「毒杯の囀り」ポール・ドハティ

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1377年、エドワード3世が崩御し、まだ10歳のリチャード・オブ・ボルドーがリチャード2世として即位した頃。王侯・貴族相手の金貸しをしていた貿易商のスプリンガル卿が自室で死んでいるのが発見されます。死因はゴブレットのワインに入っていた毒。容疑者は、そのワインを前夜スプリンガル卿の部屋に運んだ執事のブランプトン。ブランプトンは屋根裏部屋で首を吊って死んでいるのが発見されていました。首席裁判官のフォーテスキュー卿は、検死官のジョン・クランストン卿とその書記を務めるアセルスタン修道士をスプリンガル卿の屋敷へとやることに。

14世紀、中世のイギリスを舞台にした歴史ミステリシリーズ第1弾。以前2作目の「赤き死の訪れ」を先に読んでしまったんですけど、ようやく1作目が読めましたー。
前回も、微妙に私の好みから外れるような気がしてたんですが、こっちを読んでみてもやっぱり微妙でした... 中世のイギリスとか歴史ミステリとか、好きな要素は揃ってるはずなんですけどねえ。でも今回面白かったのは、この作品の原題ともなっている「小夜鳴鳥の廊下(ナイティンゲール・ギャラリー)」。これは丁度京都の二条城や知恩院のような鴬張りの廊下なんです。スプリンガル卿の屋敷はとても古いもので、ジョン王の時代には司令官の1人がこの屋敷を本部として使用していたこともあるんですけど、その司令官が他人を誰1人信用できなかったため、特別なイチイの板で張り替えさせたというもの。実際にアセルスタン修道士が足を踏み入れると、どこに立っても一足ごとに「一ダースもの弓の弦を同時に弾いたような」「弦楽器めいた深い音を生じ」て、この廊下に面した部屋にいる人間に分かるようになってるんです。京都の鴬張りの廊下を歩いても弦楽器的な音を連想したことはないんですが... どんな音でしたっけ。今度また行ってみなくちゃ! そしてこの鴬張りの廊下が密室殺人に一役買っているんですねー。
事件自体はそれほど複雑なものではないしし、ミステリ慣れしている読者ならある程度は想像がついてしまうかも。それよりも当時のロンドンの情景がこれでもかというほど詳細に描きこまれていて... 多少詳細過ぎる気もするんですけど...(しかもあまり綺麗とは言えない描写が多いんだな) そういった意味でもとても興味深い作品となっています。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
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