「マンスフィールド・パーク」ジェイン・オースティン

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マライア・ウォードは、その美貌でマンスフィールド・パークのサー・トーマス・バートラムの心を掴んで結婚、準男爵夫人となります。しかしその姉と妹はマライアに劣らぬ美人だったにも関わらず、結婚にはそれほど恵まれず、姉はほとんど財産のないノリス牧師と結婚、妹に到っては教育も財産もない海兵隊の一大尉と結婚して子供が増えるばかりの貧乏生活を送ることに。そして妹に9番目の子供が生まれた時、生活が立ち行かなくなっていた妹一家のために、その時9歳になっていた長女のファニーをサー・トーマスが引き取って育てることになります。

訳者あとがきにもある通り、「自負と偏見」や「エマ」に比べるとすごく生真面目な作品。生真面目というよりも地味といった方が相応しいかもしれません。それはやっぱり主人公のファニーが内気で臆病で、あまり華がないからなんでしょうね。ファニーの良き理解者となる従兄のエドマンドも堅実な性格だし。...あまりにそつがない2人なので、2人が仲良くなるクロフォード兄妹の方が、欠点だらけでも人間的に感じられる人が多いのでは? むしろノリス夫人の徹底した意地悪ぶりの方がリアリティがあるかも? そんな私が一番気に入ったのは、厳格ながらも愛情深いサー・トーマスでした。でも周囲に全然注目されずに、言わば格下扱いされ続けて育ったことが、ファニーの物事を公平に客観的に見る目を育てていきます。彼女が嫌いな男から求婚され、周囲の誰1人としてそれが幸せな結婚と信じて疑わないところなんかは、もっとはっきり言わないと周囲のためにもならないのに!と歯がゆかったんですが、孤立しながらも、恩知らずと思われることを恐れながらも、意思を通そうとする彼女はとても健気。後にファニーのその意思が正しかったことが判明する場面なんかは、溜飲が下がります。
ただ、翻訳がちょっと固めかな... 「エマ」や「分別と多感」の中野康司さんの訳がとても読みやすかったので、ちょっと古く感じられてしまいました。流れに乗ってきたらそれも気にならなくなって、面白く読めたんですけどね。それとこの本を読むまで知らなかったんですが、たとえばサー・トーマスの長男は「ミスター・バートラム」、長女は「ミス・バートラム」と苗字で呼ばれて、次男のエドマンドは「ミスター・エドマンド・バートラム」、次女のジュリアは「ミス・ジュリア・バートラム」と苗字+名前で呼ばれるという慣習があったんですねー。その辺りを全然知らなかったので、ちょっと混乱してしまいました。この辺り、もう少し親切な説明があっても良かったのでは?(中公文庫)


+既読のジェイン・オースティン作品の感想+
「自負と偏見」オースチン
「エマ」上下 ジェイン・オースティン
「分別と多感」ジェイン・オースティン
「マンスフィールド・パーク」ジェイン・オースティン
「ジェイン・オースティンの手紙」ジェイン・オースティン
「説きふせられて」ジェーン・オースティン
「ノーサンガー・アベイ」ジェーン・オースティン

+既読のジェイン・オースティン関連作品の感想+
「ジェイン・オースティンの読書会」カレン・ジョイ・ファウラー

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Commentaires(2)

こんばんは、
この作品はオースティン作品のなかではちょっと個性的ですよね。
華がない地味~な主人公(笑)。それに笑ってしまうほどイヤミなノリス夫人(誰かモデルがいたのかな?……)。
準男爵夫人はいつもなんだかけだるそうにしているし……。
変なひとばかりでてくるなぁ、というのが読んだときの印象でした。
でもこの作品は、サー・トーマスが中米で奴隷を酷使した砂糖プランテーションを経営していたであろう点など、ポストコロニアル視点からの指摘もされていたり、専門的にやっている方々からはけっこう重要視されているようです。
あと呼称の問題とか、ややこしいです。長編なので読んでいるうちに登場人物を覚えるからさして問題はないですが。
願わくは、『分別と多感』等と同じく新訳が出ると嬉しいですね。ちょっと地味めの作品であるからこその味わいも持っている作品だと思うので。

nyuさん、こんにちは~。
ほんと、オースティンの中ではちょっと毛色が違う作品ですね。
でも、わー、サー・トーマスの留守は、やっぱりプランテーションだったんですか!
アンティグアでしたっけ。あの地名を見た時にあれ?と思ってたんです。
この頃の英国のことだから、奴隷を人間だなんて思ってなかったでしょうし
そこではサー・トーマスも全然違う顔を見せてたんだろうなあ…
いやあ、そうでしたか。いいことを教えて下さってありがとうございます。
ポストコロニアル視点からも重要視されてる作品だなんて、全然知らなかったです。

ほんと、この作品も新訳が出て欲しいですね。
ちくま文庫から「高慢と偏見」(2003年)、「エマ」(2005年)、「分別と多感」(2007年)と
中野康司さん訳で2年おきに出てるので、次は来年かなと期待してるんですが…
次に出るとしたら、この作品の可能性も高いですよね。
まだ文庫化されてない「ノーサンガー・アベイ」も、ぜひお願いしたいですが!
なんて言ったら、「説得」ももちろんお願いしたいし~。
結局全部になっちゃいますね。(笑)

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