「剣と絵筆」バーバラ・レオニ・ピカード

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14世紀初頭のイギリス。スティーヴンは伯爵の息子ながらも、幼い頃に犬に噛まれたのが原因で犬を怖がるようになり、しかも内気で心優しい性格だったために、実の姉妹や腹ちがいの兄弟姉妹にいじめられる毎日。本人も自分のことを臆病だと思い込んでいました。父親の伯爵も、スティーヴンを騎士にするのではなく修道院に入れようと考えていたのです。そんなある日、伯爵家の猟犬が7匹の子供を産み、そのうちの一番弱い仔犬が殺されようとしているのを知ったスティーヴンは、思わずその仔犬を引き取ると言ってしまいます。はじめは引き取った仔犬を密かに捨てようとするスティーヴンでしたが、崖から落ちた仔犬を助けたことから、徐々に仔犬に対する愛情を持ち、犬に対する恐怖心を克服することに。

先日読んだ高柳佐知子さんの「ケルトの国へ妖精を探しに」(感想)に出てきて興味を持った本。修道僧が福音書を描いている場面の描写が詳細だというのが読みたいなと思ったポイントで、実際その場面も満足したんですけど、いやあ、全体的にもとてもいいお話でした!
主人公のスティーヴンはとても感受性が鋭い少年なんです。物の形や色彩にも敏感で、明らかに絵の才能があるんだなという感じ。でもこの時代のことだから、男の子は何よりも騎士になるのが一番とされてるんですよね。見るからに騎士に向いてないスティーヴンは、単なる落ちこぼれ。出来損ない。誰もスティーヴンの才能や長所に気づくことがないんです。本人ですら、自分が臆病で何もできない人間だと思い込んでるし... まさに「みにくいあひるの子」状態。しかもあひるの子なら大きくなって白鳥になった自分を見ることができるのに、スティーヴンには確認する手段が全然なくて。
そんなスティーヴンに、少しずつ自信を付けさせてくれたのが犬のアミール、師となったペイガン卿、そして従者となったトマス。中でもペイガン卿の言葉は、スティーヴンに大きな影響を及ぼしてます。

じぶんのことを他人に決めてもらってはいけない。じぶんが生きたいと思うとおりに人生を生きるんだ。他人にこうすべきだと指図されて生きたりしてはだめだ。自分らしく生きなさい。そしてなんでもやりたいことがあったら、精魂込めてやるんだ。

なによりも、いつもじぶんらしく生きるんだ。他人を傷つけさえしなければ、恐れずに自分のやりたいことをやりたまえ。神はわれわれを、それぞれ別々に形造ってくださった。もし神がきみをふつうとはちがった型に入れて造るのがいいとお思いになったのなら、臆することなく人とちがっていればいいのだ。

出会いがあれば別れもあるし、それにとっても長い回り道だったんですけど、それだけに最終的に見つけた自分だけの道はスティーヴンにとって実りが大きいはず。最後にあの頑固な人の後悔も癒されることになって良かったわー。長い長い自分探しの旅の話でした。児童書なんですけど、大人にも十分読み応えがあると思います♪(すぐ書房)

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