「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」塩野七生

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「地中海戦記3部作」と呼ばれているらしい3冊。一貫して描かれているのは、キリスト教の西欧諸国VSイスラム教のオスマントルコの戦い。「コンスタンティノープルの陥落」では1453年、「ロードス島攻防記」は1522年、「レパントの海戦」は1571年のそれぞれの出来事が中心に描かれています。

3作通して、なんだか小説を読んでるというよりも、まるでノンフィクションを読んでいるような印象の作品でした。やっぱりこの方の持ち味は、こういった硬質のノン・フィクション寄りの作風なんでしょうねえ。個人的な好みとしては、もっとフィクション寄りの作品の方なんですけど、実際には塩野さんの作品の中に描かれている恋愛模様なんかにはあんまりそそられないので... 結局こういった作風で正解なのかも。
3作ともどちらかといえば西欧側の視点から描かれてるんですが、私が興味津々だったのは、やっぱりというか何というかトルコ側。「コンスタンティノープルの陥落」で登場するのは、オスマントルコ帝国の基礎を築いたスルタン・マホメット2世。「ロードス島攻防記」は、夢枕獏さんの「シナン」(感想)や新藤悦子さんの「青いチューリップ」「青いチューリップ、永遠に」(感想)に出てきたスレイマン大帝。そして「レパントの海戦」に登場するのは、そのスレイマンの次にスルタンとなった息子のセリム。
でもこういう本を読むと、そういやトルコ軍の戦いっぷりってば残虐なんだった... と思い出させられちゃいますね。多分西欧側の視点から描いた本からの知識なので、必要以上に強調されていそうなんですが、「今降伏すれば全員の命は保証する」なんて言っておきながら、いざ降伏したら皆殺しにしちゃった、なんて印象がものすごーくあるんです。そして実際、「コンスタンティノープルの陥落」や「レパントの海戦」では、そういった一面も。でも驚いたのは、スレイマン大帝の紳士的なこと! ここまで紳士的なのってヨーロッパにも珍しいのではないかしら... 作中ではフランス貴族が引き合いに出されていて、「スレイマンこそ本当の騎士だった」なんて聖ヨハネ騎士団長が言ってたりします。本当にそうだったのかしら。でも実際がどうだったにせよ、こういった描き方ができるのは、キリスト教国家でもイスラム教国家でもない国の人間だけでしょうね。
実際の戦いの場面が中心で、そういうのは本当はあまり得意じゃないんですが、色んな立場の人間の視点から多層的に描かれているのが面白かったし、防衛的な城砦の構築なんかの話もすごく興味深かったです。聖ヨハネ騎士団についても知りたいと思っていたので丁度良かったし! でもやっぱり小説を読んだ~というより、勉強したな~って気分になるんですよね、塩野さんの作品って。(笑)(新潮文庫)


+既読の塩野七生作品の感想+
「ローマ人の物語 危機と克服」21~23 塩野七生
「ローマ人の物語」8~10 塩野七生 「ガリア戦記」カエサル
「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」塩野七生
「ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず」1・2 塩野七生
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」塩野七生
「ローマ人の物語 ハンニバル戦記」3~5 塩野七生
「ローマ人の物語 勝者の混迷」6・7 塩野七生
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」8~10 塩野七生(再読)
「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以降」11~13 塩野七生
「ローマ人の物語 パクス・ロマーナ」14~16 塩野七生
「ローマ人の物語 悪名高き皇帝たち」17~20 塩野七生
「ローマ人の物語 賢帝の世紀」24~26 塩野七生
「ローマ人の物語 すべての道はローマに通ず」塩野七生

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Commentaires(2)

四季さん、こんばんは♪
この3作、私も大好きです。(表紙もそれぞれに素敵だし)
中でも、『コンスタンチノーブルの陥落』が一番印象に残っています。
四季さんがおっしゃているように、トルコ側からもじっくり書かれているのが良いですね。
マホメット2世の「あの街をください。」という言葉には、読んでいてぞくぞくしました。

ワルツさん、こんにちは。
ワルツさんも、この本読まれていたんですね。
塩野七生さんの作品には、本当に読者が多いですね~。

マホメット2世のあの言葉は、ほんとぞくぞくしますね!
言葉では「ください」と言いながらも
絶対自分のものにするという決意、そして絶対にできるという自信。
それでいて全く無駄な気負いがないところがまた、何ともいえません。
この辺りの小説、他にもありませんかねえ?
色々読んでみたいです!

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