「魔法の庭」イタロ・カルヴィーノ

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カルヴィーノの比較的初期の作品だという11編を収めた短編集。
青い空に白い雲、明るい陽射し、光を照り返す海の水... 読んでると眩しくて目を細めてしまいそうな情景がどんどん広がる短編集なんですけど、でもどこか影が付きまとうんですよね。「蟹だらけの船」で子供たちが遊び場にしてるのは、戦争中にドイツ軍が沈めた船。「不実の村」で逃げているのは、パルチザンの青年。「小道の恐怖」に描かれているのは、駐屯隊から駐屯隊へと走る伝令・ビンダ。「動物たちの森」は、パルチザン狩りに来るドイツ兵の物語。どこか戦争の影が見え隠れしていて... これは、未読なんですが「くもの巣の小道 パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話」に近いのかな? 
私が気に入ったのは、寓話的な「動物たちの森」。ドイツ兵がパルチザン狩りに来ると、パルチザンたちは自分の大切な物を持って森の中に逃げるんですけど、この森の中がまるで魔女の森みたいなんですよねえ。現実のような非現実のような、このバランスがすごく好き。あと、いい年をした大人が揃いも揃ってお菓子を食べることに夢中になっちゃう「菓子泥棒」も滑稽で楽しかったし~。そして美しい庭園の中で遊んでいる少年と少女の姿はとても微笑ましいはずなのに、どこか不穏なものを感じて落ち着かない気分になってくる「魔法の庭」も印象深い作品でした。(ちくま文庫)


+既読のイタロ・カルヴィーノ作品の感想+
「宿命の交わる城」イタロ・カルヴィーノ
「不在の騎士」イタロ・カルヴィーノ
「レ・コスミコミケ」イタロ・カルヴィーノ
「なぜ古典を読むのか」イタロ・カルヴィーノ
「まっぷたつの子爵」「木のぼり男爵」イタロ・カルヴィーノ
「イタリア民話集」上下 カルヴィーノ
「魔法の庭」イタロ・カルヴィーノ
「見えない都市」イタロ・カルヴィーノ
「マルコヴァルドさんの四季」カルヴィーノ
「冬の夜ひとりの旅人が」イタロ・カルヴィーノ
「柔かい月」イタロ・カルヴィーノ
「カルヴィーノの文学講義」イタロ・カルヴィーノ
「パロマー」カルヴィーノ
「くもの巣の小道」イタロ・カルヴィーノ
「むずかしい愛」カルヴィーノ

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魔法の庭(1991/09)イタロ カルヴィーノイタロ・カルヴィーノ商品詳細を見る 目次 蟹だらけの船 Un bastimento carico di... » Lire la suite

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四季さん、こんにちは。
美しいんだけれど、確かに不穏。
しかも、この美しさが無垢な感じの美しさだから、この影によって
よりその美しさが強調されるのでしょうか。

今、四季さんの例の二冊の記事に飛んだんですが、「不在の騎士」は
ともかく、「宿命の交わる城」は私には無理そうです~。涙
「らしい」、というのは、そういう意味だったのか!とニヤリとしつつ、
あの手のは知識がないと面白さ半減ですもんねえ。
私には、「寓話的歴史小説3部作」の方がとっつきやすそうです。

つなさん、こんにちは!
そうですね、無垢な感じの美しさだから
より強調されることになるんでしょうね、きっと。
でね、つなさんがぷくぷくと立ち上る泡にたとえてらしたでしょう?
あれはものすごくぴったりな表現だな~ って今しみじみ感じてます。

「宿命の交わる城」は、知らなくても大丈夫だとは思うし
あの賢覧豪華な世界を体験してみて欲しいなあって思うんですが
でも知ってた方が楽しめるというのは確かにありますね…
ではでは、「不在の騎士」をどうぞ~♪
「木のぼり男爵」と「まっぷたつの子爵」も面白かったです。^^

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