たらいまわし企画・第44回「種子を蒔くもの、花と緑の物語」

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tara41.gifたら本に参加します。今回のたらいまわしの主催は、GREENFIELDSの美結さんで、お題は「種子を蒔くもの、花と緑の物語」。
なんて美結さんらしいお題なんでしょう! more trees を支援したくて決めたんだそうです。「種子を蒔くもの」とは、美結さんの大好きな「戦場のメリークリスマス」の楽曲名でもあります。戦メリ、いいですね。私も楽譜を持ってます。

お題は「種子を蒔くもの、花と緑の物語」
◆植物が登場する本
◆花の情景描写が印象的な本
◆植物の息吹、生命力を感じる本
◆植物といえば農作物もOK。あくまで田畑での話で。
◆植物の利用方法
皆様のインスピレーションにお任せします。

この企画に興味をもたれた方は、ぜひ参加なさって下さいね。
初めての方も大歓迎です。ブログに記事を書いて美結さんの記事にTBしましょう♪
(もちろん、ここの記事にもTBをお待ちしております^^)

 
ということで、「種子を蒔くもの、花と緑の物語」です。


まず思い浮かんだのは、フランス人作家モーリス・ドリュオンの「みどりのゆび」。
裕福な家に生まれ、お洒落なお父さんと美しくて良い香りがするお母さんに愛されて育ったチトは、金色の髪の毛と青い目と薔薇色の頬を持った少年。このチトの親指が「みどりのゆび」なんです。
本来緑の指を持っているといえば、植物を育てるのが上手い人のことなんですが、チトの場合、そこにある種を見つけ出してたちどころに花を咲かせてしまうという指なんです。それも土の中だけでなく、屋根の上や窓べり、塀の上、どこでもいいんですね。庭師のムスターシュと一緒に訪れた刑務所や貧民街、病院、動物園の惨状に心を痛めたチトは、そういった場所を次々と花でいっぱいにしてしまうんです。そして最後には戦争も防いでしまいます。
チトの咲かせる花は周囲の人々の心を豊かにしますが、この物語を読んでいる人の心も豊かにしてるはず。夢があふれていて、場面場面の情景もそれをあらわす言葉もとても美しいです。ただ、大人になってから改めて読むと多少教訓くさい部分が目についてしまったのですが... 子供の頃はもっと純粋に楽しめたのに悲しいなあと思ってしまいましたが。それにラストは本当はあまり好きではないのだけど... それでもやっぱり美しい物語。フランスの作品ということで、どことなく「星の王子さま」のような雰囲気があります。


 
次はジャン・ジオノ作、「木を植えた男」です。
これはフランスのプロヴァンス地方の山岳地帯の荒地に、たった1人で木を植え続けていた男の物語。どうやら実話のようですね。須賀敦子さんの本に、須賀さんがイタリア人の友人に聞いた話として登場してて興味を持ってたんですけど(須賀敦子全集7巻)、その後、本になっていることを知りました。誰もいない辺鄙な場所に1人住んでいる男は誰にも知られず、何の見返りも求めないまま、1日100個ずつどんぐりを選んで黙々と植え続けます。そして最終的には、荒地に森を蘇らせてしまうんです。何も知らない人間たちは、森がひとりでに蘇ったかのようなことを言ってて、それがとても滑稽なんですが。
左側の本はフレデリック・バックが絵を描いている絵本なんですが、このフレデリック・バックという人はカナダのアニメーション作家なんだそうですね。この絵で映像化もされています。'87にアカデミー賞短編映画賞受賞しているのだとか。あと高畑勲さんが「木を植えた男を読む」なんて本も出してました。


  

最後は、紬織の人間国宝作家で染色家の志村ふくみさんのエッセイ「一色一生」「色を奏でる」と、梨木香歩さんの「からくりからくさ」。
先に読んだのは「からくりからくさ」です。この作品の主人公が染色家を目指す女性で、植物で染めた糸を織り、庭のタンポポやカラスノエンドウ、露草といった植物を気軽に食べて、自然を大切にした暮らしを送っています。この暮らしぶりも印象的だったんですが、その後実際に染色をしてらっしゃる志村ふくみさんの本と出会いました。

色はただの色ではなく、木の精なのです。色の背後に、一すじの道がかよっていて、そこから何かが匂い立ってくるのです。私は今まで、二十数年あまり、さまざまの植物の花、実、葉、幹、根を染めてきました。ある時、私は、それらの植物から染まる色は、単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が色をとおして映し出されているのではないかと思うようになりました。それは植物自身が身を以て語っているものでした。こちら側にそれを受け止めて活かす素地がなければ、色は命を失うのです。(「一色一生」P.13)
草木がすでに抱いている色を私たちはいただくのであるから。どんな色が出るか、それは草木まかせである。ただ、私たちは草木のもっている色をできるだけ損なわずにこちら側に宿すのである。(「色を奏でる」P.16)

どちらもとても印象に残った文章。もう「色をいただく」という言葉だけでも、志村ふくみさんという方が見えるような気がします。色と色を組み合わせて新しい色を作る化学染料と違って、自然の色は他の色と交ぜることはできないんですね。自然界の草木や花からは決して出せないという緑色を出すために、黄色に染めた糸に藍をかけることはあっても、梅と桜を交ぜて新しい色を作るということは決してないんだそうです。...「それは梅や桜を犯すことである」。
「花が咲く前、穂の出る前の色に精気がある」「その蕾の季節に炊き出して染めると、えもいわれない初々しい、その植物の精かと思えるような色が染まる」「野草で染めた糸の群れをみていると、野原そのものの色合になっている」「草木の染液から直接緑色を染めることはできない」などなど... これって、41回の「私家版・ポケットの名言」に出したら良かったかも。(笑)

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Commentaires(12)

ああそうだ、志村ふくみ。
志村の美術展(染色の端切れを使ってタペストリー?を作っていた)が
TVで紹介されて、おおお!これは観たいぞと思ったのだけれど、
開催場所が関西であきらめた記憶があります。
展覧会は行けないけれど、本は読みたいなと思いつつ積読・・・
どころか未入手の脳内積読状態で。思い出させてくれてありがとうございます。

四季さん、参加ありがとうございます。
完全に趣味に走りました(笑)
『からくりからくさ』のシーンは印象的でした。
志水ふくみさんの本も興味があるので、読んでみたいです。
染色というと吉岡幸雄の本は2冊読んでいます。
『木を植えた男』は、内科の待合室で途中まで読んだけど、ぼうとして記憶が薄れています。
楽しい本ばかりで、ウキウキしています。

>菊花さん
ああ、志村ふくみ展、私も見に行きたかったです。
ご自分で染色して織った布で着物を作って…
でも後に出る端切れも捨てられなくて、大切に使われたのでしょうね。
いいなあ、そういうの。
本もとても素敵ですよ。菊花さんもぜひぜひ♪

>美結さん
梨木香歩さんの作品は、自然を感じさせるものが多いですよね。
今回は、志村ふくみさんの本のきっかけとして、この作品を出してみました。
あ、でも吉岡幸雄さんの本は未読なんです。
調べてみると、文庫になってるものがほとんどないようなのでとても残念。
美結さんはどの本を読まれたのでしょう。いかがでしたか~?
オススメの本があれば教えてくださいね。

「木を植えた男」、またぜひ手に取ってみてくださいませ♪

思えば日本語では、色の名前が植物の名前と重なっているものがたくさんありますね。
藍、紫、紅、萌黄、茜、橙、菖蒲、柿。
うちの「あずき色」もそうです☆
花や実は、植物からすれば、できるだけ目立って、虫や動物の気を引くためのもの。
「色」という感覚が生物にとって重要なのは、その点が自然選択されてきたからと思います(と最近ダーウィンを読んだので、なんでも「自然選択」に結びつけたがる私ですw)

昔の人には、色の材料になってる植物はごく身近な存在で、自分の手で色を取るようなことは当たり前だったんだろうなあ。
紫式部という女の人は、これしか名前がわかってなくて、「紫+式部」とほとんど一般名のような状態。
紫は恋の色。もっと昔には、性愛の宴のような特殊なハレの場で使う色だったのかもしれません。
この名前が残ったのは、非常に意味があると思います。自然選択の結果ではないのですが(^_^;)
志村ふくみさんが自分の手の感触で掴んだ「真理」は、きっと古代人には馴染みのものだったにちがいありません。
おおげさにいえば、神秘主義的な見方だけど、その根拠は身近な手作業にあるんですよ。
「西の魔女」もそんなことを言っていた気がします☆

…そうそう。トラックバックが飛びませぬ。
もっぱらうちのせいです。
こないだの記事はできたのになあ。
まだWordpressに馴染んでないです…。

>overQさん
本当に色の名前が植物の名前と重なってるものは多いですね。
どこからその名前がつくことになったのか、一目瞭然。
しかも植物の名前の色に染められている着物は
どの季節に着るべきなのか、名前を聞くだけで分かるような気がしたり…
あ、どの色とどの色を組み合わせるべきかということも分かりそうですね。
昔は自然ともっと近しい生活をしていたから
みんな自然にそういうことを覚えていたんでしょうね。
今はそんな風に自然に触れることも少なくなってしまったし
身近な手作業となると、もっと縁遠くなってしまっているのだけど。

紫式部、という名前にも今以上に何かニュアンスがあったのかも。
たとえば、名前を聞くだけでニヤリとしたり納得したりするような…
そういうのが分からないのって、なんか悔しいです。
いや、特にないのかもしれないですけど。(笑)
書いてるうちに、何もないわけないような気がしてきました。(^^ゞ

トラックバック、なんででしょう! この間と何が違うのかしら。
先日は記事内でリンクしていただいてましたけど
リンクがなかったらハネる設定なんてしてないですよー。
スパムのフォルダにも入ってないし、ログにもそれらしいものは何も。
MTとWordpressの相性なんでしょうか。
またぜひ調子の良さそうな時にでも送ってみてくださーい。

こんばんは。

志村ふくみさんは、銀座で2回ほど個展を見ましたよ。
うち1回は額やタペストリーも出てました。
自分の意思より、色や糸や布の意思を最優先しているような、
作っているというより、生まれるのを助けているって感じの作品でした。
志村さんの名前そのものは、中学校の国語の教科書で知りました。
その頃に図書室で『一色一生』を探し出したんですけど、
当時は難しくて、通読したのは結局大学生になってからって記憶があります。

「みどりのゆび」と「木を植えた男」は有名なのに読んだことがなくて、
しかもあらすじだけ何となく知っているという、とても悪いパターンです。(汗)
いい機会なので、近々、ちゃんと読んでみたいと思います。

>時鳥さん
わあ、志村ふくみさんの個展に行かれたことがあるとは羨ましい。

>作っているというより、生まれるのを助けているって感じの作品でした。
ああ、やっぱりそういう作品なんですね。
なんとなく想像できるような気もするんですけど… それはやっぱり実物が見てみたいです。
私の時の国語の教科書には出てこなかったので(多分)
志村ふくみさんのことを知ったのは、ここ数年のことなんですよ。
またいつか個展があったら、その時こそぜひ行きたいです。

読んだことはないけどあらすじだけをなんとなく知ってる、というのはありますよね。
私もそれで読んだつもりになってることってあるし…
こうやって紹介して、そういうパターンをますます増やしてるのかもしれません。(汗)
どちらもとてもいい作品なので、ぜひ手に取ってみてくださいね!

こんばんは天藍ですー^^

志村ふくみさん!素敵ですよねえ。
あ、私も、四季さんがあげてらっしゃる文章、教科書で読んだような記憶があります…。
植物からとった色は、やはり、その植物の生命力の色という印象をうけますよね。

「みどりのゆび」と「木を植えた男」は、、あああ、私もちゃんと読みにいかなければ!

>天藍さん
わあ、天藍さんも国語の教科書で読まれていましたか。
いいなあ、うちの教科書にはなんで載ってなかったんだろうー。
載ってたら、もっと早く出会えていたのに!
…まあ、最終的には出会えてるのでいいんですが。(笑)
ほんと、植物の生命力の色なんですね。
染めるという1つの作業だけ単純に切り離して考えたりはできないわけで…
だからこそ、その奥深さが素敵ですよね。

「みどりのゆび」と「木を植えた男」は、天藍さんもぜひぜひ♪

四季さんおひさしぶりでございます。
2か月おくれのどきどきこそこその参加です。(苦笑)
みどりのゆび、私はばななさんのものをあげたのですが、本家本元があったのですね。知らずにいたので、これはぜひ読んでみなければです。
そして、志村ふくみさん。かぶってしましましたが、四季さんあたりがあげてらっしゃると思っていました。光栄です。

picoさん、こんにちは!
いつ参加されるかな~と楽しみにしてたんですよ。
このお題なんですもん。
待ってました!です。^^

「みどりのゆび」は、ぜひぜひ。
ばななさんの方は読んでないのですが、
調べてみたら、この作品へのオマージュなんですね。
志村ふくみさんは、本当に素敵ですよね。
picoさんとかぶってるとは、こちらこそ光栄です。^^

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