「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら

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じゅうたんを織るのが大好きな4人姉妹。おばあさんの焼いた熱々のチーズパイと、一番上のお姉さんの入れたチャイを飲みながらの休憩時間に話をねだられたおばあさんは、じゅうたんを織るのがとても上手だったイップという美しい娘と羊飼いのハッサンの話を物語ります...という「糸は翼になって」他、全5編。

旅の伴侶であり、話をつむぎ出す「糸口」そのものだったという絨毯。元々は遊牧民が生み出して、天幕の中に敷くのはもちろん、天幕の扉にしたり、塩や小麦粉を入れる袋にしたり、赤ちゃんをくるんだりと、日常の様々な用途に使っていたもの。その後、トルコやペルシャに広まると、テーブル掛けとして使ったり、絵のように壁にかけられるようにもなります。簡単に持ち運べる大切な財産でもあり、旅の途中で休憩する時にはさっと敷ける便利な敷物。小さいサイズの絨毯は、日に5回のイスラムの礼拝には欠かせないもの。そんな風に日常の生活に欠かせない絨毯にまつわる言い伝えを、新藤悦子さんが物語として織り上げ、こみねゆらさんの絵を添えた絵物語集です。
それぞれにアラビアンナイトの話の1つと言われたらそう思い込んでしまいそうな、雰囲気たっぷりの物語。これはトルコやイランを旅したり滞在したりして、実際にトルコで現地のおばあさんと絨毯を織ったこともあるという新藤悦子さんだからこそ書ける物語かもしれないですね。絵本なので、どうしてもそれぞれの話が短いのが難点なんだけど... もっとじっくり読みたかった。私が物語として一番惹かれたのは、2の方に収められている「ざくろの恋」で、これはアフガニスタンの内戦から逃げようと西の国境に向かって歩いていたハーシムが、いつの間にか砂漠に迷い込んでしまい、人気のない廃墟で白いターバンを巻いた少年に出会う話。時空を越えた素敵な物語です。でも、歌を歌うと恋心が糸となって出てくる「糸は翼になって」や、知らない男に嫁がされる哀しみを描いた「消えたシャフメーラン」なんかも素敵。そしてこみねゆらさんによる絵が素晴らしい! エキゾティックな雰囲気がたっぷりだし、それぞれの物語にはトルコのヤージュベディル絨毯、クルド絨毯、イランのムード絨毯、トルクメン絨毯、イスファハン絨毯といった、地方や部族ごとに代々伝わる美しい手織りの絨毯の細密な絵が紹介されいて、それがまた素敵なのです。殊にそれまで赤系がメインだった絨毯の中、最後に登場した青いイスファハン絨毯の美しいことといったら。このイスファハン絨毯は、イランの絨毯の中でも最も美しい絹製の絨毯なのだそう。実物を見てみたいし、触ってみたいなあ。本そのものもとても素敵で、ぜひ手元に置いておきたくなっちゃいます。(ブッキング)


+既読の新藤悦子作品の感想+
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」新藤悦子
「エツコとハリメ」新藤悦子
「トルコ 風の旅」「イスタンブールの目」新藤悦子
「時をわたるキャラバン」新藤悦子
「羊飼いの口笛が聴こえる」新藤悦子
「チャドルの下から見たホメイニの国」新藤悦子

+既読のこみねゆら関連作品の感想+
「妖精王の月」「歌う石」「ドルイドの歌」O.R.メリング
「夏の王」「光をはこぶ娘」O.R.メリング
「夢の書」上下 O.R.メリング
「空とぶじゅうたん」1・2 新藤悦子・こみねゆら
「こもれび村のあんぺい先生」「にこりん村のふしぎな郵便 」「トチノキ村の雑貨屋さん」「ゆうすげ村の小さな旅館」茂市久美子
「風の誘い」茂市久美子
「仏蘭西おもちゃ箱」こみねゆら

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