「オドの魔法学校」パトリシア・A・マキリップ

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両親が病で死に弟も恋人も去って以来、人と関わるのをやめ、北方の小さな村でひたすら植物相手に生きていた青年・ブレンダンの元を訪れたのは、不思議な女巨人・オド。オドはブレンダンに、王都・ケリオールにあるオドの学校で庭師として働いて欲しいと申し出ます。この魔法学校は、400年前国の危機を救って英雄となったオド自身によって作られた学校。魔法に使う植物を育てる庭師が1人やめてしまい、ブレンダンのような人間を必要としているというのです。魔法のことなど何ひとつ知らないブレンダン。しかしオドの申し出を受け、夏の終わりになると、収穫した種や珍しい植物などを詰めた荷物を持って魔法学校を訪れることに。

この題名を最初知った時はてっきり学園物なのかと思って、でもまさかパトリシア・A・マキリップが普通の学園物を書くなんて!?と戸惑ったんですが、やっぱりハリー・ポッターみたいな作品とは全然違いました。魔法学校は、たまたま舞台に選ばれたというだけ。...ほっ。なんて心臓に悪い題名なんだ。
ここにあるのは、パトリシア・A・マキリップ独特の静かで幻想的な雰囲気と、魔法に満ちた空気。その中で、この世界に太古の昔から存在する魔法の本質を捉えようとする物語、かな。(マキリップは、こういうのが多いですね)
オドが作った魔法学校は、その後徐々に雰囲気が変わってしまい、今は魔法使いの力を恐れる王によって厳しく管理されている状態。生徒たちは認められている魔法だけを学び、王の顧問官が先頭に立って、管理外の魔法に厳しく目を光らせています。そんな中に現れたブレンダンの無自覚ながらも生まれながらに持つ底知れぬ力が、魔法使いたちを混乱させることになります。さらに、その頃丁度現れた魔術師一座の操る幻影が果たして本当に魔法なのか、それとも手品なのかなんていう問題もあって。
話そのものはちょっと練りこみ不足なんじゃないかなあなんて思ったし、オドのことや魔法学校、そしてブレンダンのことをもっと掘り下げて欲しかったんですけど、多彩な登場人物がそれぞれに個性的で良かったし、それより何より、行間から立ち上ってくるようなマキリップならではの幻想的な雰囲気はさすが! やっぱりマキリップは大好き~。もっと色々と読みたい~。...とはいえ、この作品はマキリップの本領発揮というわけではないと思うので... 初めて読む人にはやっぱり「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」がオススメですね。(創元推理文庫)


+既読のパトリシア・A・マキリップ作品の感想+
留守中に読んだ本(18冊)(「妖女サイベルの呼び声」「影のオンブリア」の感想)
「星を帯びし者」「海と炎の娘」「風の竪琴弾き」パトリシア.A.マキリップ
「ムーンフラッシュ」「ムーンドリーム」パトリシア・A・マキリップ
「オドの魔法学校」パトリシア・A・マキリップ
「ホアズブレスの龍追い人」パトリシア・A・マキリップ
「チェンジリング・シー」パトリシア・A・マキリップ
「茨文字の魔法」パトリシア・A・マキリップ

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四季さん、こんにちは。読了されたとのことで、お邪魔しました。
そうそう、「マキリップの本領発揮!」というよりは
「マキリップもこんな作品を書くんだあ」とちょっと意外さに驚かされたというか。
コミカルな味付けさえあって、そんなところが新鮮でした。
練り込み不足…ですよねえ。ブレンダンがそれで本当に幸せなのか気になるし、
お姫さまのその後も!!
他人事ながら「や。結婚は思いとどまった方が、、、」なんて思ってしまいました。
でも、久しぶりにマキリップ作品が読めて、それは本当に良かったんですけどね。
(もし漫画化するなら、入江亜季さんにお願いしたい/笑)

四季さん、翻訳されているマキリップ作品、全部読まれてるんですね!
実は私、『ムーンドリーム』だけが未読なんです。えへ。いいでしょ(おい)。
『ムーンフラッシュ』がイマイチだった記憶があるんですが、
いい機会なので2冊まとめて再読したいです~。
『妖女サイベルの呼び声』も。マキリップでは、やっぱ「サイベル」が一番好きかな、私。

七生子さん、こんにちは~。
ほんと、マキリップもこんな作品を書くんだ?ってびっくりでしたね。
それでも随所からマキリップらしさが滲み出てくるのはすごいなあと思いましたが
やっぱり最初に読んだ「サイベル」は圧倒的だったし
あの無駄なものが全てそぎ落とされたストイックさが見られなかったのは残念だったかも。
とはいえ、読んでる間は十分楽しかったんですけどね~。(笑)
うんうん、お姫さまの結婚には「待った…!」ですよね。
あの手の不満はやっぱり結婚前に解消しておかなくちゃ、きっとダメですよぅ。
ということで、続編を読みたいというより、登場人物のその後が知りたいです。(あれれ)

おお、まだ未読のマキリップ作品が残ってるなんて羨ましい!
マキリップらしさで言えば、「ムーンフラッシュ」「ムーンドリーム」もでしたねえ。
正真正銘のSFになってしまって、これも「マキリップがこんな作品を書くんだ?」だったんですけど(笑)
確か「ムーンフラッシュ」よりも続編「ムーンドリーム」の方が良かったような記憶があるので
また試してみて下さいませ。
でもそんなことを思うのも、未訳作品がものすごーく多いせいなのかもしれませんね。
そうそう、今「影のオンブリア」を見てみたら、巻末に長編作品リストが載ってましたよ。
それでもって、訳されてるのはほんの一部… 他のがどんな作品なのかものすごーく気になります。
ほんと、今からでもどんどん訳していただきたいですね~。

こんにちは。
マキリップは今秋に小学館ルルル文庫から邦訳出ますよー。
御存じかも知れませんが一応お知らせしておきます。
http://www.gagaga-lululu.jp/lululu/special/translation.html
買いやすい表紙だといいなあ。
それにしてもタニス・リーの刊行もありましたし,
海外ファンタジィ好きとしては見逃せないレーベルとなっています(苦笑)。
というか一昔前の早川FTだよなあ。
ついでにM.Z.ブラッドリーも混ぜてくんないかしら。

早川と言えばエレン・カシュナー『剣の輪舞』が新版となります。
それに合わせて続編の翻訳が開始という噂も。
ジーン・ウルフの『新しき太陽の書』も新版となるそうです。
こちらもお勧めです。
早川の再刊商法は非常に腹立たしいのですが,
それにうまうまと乗せられてしまうのもorz
まあ仕方がないんですけどね。
お布施みたいなものかもしれません。

森山さん、こんにちはー。
ルルル文庫からマキリップが出るなんて、全然知りませんでした!
ほんと、タニス・リー以外でもシャロン・シンが出てるし
ナンシー・スプリンガーもだし、ほんと侮れないですね。>ルルル文庫
素敵な情報をありがとうございます。
この調子でいくと、あんまり買いやすい表紙ではないかもですが…(汗)
ほんとほんと、ブラッドリーもぜひこの調子で出して頂きたいものですね。

エレン・カシュナーの「剣の輪舞」は、正直「なんで?」って感じも…
「吟遊詩人トーマス」の方がずっと面白かったのに。
同じのが出るだけだったら、もう持ってるからいらないやーと思ったんですけど
未訳の短編を足して再刊なんですね。やることが姑息だわ!
と言いつつ、同じく買ってしまいそうです。(笑)
ジーン・ウルフの方は知らないなあと思ったら、こちらはSFの方でしたか。
ちらちらと調べてみると、面白そうですね!
要チェックしておきます。ありがとうございます♪

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