「ワンダー・ドッグ」竹内真

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1989年4月6日。空沢高校の入学式に遅刻した甲町源太郎の制服は所々破れて砂埃にまみれ、膝やこめかみの辺りには乾きかけた血の痕が、そして制服の胸元には子犬が...! 遅刻した原因は交通事故。自転車で交差点を渡ろうとした時、左折してきたライトバンとぶつかったのです。幸い大きな怪我もなく、高校まで歩いて来ることになった源太郎が見つけたのは、道端に捨てられていた犬。社宅住まいで犬を飼えない源太郎は、学校が終わった後に早速飼い主探しにとりかかります。そして顔見知りの先輩のアドバイスで、学校の敷地の隅でテントを張っていたワンゲル部に行ってみることに。

「ワンダー・ドッグ」のタイトルからも、犬が登場するんだろうなというのは想像できるんですけど、ここまで犬が中心の話だったとは!
犬につけられた名前は「ワンダー」。約10年間の、ワンダーとワンダーをめぐる人々の物語となっていました。ワンゲル部の努力の甲斐あって学校の犬となったワンダーは、拾い主の甲町源太郎の卒業の時が来て、その時にはもう自宅で犬が飼えるようになってるんですけど、学校に居続けることになるんですよね。既に甲町源太郎個人の犬ではなくなってるんです。そして子犬だったワンダーが大きな成犬となるように、最初3人しかいなかった廃部寸前の弱小部はいつしか空沢高校の顔とも言えるような部に...。最初にワンダーと関わった高校生たちが卒業していっても、また新たな高校生が入学してきて、それぞれにワンゲル部やワンダーと関わっているのがまたいいんですよねえ。
前作の「オアシス」も犬が中心的存在となっていたし、その時も十分感じてましたけど、竹内真さんは犬が本当にお好きなんですねー。しかも犬が好きで可愛がるだけでなくて、きちんと正面から向き合っている姿勢が伺えます。ほんとこのワンダーが可愛くて可愛くて。犬好きさんには堪らない作品かと。そして犬だけでなく、ワンダーを拾った甲町源太郎も、ワンゲル部顧問の大地先生も、憎まれ役の教頭ですらとても魅力的。竹内真さんらしい爽やかな青春物語でした。(新潮社)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

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Commentaires(4)

こんばんは。
素敵な物語でしたね。
読み進むうちに生徒たちと同じように、ワンダーへの愛着が増して、
読み終わる頃にはとっても愛しくなっていました。

トラックバックさせていただきました。

藍色さん、こんにちは!
トラックバックありがとうございます。
ほんと素敵な物語でしたよね~。心が温まります。
竹内真さん、やっぱり好き!と思いました。(笑)

四季さん、こんばんは♪
TBさせていただきました。

竹内さん、いいですね。
この手の作品を書かせたら右に出るものいないんじゃないかなと思います。

私的にはちょっと深読みして主人公の二人をワンダーが巡り合わせてくれたような気がしました。

今頃仲良くしてるのかなってそう願いたいですね。

トラキチさん、こんにちは! TBありがとうございます。
竹内さん、ほんといいですよね~。
最近とみに日本の作家さんの作品からは離れつつある私なんですが
竹内さんの作品はまだまだ読み続けると思います。
「自転車少年記」も、ほんといいですよね! 大好き。

主人公の2人ということは、源太郎と由貴ですか?
そうかもしれませんね~。
でも、その辺りは曖昧なままで残しておきたいような気もします。(^^ゞ

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