「カスバの男 モロッコ旅日記」大竹伸朗

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画家・大竹伸朗さんが見たモロッコという国を文章、写真、そして絵で表現した本。

風待屋のsa-ki さんに教えて頂いた本です。画家というフィルターを通して見たモロッコを、感性のままに表現してる作品だと聞いていたんですが、まさにその通りの本でした! 一方、大竹伸朗さんというフィルターが強すぎて素のモロッコが見えてこないとも聞いてたんですが、それもその通りで...(笑)
飛行機でマラガに降り立ってから、タンジールやフェズを訪れ、マラケシュから再び飛び立つまでの11日間のことが日を追って書かれてるんですが、これが普通の紀行文とは全然違うんですね。解説の角田光代さんが書かれてるように、これは「異国の夢日記」なのかもしれません。この本を読んでモロッコに行ったとしても、こんな風景は全然見えて来ないんでしょう。(笑)

マラケシュを訪れたところで、こんな文章がありました。

ストロボをたいて撮影すると、一瞬の強烈な光とともに対象となる像が網膜に焼きつく。光をいっさい遮断した部屋の中で像が焼きついた何秒間かは、目を開けてても綴じていても関係のない状態におちいる。
目を閉じながら見る風景は実に不思議だ。「見る」ことの不思議さと頼りなさを、いっしょに感じることになる。

まさにそんな風にして書かれたんでしょうね。モロッコという国のエッセンスは強烈に伝わってくるんですけど、それはあくまでも大竹伸朗さんの感じたモロッコ。カメラのシャッターを押した時みたいに、まさにその瞬間を切り取ってるわけじゃなくて、頭の中に残像として残ってる「いま」を紙の上に表現しているような感じ。それはギタリストが「こんな感じ」と曲を弾いた時みたいに、元の曲と実際に照らし合わせてみるとかなり違っているのに、原曲よりもその「感じ」が的確に表現されているのと似ているのかも。(これは本文中に出てくる話)

最初はなんだか読みにくい文章だなあと思ったんですが、それが逆に大竹伸朗さんという方の個性を端的に表しているみたい。文章としては変なのに、すごく伝わってくるんですよ。途中からは、もうこの文章しかあり得ないという気がしてきたほどでした。大竹伸朗さんの感じたモロッコ、面白かったです。(集英社文庫)

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Commentaires(2)

作家さんが書く旅行記とは、まるっきり違った雰囲気ですよね。
普通の紀行文ならその街に惹かれるものですけど、
この本では大竹さんの個性にKOされました。
物の見方や感じ方、文章の書き方・・・とにかくいろんな刺激が多くて、
印象に残る一冊じゃないかなと思います。
可能なら、角田さんみたいにモロッコに飛んで行って、
自分の目にはどう映るのか確認してみたいものです~。

ここまで普通の旅行記と違うとは! びっくりでしたよ。
確かにその街のことを書いてるはずなのに、全然違うんですもん。
大竹さんのフィルターという意味が、読んでみてすごく分かりました。
いや、ほんと個性的。そして刺激的ですね。絵も写真も文章も。
思わずチケットを買ってしまった角田さんの気持ちが分かります。
自分の目にはどう映るのか見たくなってしまいますものね。

素敵な本を教えて下さってありがとうございます♪
こうなると、素のモロッコが分かる本も読んでみたくなりますね。
きっと全然違うんだろうな~。(笑)

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