれぞれの物語があるように、それらを集めたこの本もまた、まさに「雲のてんらん会」という言葉に相応しいものになってます。こうやって空の雲を言葉に置き換えていくことによって、伊勢さんご自身が様々な出来事を乗り越えるための静かなパワーを生み出していたのかも。
この本の表紙の絵は、「五月の歌」というタイトルで、真っ青な空の下で少年が一心にチェロを弾く絵。聖路加国際病院の小児科病棟にあるのだそうです。小児科病棟にこんな絵が飾られているだなんて素敵だな。(理論社)

昨日と明日に境はなく
それでも後ろをふりとばして
歩いていく中で
出会った雲や風や光。
毎日かきかえられる空の地図。
透明なはさみをもって
空の底に棲む私。
切りとられた「空の断片」は
スケッチ帖からはみ出し
ポケットからこぼれ出し
行き先をさがしていた。
ていねいにひろって
そらのひきだしにしまった。


+既読の伊勢英子作品の感想+
「ルリユールおじさん」「絵描き」いせひでこ
「旅する絵描き パリからの手紙」伊勢英子
「グレイがまってるから」「気分はおすわりの日」伊勢英子
「マキちゃんの絵にっき」「ぶう」伊勢英子
「カザルスへの旅」伊勢英子
「はじまりの記憶」柳田邦男・伊勢英子
「1000の風 1000のチェロ」「雲のてんらん会」いせひでこ
「空のひきだし」いせひでこ
「むぎわらぼうし」竹下文子・いせひでこ
「大きな木のような人」「ルリユールおじさん」いせひでこ
「にいさん」いせひでこ
「ざしき童子のはなし」「よだかの星」「風の又三郎」「水仙月の四日」宮沢賢治・伊勢英子

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