「エデンの東」1~4 ジョン・スタインベック

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アダム・トラスクは、1862年、コネチカット州の農家の1人息子として生まれた少年。しかしコネチカット連隊に召集されていた父・サイラスが帰宅すると、トラスク夫人は夫から戦争から持ち帰った感染症にうつされ、それを苦に自殺。サイラスはすぐに近所に住む農夫の娘に目をとめて再婚し、アダムの1歳年下の弟となるチャールズが生まれます。軍隊を礼賛しているサイラスは、2人の息子に軍隊式の訓練を強要。弟のチャールズは力でも技でもアダムに勝り、軍隊式の訓練も受け入れていましたが、暴力や争いの嫌いなアダムにとって、それは苦痛でしかない習慣。しかし父は2人が成長した時、いかにも軍隊に向いていそうなチャールズではなく、アダムを騎兵隊に送り込んだのです。

ジェームス・ディーン主演で映画にもなってるこの作品なんですが、私は映画も観てなければストーリーも全然知らない状態。なんとこんな大河ドラマだったとはー。ええと、アダム・トラスクとその弟チャールズ、アダムの息子のキャルとアロンという、2世代の4人の男たちが中心となってる物語なんですけど、ジェームズ・ディーンがやってたのは、アダムの息子・キャル役だったみたいですね。話の最初から最後までちゃんと映画化してるかどうかは知りませんが。作中にはスタインベック自身もちらっと登場して、自伝的作品でもあったのか! と、またまたびっくり。

で、この作品で唯一事前の知識として知ってたのは、聖書の創世記のカインとアベルの話をなぞらえてるという部分だったんですが、アダムとアロンが「アベル」で、チャールズとキャルが「カイン」ということなんですね。ということはA(アベル...アダムとアロン)とC(カイン...チャールズとキャル)の対立ということなのか。羊飼いであるアベルの捧げ物は神に受け入れられたのに、農夫であるカインの捧げ物は受け入れられなかったのと同様に、アダムとアロンは父に愛され、チャールズとキャルは父の愛情を感じられなかったという図。
でもこの4人を見てて感じたのは、純粋すぎるアダムやアロンの弱さ。この世が既にエデンの園ではない以上、純粋すぎる人間は生き延びていくことができないってことなんですかねえ。アダムもアロンも万人に愛されるような人間だけど、悪に対する抵抗力が全然ないんです。だから悪そのもののキャシーという1人の女性に滅ぼされちゃう。それに比べて、キャルとチャールズは強いです。自分の中にある悪を持て余して苦しみながらも、生きぬく力は十分持っているんですよね。作中に効果的な嘘のつき方の話が出てきたけど、嘘の中に真実を少し混ぜるだけで、あるいは真実の中に嘘を少し混ぜるだけで、その嘘がすごく強くなるのと同じようなことなんだろうな。
読み始めた時はこんな大河小説とは知らなかったので、一体誰が主役なんだろう?って感じだったんですけど、いやあ、面白かったです。こんなに面白いとは思わなかった。随分前に読んだっきりなのですっかり記憶が薄れてるんだけど、パール・バックの「大地」を思い出しました。4人以外の登場人物もそれぞれ良かったですしね。私が断然気に入ったのは、アダムの家にコックとして雇われる中国人のリー。でも映画にはリーは登場しないんだそうです。勿体ないなー。(ハヤカワepi文庫)

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Commentaires(3)

四季さん、こんにちは。
スタインベックのこの作品は、私も残念ながら読んだことがありません。
映画は、ジェームズ・ディーンのポスターのみです。(*^_^*)
面白いと、四季さんが言っておられるので、
読んでみたくなりました。
ただ、「怒りの葡萄」は読んだことがあります。
アメリカの農民の胸をうたれる貧しさが、印象に残っています。

懐かしいです、「エデンの東」。
大学の米文学の授業で読み、その後、映画も見ました。
あんなにたくさん読んだのに、映画って第4巻の、キャルたちが大きくなった部分だけなんですよね~。なんだか気が抜けてしまいました。
印象に残っているのは、アダムの繊細すぎるところ。読んでいて胸が痛くなるほどでした。

コメント、ありがとうございます~。
週末からちょっと風邪でダウンしてしまってました。
お返事が遅くなってごめんなさい。

>honyomiさん
あ、ジェームズ・ディーンのポスターのみっていうの
私がまさにその状態でしたよ。(笑)
ジェームズ・ディーンの出てる映画も全然観たことないし…

でも、アメリカの文学作品って普段なんとなく敬遠気味なんですが
えいやっと読んでみると意外に面白いことが多くてびっくりします。
この作品も想像以上に面白くて。読んで良かったです。^^
ヘミングウェイなんかも再読したいです~。


>さやのさん
わあ、さやのさんは本も映画もご存知なんですね。
あらら、映画では4巻の部分だけでしたか。
確かにそれだけでも話としては十分映画になるでしょうけど
ちょっと勿体ない気もしますね。
キャシーの仕打ちに対するアダムの反応を映画で観てみたかったなあ。
使用前・使用後って感じで。(笑)
本当に繊細すぎるほど繊細ですものね。
でもキャルにジェームズ・ディーンって、ちょっとかっこよすぎるような…?
確かにワルっぽいんでしょうけど、なんか色が白すぎる気がします。(笑)

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