「スペイン民話集」エスピノーサ
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エスピノーサは、スペイン系アメリカ人の言語・口承文芸の研究者。原書に収められている280編もの民話から、日本人が興味深く読めるスペインらしい話全87編が選ばれているのだそうです。謎話、笑い話、教訓話、メルヘン、悪者話、動物昔話、だんだん話の7章に分かれています。
スペイン語の原題、採取された場所、グリム童話などに類話がある場合はその題名などが記されていて、かなりきちんとした民話集です。
この中で一番興味深いのは、「聖女カタリーナ」かな。これは教訓話の章に収められている話。幼い頃から信心深く生きていた聖女カタリーナとは対照的に、その母親はとても罪深い女。一足早く亡くなった聖女カタリーナは当然天国へと行くんですが、母親は当然のように地獄行き。でも聖女カタリーナは母親と一緒にいることを望んで、キリストや聖母マリアにお願いするんですね。そして天使たちが母親を迎えに行ってくれることになります。でも母親は、自分ににつかまって一緒に地獄を出ようとした他の魂たちに向かって悪態をついて、それを聞いた天使たちは母親を放してしまう... という話。
どこかで聞いたような話でしょう? これは芥川龍之介「蜘蛛の糸」の原話なんです。
でも同じように宗教的な雰囲気を持っていても「聖女カタリーナ」と「蜘蛛の糸」は全然違ーう。一番違うのは、再び地獄に落ちた母親の魂のために、聖女カタリーナ自身も地獄へ行くことを選ぶというところなんです。なんと母親愛の話だったんですねえ。たった一回蜘蛛を助けたぐらいで、お釈迦様の気紛れに振り回される「蜘蛛の糸」と違って、この「聖女カタリーナ」の方がずっと説得力があるし、話として筋が通ってるし、私はこっちの方が好きだなあ。芥川龍之介の描く極楽と地獄の情景も美しいですけどね。(岩波文庫)
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こんにちは。樽井です。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」。この原作は、アメリカの東洋学者のポール・ケーラスという方が書いた「カルマ」(「業」?)とかいう作品を翻訳したもので、そもそもがその前に誰かが翻案したものを読んで芥川さんがそれをまた翻案したというような話を聞いたことがありますが、それとは全くまた別ルートがあったんですね。
奥が深いです。
と思ってちょっと調べたら、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」はカラマーゾフの兄弟の中にでてくる「一本の葱」という作品がもとという説もあるとか。確かにお話的にはこちらのほうがよく似ているような気もします。その本とか読むとこのあたりの事もすきっと解決になったりしますか?
樽井さん、こんにちは!
わあー、全然知りませんでしたよ。
他にも原案とされる作品が色々あったんですね。>「蜘蛛の糸」
私が読んだこの本には、この「聖女カタリーナ」が
「蜘蛛の糸」の原作として有名、みたいなことが書かれていたので
てっきりこれだけなのかと思い込んでしまいました。
実際、そっくりですしね。
でもたとえば羽衣伝説とか、世界各地に似たような民話が存在してたりするので
他にも色々説があるというのは、いかにもありそうです。
ドストエフスキーも、ロシアの民話から取ったのかもしれないですものね。
となると、「カルマ」という作品はインド系の民話でしょうか。
…芥川が実際にどれを読んだのかというのとはまた別の話になってしまいますが。