「瑠璃の契り」北森鴻

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富貴庵の店主・芦辺が陶子に語ったのは、同じ人形が10ヶ月のうちに3度も店に戻ってきたという話。昭和を代表する人形作家・北崎濤声の正真物で、しかも素晴らしい出来の人形だというのですが... という「倣雛心中」他、全4編。

冬狐堂のシリーズ第4弾。このシリーズを読むのも久々です。以前から、魑魅魍魎が跋扈するような古美術・骨董業界の話が面白くも、あまりに救いがなくて、読んでいるとちょっと息苦しくなってしまうようなところがあったんですが、今回もそうでした。相変わらず傷だらけになりながらも、女1人この世界で生き抜いていこうとする陶子の姿が痛々しい...。自分目当ての罠だと分かっていても、毅然とした一歩を踏み出すような女性だし、そんなところが彼女の魅力なんですけどね。
業界内の悪意以外にも、何も知らずに見れば見事な品物が、思いがけない業を潜めていることもあります。大切にされてきた素性の良い品物ならともかく、ここに登場するのは作り手や代々の持ち主のどろどろとした負の思いを引き継いでいそうな品物ばかり。もうほんと、見事に上っ面だけが綺麗な世界ですね。同じように古い品物を扱っていても、先日読んだ畠中恵さんの「つくもがみ貸します」(感想)とは、全然雰囲気が違うなー。
今回は、陶子の旗師生命も危ぶまれる要素が登場。そんな脆さを秘めた陶子を支えていくのが、カメラマンの横尾硝子でした。その硝子が一番クローズアップされるのは、表題作の「瑠璃の契り」。これは薩摩の切り子ガラスの話。表紙にもなってるコレです。...そうか、彼女は名前そのまんまのガラスだったのねー。ということは陶子はやっぱり陶器で、プロフェッサーDは、DOLL...?(笑) その他にも雅蘭堂の越名集治や、博多でカクテルを名物とする屋台を出してる根岸キュータ、池尻大橋や三軒茶屋のバーが登場します。(文春文庫)


+シリーズ既刊の感想+
「狐罠」「狐闇」「緋友禅」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「瑠璃の契り」北森鴻

+既読の北森鴻作品の感想+
「共犯マジック」北森鴻
「蜻蛉始末」北森鴻
「親不孝通りディテクティブ」北森鴻
「螢坂」北森鴻
「暁の密使」北森鴻
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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