「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸

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何年も一緒に暮らしてきたのに、そのあくる日から別々の生活へと踏み出すことになっているヒロとアキ。最後の晩、荷物もすっかり運び出してがらんとした部屋の中で、買ってきた酒と惣菜を片手に話し始める2人。とりとめもない話題に始まった会話は、やがては1年前の夏の旅行の話へ。その旅行が2人の別離の決定的なきっかけとなったのです。彼を殺したのは、やはり彼(彼女)だったのか? 夜明けまでに相手に白状させることはできるのか?

場所は何もない部屋の中、一組の男女の一夜の会話だけで物語が進行。なんだか舞台の芝居を見ているみたいな作品でした。というかこれ、舞台で演じられているところが、読みながらまさに想像できるんですけど... 既にどこかやろうとしてる劇団があったりして。(笑)
何も事前知識がないまま読み始めたんですが、思いっきりミステリだったんですね。なんとなくびっくり。2人のことはなかなか明らかにされなくて謎だらけだし、ふと思い出した情景がまた新たな謎を呼んで、それまで真実だと思っていたこととはまた全然違う新しい真実が見えてくるんです。今まで確かに見えていたはずのものが、一瞬のちにはまるで違う表情を見せて、まるで万華鏡みたい。もちろん、それに連れて2人の間の緊迫感も刻々と変化。これは真実が何なのかということを突き詰めるというよりも、このくるくると変わる表情を楽しむ作品なんでしょうね。川の表面で光る木洩れ日の中にちらちらと見えているのは、本当に魚...?
いやあ、こういうの久々に読んだなって感じ。楽しかったです。(中央公論新社)


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
「チョコレートコスモス」恩田陸
「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
「いのちのパレード」恩田陸
「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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久し振りの恩田陸作品でした。 恩田陸「木洩れ日に泳ぐ魚」です。 どうにも肌に合わない印象が強くなり、単行本で買うのをやめて 文庫で買うようにしよ... » Lire la suite

Commentaires(2)

こんばんわ。TBさせていただきました。
私も事前にあらすじは全く知らないで読んで、思いっきりミステリだったので驚きました。
なんだか舞台のようでしたよね。
登場人物は2人しかいませんし。
ピリッとした空気感が生まれるような気がします。
最後の事件?の真相は、ちょっと無理矢理なきもしましたけど、物語の中でも想像ですから、あの結末で私は良かったと思いました。
面白かったです。

苗坊さん、こんにちは~。TBありがとうございます。
あ、苗坊さんもミステリに驚かれましたか。
良かった、私だけじゃなくて。(笑)
でもほんと舞台のようでしたよね~。実際に演じてるのを見てみたい!
緊迫感のあるいい舞台になりそうです。

真実が何か、というのはきっとまた全然別の問題なんですよね。
読んでいてすごくそう思いました。

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