「説きふせられて」ジェーン・オースティン

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従男爵のエリオット卿にとっては、自分の美貌と社会的地位がこの世の幸せ。相当な財産も虚栄心の強い彼には足りず、13年前に夫人が亡くなってからというもの財政的に赤字続き。とうとう屋敷を人に貸して、バースに移り住むことを決意します。連れて行くのは、自分の美貌を一番継いでいる29歳の長女・エリザベス。次女のアンは、卿にとっては全く存在感がなく、しかも彼女自身バースが嫌いなこともあって、まずは母代わりの存在だったラッセル夫人の家へ、そして既に嫁いでいる妹のメアリの家へと行くことに。しかし屋敷の借り手となったクロフト提督の夫人は、アンが8年前に婚約していたウェントワース大佐の実の姉。しかも8年ぶりに海外勤務から戻ってきた大佐は、メアリの嫁ぎ先に始終顔を出し、アンに当てつけるかのように2人の令嬢と親しくするのです...。

この作品の主人公は、エリオット卿の次女のアン。美しくて優しくて献身的な女性なんですが、彼女の美貌が父親ではなく母親譲りだったため、父親は彼女に何の関心も示さないんですね。そんな父親の態度を見てか、姉のエリザベスもアンを軽視。そして我侭でプライドばかりが高いメアリは、体調が悪いと言ってはアンを気軽に呼びつけるような妹。そんな気の毒な環境に育ったアンなんですが、母の古い友人のラッセル夫人だけはアンを溺愛しています。だからこそ、8年前にアンが婚約した時、ウェントワース大佐に資産がないことを理由に強固に反対するラッセル夫人に、アンも逆らいきれなかったんですが...。8年ぶりに現れたウェントワース大佐は、既に一生働かなくてもいいだけの資産を手にしていて、しかも非常に感じの良い好男子。娘の婿に相応しい~と思われるような人物になっちゃっています。でもアンに失恋させられたことを未だに許してないみたい。
という話なんですが...
オースティンの作品としては地味な方ですねえ。「マンスフィールド・パーク」も地味だと思ったけど、こちらの方が地味度は上かも。「マンスフィールド・パーク」のファニーよりはアンに華があると思うんですけど、物語としてもそれほど波風は立たないですしね。それに、アンの家族は散々な描かれようなんですが、この作品では他のオースティンの作品ほど登場人物が欠点だらけという感じもなくて、オースティン節とでも言えそうな部分が少し薄い気も。...だからツマラナイというわけじゃないんですけどね。これはこれでやっぱり面白いですし。
読んでいてちょっと驚いたのは、この時代に30歳間近の女性がオールドミス扱いされていないこと。日本でもほんの20年ほど前までは、24歳までに結婚しなかったら「クリスマスケーキ」なんて呼ばれて売れ残り扱いされたはずなんですけど、18世紀のイギリスでは全然そんなことなかったんですねー。27歳のアンも29歳のエリザベスも全然焦ってません。まあ、自分の美貌と家柄に絶大な自信を持ってるエリザベスはそんなものかもしれないですが、周囲も特に何も思っていないみたい。「いずれ、いい人が現れれば」程度。浪費家のお父さんのせいで、それほどの財産は継げなさそうだし、結婚しないからといって仕事に生きるってわけにもいかないはずなんですけどねえ。まあ、親きょうだいが元気なうちは、無理に結婚して苦労するぐらいなら、独身のままでいた方がずっといいのかもしれませんが(笑)、当時の女性が一般的にどんな感じだったのか、もっと知りたくなってきちゃいます。(岩波文庫)


+既読のジェイン・オースティン作品の感想+
「自負と偏見」オースチン
「エマ」上下 ジェイン・オースティン
「分別と多感」ジェイン・オースティン
「マンスフィールド・パーク」ジェイン・オースティン
「ジェイン・オースティンの手紙」ジェイン・オースティン
「説きふせられて」ジェーン・オースティン
「ノーサンガー・アベイ」ジェーン・オースティン

+既読のジェイン・オースティン関連作品の感想+
「ジェイン・オースティンの読書会」カレン・ジョイ・ファウラー

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Commentaires(2)

この本、ずいぶん前ですが読みました。
おっしゃるように地味ですが、私にとっては味わい深い作品でした。
ジェーン・オースティンは、ほとんどが独身女性の恋愛と結婚にまつわる話ですが、
彼女の人間観察眼がするどくて、とても面白いです。
BBCのドラマにもなっていて、これも見たことがあります。

honyomiさん、こんにちは~。
そうですねえ、地味なりにも面白く読めたんですが
今回は「味わい深い」というところまではいかなかったかな?
でもほんと、彼女の人間観察は相変わらずとても面白いですね。
あ、これもBBCのドラマになっていましたか。見てみたい!
映像で見てからまた本を読み返したら、
その時こそ「味わい深い」と感じるかもしれないですね。^^

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