「肉屏風の密室」森福都

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新姚県の知事が難癖をつけては罪もない士人を捕縛して牢に押し込めたがるというという噂が朝廷に届き、越州へと向かった巡按御史一行。そして新姚県に入って早くも3日目で、希舜と伯淵は宿に踏み込んできた羅卒によって政庁へと引き立てられてしまいます...という「黄鶏帖の名跡」他、全5編。

「十八面の骰子」に続く巡按御史のシリーズ第2弾。少年のような見かけながらも実は25歳の巡按御史・趙希舜、長身に美声ながらも拳法の達人でもある希舜の弟分・傅伯淵、希舜の父に用心棒として雇われた賈由育、そして伯淵に惚れて女細作として同行するようになった燕児の4人組が活躍する連作短編集です。ええと、巡按御史というのは、天子直属の監察官。身分を隠して任地へ赴き、秘密裏のうちに地方役人の不正の有無を吟味する役目。身分を証明するためには「先斬後奏」「勢剣」「金牌」という3つの品を常に携行しています。
要するに水戸黄門的勧善懲悪物なんですが(笑)、中華ミステリの森福都さんらしく、「蓬草塩の塑像」ではアリバイトリック、「肉屏風の密室」では文字通り密室トリックといったように、ミステリ的にも十分楽しめるのがポイント。一行がどこに行っても温信純という男の存在が不気味に見え隠れして、女流賊・行雲とその手下2人も事あるごとに現れます。それに希舜がなぜ巡按御史になりたいと思ったのか、どんな出来事があったのか、という前作を読んだ時に知りたいと思っていたこともぽつぽつと語られるので、前作「十八面の骰子」を読んでおいた方が断然楽しめるでしょうね。と言ってる私自身が「十八面の骰子」の細かい部分をすっかり忘れていたりするんですが... 文庫が出たら買うつもりにしていたのに、すっかり抜けてたみたい。チェックできませんー。(それにしても文庫本の表紙の雰囲気が単行本と全然違うのにはびっくり。なんと宇野亜喜良さんでしたか。)
悪役との決着もまだついてないし、5編目「楽遊原の剛風」のラストは、いかにも続きがありそうな終わり方。続編にも期待です。(光文社)


+シリーズ既刊の感想+
「十八面の骰子」......ブログには感想がないので、よろしければLivreへどうぞ
「肉屏風の密室」森福都

+既読の森福都作品の感想+
「琥珀枕」森福都
「漆黒泉」森福都
「狐弟子」森福都
「楽昌珠」森福都
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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   四季さんにお勧めいただいた中国の宋の時代のミステリで、構成的には、連作短編集という形で適度な長さのものが数作入っています。暖かいウーロン茶でも飲み... » Lire la suite

Commentaires(6)

 ご無沙汰です。
 これ、面白そうなシリーズですねぇ。中国とかのミステリといえばディー判事シリーズくらいしか知らないんですけれど、これ面白そうですし文庫のようですし、ちょっと読んでみたいと思います。

樽井さん、こんにちは!
森福都さん、いいですよー。中国物のミステリって貴重ですし。
「肉屏風の密室」はまだ単行本が出たばかりなんですけど
「十八面の骰子」なら文庫ですので、ぜひ試してみてください。
あと「双子幻綺行」というのもすっごく面白くてオススメなんですけど…
これは文庫にならないのかも。もう7年経ってるのに、まだなんです。
という私はディー判事シリーズを読んだことがないんですよ。
実はポケミスってまだ全然読んだことがなくて。
今度ぜひ見てみますね!

 でしたら、「十八面の骰子」というのをまず読みましょうかね。文庫なら手がだしやすいですし。探してみます。
 中国物のミステリは確かに貴重ですね。自分が知っているのも極端に少ないです。そのディー判事ものは昔の時代の話だから、自白以外の手段によってはさばけないけれど貴族相手だとそういう状況にまずもっていけないし、もちろん指紋だの血液型なんて話もたしか出せなかったし。。。
 近代の中国のものだったら、なにかと話題のチベット自治区に住む主人公が中国人に迫害されながらもこっそり捜査するというのがむかしハヤカワから出ていたのですが、それ以外に浮かびません。
 

そうですね、ぜひぜひ。
中国物、大好きなんです。
ディー判事のシリーズも、ものすごく気になってます。
シリーズ物は大好きなので、ハマるようなシリーズだったら嬉しいんですが…
結構長いシリーズみたいですしね。
ただ、以前西欧の人が書いた中華ファンタジーで痛い目に遭ったことがあるので
ちょっぴり不安もあったりして。(^^ゞ

あ、「十八面の骰子」は、北宋の時代の話なんです。
だからこちらも指紋や血液型はナシです。
樽井さんにも楽しんでいただけるといいなあー。

古いところにコメントさせていただきますが、「十八面の骰子」読ませていただきました。すごく楽しみました。連作短篇なんで、一区切りのお話ずつ、楽しく読ませていただきました。主人公たちの過去や今までの経緯など、気になることも語られる続編があるというのもとても楽しみなことです。 
 いい作品紹介いただきました。ありがとうございます。 
 トラックバック、一応こちらに張らせていただきますね。

わあ、読まれたのですね!
楽しまれたようで、ほんと良かったです。
ちょっと記憶が定かではなくなってしまってるんですが
「十八面の骰子」はとにかく痛快だったんですよね、確か。
続編の方は、そこまでの痛快さはなかったんですけど
登場人物たちをもう少し掘り下げた感じになってました。
文庫になるまでにはもうちょっと時間がかかりそうですが
またぜひ手に取ってみてくださいね。

もっと古い記事でも全然大丈夫ですよ。いつでもどうぞ♪
トラックバック、ありがとうございます。
こちらからも送らせていただきますね~。

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