「ロシアの神話」フェリックス・ギラン

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題名こそ「ロシアの神話」なんですが、中身は「スラヴの神話」「リトワニアの神話」「ウグロ=フィンの神話」の3つ。スラヴ民族は東欧からロシアにかけて広がってるし、本来ロシアの神話といえば「スラヴ神話」のはず。リトアニアとフィンランドは関係ありません。まあ、リトアニアもフィンランドも、かつてロシア帝国やソビエト連邦に組み込まれていたことがあるし、それぞれ独立した1冊にするほどの量もないから「ロシア」というくくりで1冊にまとめられたんでしょうけど... とはいえ、目当てはスラヴ神話でも、フィンランドの神話についても以前から知りたいと思ってたので、思わぬ収穫でした。

メインのスラヴ神話に関しては全然何も知らないので、この本がいいのかどうなのかも分からないんですが...
読み物としてあまり面白味はないんですけど、とても興味深かったです。あらゆる神々の父は「天(スヴァローグ)」で、その2人の息子は「太陽(ダジボーグ)」と「火(スヴァロギッチ)」。この太陽神が、どこかで見たようなイメージなんです。地域によって多少違うようなんですが、基本的に馬車に乗って1日に1回天空を1周するみたい。それは火の息を吐く白馬たちに引かれた光り輝く馬車だったり、黄金のたてがみを持つ12頭の白馬に引かれたダイヤモンドの二輪馬車だったり、銀の馬と金の馬とダイヤモンドの馬との3頭の馬に引かれた馬車だったり。ギリシャ神話にも、太陽神ヘリオスの息子・パエトーンが父親の馬車を引きたがる話がありますよね。北欧神話にも太陽の馬車が出てきていたはず。調べていたら、インド神話の太陽神・スーリヤも7頭の馬が引く戦車に乗ってるようです。それに対して、エジプト神話では「太陽の舟」。空を大地に見立てるか海に見立てるか、どちらかなのでしょうか。となると高天原は? 天照大神も何かに乗ってたのかしら? もしかして牛車?(笑)
あと、同じ名前の精霊でも地方によって姿形や性格が全然違ってたりするのが面白いです。たとえば水に溺れた若い女性は「ルサールカ」になるそうなんですけど、南のルサールカはその優美な美貌と優しい歌声で旅人を誘惑して快い死に至らしめるんですって。まるでセイレーンやローレライみたいですね。でも北のルサールカはざんばら髪に裸でまるで妖怪のよう、邪悪で意地悪で人々を水に突き落として苦しみの中で溺れさせるんだとか。

そしてフィンランドといえば国民的叙事詩「カレワラ」。「カレワラ」についての本は色々あるし、私も多少は読んでるんですけど、神話そのものを解説してる本というのはなかなかないんですよね。こんなところで読めて嬉しーい。カレワラにも天地創造の場面はあるんですけど、神々はそれ以前から存在していたようだし、主人公・ヴァイナミョイネンもその友・鍛冶師のイルマリネンも、2人が戦うことになる北方の魔女ロウヒも、普通の人間ではないにせよ神という感じではないし、どうもすっきりしないままだったんです。
でも神々のことは一応載ってたんですけど、あくまでも「一応」の説明という感じ。読みたかった感じの神話ではなかったです。ギリシャ神話ほどではないにせよ、何かしらのエピソードを期待してたんですけど、そういうのも全然ないし...。神々の誕生にまつわる話なんていうのもないんです。もしかしたら、実際フィンランドにもほとんど残ってないのかなあ。すごく読んでみたいんだけどなあ。どなたかご存知の方がいらしたら、教えてください。(青土社)

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Commentaires(4)

お勧めを。
名著普及会の世界神話伝説大系にフィンランドの神話伝説が含まれていたはず。
30年近く前の本のはずなので入手は困難かと思われます。
運が良ければ図書館にあるかもしれません。

わー、ありがとうございます!
さすが森山さん、詳しいですねえ。
名著普及会なんて、名前を聞いたのも実は初めてです。
この世界神話伝説大系はすごく沢山出てるんですね。全41巻?
アマゾンで調べてみると「通常3~5週間以内に発送」となってましたが
これって絶対違いますよね…
市内の図書館には入ってないようなんですが
フィンランドの神話だけで1冊になってるようだし、ぜひ探してみたいです。

こんばんは。
 博識さについていけず、ロムのみになっていますがいつも楽しく読ませていただいております。民話っていうのはやっぱりこうしてこちらで読んでいるだけでも、いろいろ風土色や原型からの変遷なんかがあって面白いですよね〜。
 むかーし、学童保育のセンセイをしていたので、いろいろな童話(短い絵本っぽいのがどうしても多かったけれど)の読みきかせとかをしていたので、実はこういうの好きだったりします。
 

樽井さん、こんにちは!
体調はもうすっかり良くなられたでしょうか~?

ええと、博識なんてことは全っ然(強調)ないんですが
ちょっとマニアックなものが多いので反応しづらいですよね… すみません。(^^ゞ
でも読んで下さってありがとうございます。
民話ってほんと面白いですね。最近ぷち民話ブームなんです。
世界中に似たような話がありますが、どこで生まれてどんな風に移動して
どんな風に変わっていったんだろうなあって思っちゃう。
わあ、学童保育の先生をなさってたんですか!
となると色んな話をご存知なんでしょうね。
お仕事は大変なんでしょうけど、なんだか楽しそうです。

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