「夜の鳥」「ヨアキム 夜の鳥2」トールモー・ハウゲン

Catégories: /

  [amazon] [amazon]
小学校2年生のヨアキムは、パパとママの3人暮らし。神経を病んでいるパパは、一旦は中学の教師として仕事に出るものの調子が悪くて3日で行けなくなり、今はずっと家にいて、洋品店で働いているママが帰ってくるまでに家事をしておく約束。しかしその日ヨアキムが帰ってみると、家には誰もいなかったのです。あまり遠くに行かない時にはく木靴と、ずっと遠くまで行く時に着るウィンドヤッケがなくなっており、一体どこを探したらいいのか分からないヨアキムは、とりあえず近くの公園にパパを探しに行くことに。

ヨアキムの両親は大学の時に子供ができて結婚。最初は夫が卒業して仕事についたら、妻が復学して中断していた保母の資格を取る予定だったんですが、精神的に不安定な夫が働けないせいで、妻は安月給のキツイ仕事をやめられないんですね。でも毎日の仕事に疲れ切って帰ってきても、夫は何もしておいてくれないんです。晩御飯はおろか、流しは汚れた皿でいっぱいで、もう新しい皿なんて1枚もないし。
そんな大人2人の不安定さが伝染していて、ヨアキムもすっかり精神的に不安定。周囲のいじめっ子たちの標的にならないように立ち回るだけで必死なのに、自分の住んでるアパートの隣人は、魔女に殺人鬼に謎の妖精たち。しかも家の中にも鳥たちの幻影が...。隣人がどうこういうのは、近所の女の子が言ったことをヨアキムが信じてしまっただけなんですけど、古い洋服ダンスから夜の鳥たちが出てきてヨアキムに襲い掛かるという幻影はあまりにリアル。この鳥たちの幻影に、両親がいかに繊細なヨアキムを精神的に追い詰めているかが分かるようです。実際には、両親ともヨアキムを愛してるんですけどね。
この作品は、ヨアキムの視点からだけでなく、怖くて仕方がないという父親の気持ち、日々のやりきれない気持ちを持て余している母親の気持ちからも作品を読むことができるんですが、結局のところ、大人になりきれていなかったのに親になってしまって、その自覚をいつまでも持つことのできなかった父親が一番の問題かと。しっかりした妻の存在も彼を追い詰めてるのは分かるんですけど、「もう、何甘いこと言ってるのよ!」と何度言いたくなったことか。ほんとヨアキムが可哀相。身近な大人の事情に、なすすべもなく影響されてしまってるんですから。

でもその続編「ヨアキム」では物事が大きく動いて、ヨアキムも大きく成長することになります。相変わらず父親には腹が立つし、そもそもこの両親はもっと色んなことをきちんとヨアキムに説明するべきだと思うんですけどね。でもヨアキムも、前作みたいにいつまでも受身でばっかりいるわけではなく。きちんと自分の感情を表現できるようになったヨアキムが少しずつ頼もしくなっていくのが、すごく素敵です。(河出書房新社)

| | commentaire(0) | trackback(0)

Trackbacks(0)

「夜の鳥」「ヨアキム 夜の鳥2」トールモー・ハウゲン へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.