「猫と針」恩田陸

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30代後半、ほぼ同年代に見える喪服を着た男女が5人。彼らは高校の同級生で映研の仲間。かつては気の置けない仲間として付き合っていた彼らも、実際に会うのはとても久しぶり。映画監督デビューを果たしたタカハシユウコの呼びかけで、エキストラとして出演するために集まったのです。その日は、奇しくもかつての同級生・オギワラの葬式があった日。それぞれの近況やかつての同級生の噂から、殺されたオギワラの捜査のために葬式には警察も来ていたという話になり、高校の学園祭の直前に消えたフィルムの話や食中毒事件の話も飛び出して、徐々に不穏な空気が漂いはじめます。

演劇集団キャラメルボックスのために書き下ろしたという初の戯曲作品。少人数の密室劇で心理サスペンス物がやりたいという劇団側の最初の希望通り、登場人物は5人だけで、場面もそのままの1幕物。
話が進むにつれてそれぞれの抱えている事情は徐々に明らかになっていくんですけど、相手が今どんな状況にあってどんなことを思ってるのか、最初は分からないんですよね。まずは腹の探りあい。なんでこの人はこんなに疑い深いんだろう... なんて人もいたりして。それも彼の今いる状況のせいなんですが、その疑い深い言葉に背中を押されるようにして他の4人も徐々に疑心暗鬼になっていきます。そして場がどんどん緊迫していく様子にどきどき。
とは言っても、最終的には肝心な部分が分からないまま終わってしまうのが恩田さんらしいですが...(笑)
劇団側からの「直してほしい・解決してほしい点のリスト」を全て解決したせいで恩田色が薄くなってしまったという意見もあったようなんですが、そうなのかな? それでも私にはすごく面白かった! 初の戯曲作品ということで色々戸惑った部分もあったようですが、そんな裏事情が分かる「『猫と針』日記」その他もすごく面白かったです。「違う。違うわ。台詞の重みが、存在感が、全然違うっ。」

最後に「猫と針」という題名について。

かつてボリス・ヴィアンという人がいて、『北京の秋』という本を書いた。人に「なぜ『北京の秋』というタイトルなのか」と聞かれ、「北京にも秋にも関係があい。だから『北京の秋』だ」と答えたそうである。『猫と針』は、猫は若干関係があると思うけれど、針が関係あるのかどうかはまだ分からない。

要するにあんまり関係ないということですね。(笑)
ボリス・ヴィアンの全集の中で次に読む予定なのが「北京の秋」。ああ、読まなくちゃな。もうちょっと涼しくなったら、ちゃんと「秋」になったら読もうっと。(だから「秋」には全然関係ないって言ってるのに!)(新潮社)


+既読の恩田陸作品の感想+
「夏の名残りの薔薇」恩田陸
「小説以外」恩田陸
「ユージニア」恩田陸
「蒲公英草紙」「光の帝国」恩田陸
「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」恩田陸
「ネクロポリス」上下 恩田陸
「エンド・ゲーム」恩田陸
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「中庭の出来事」恩田陸
「朝日のようにさわやかに」恩田陸
「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸
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「猫と針」恩田陸
Livreに、これ以前の全作品の感想があります)

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Commentaires(2)

四季さん、こんばんは。
ずーっと前から、ボリス・ヴィアン、読みたいな~と思ってるのに、全く果たせてないんです~。
四季さんの記事と掲示板を読んで、「清談 佛々堂先生」を借りてきちゃいました。
こちらも楽しみ♪
って、恩田さんの本の話に全然関係ないわー。笑
自分の感想書いた時にはすっかり触れるの忘れちゃったんですが、「『猫と針』日記」が何とも生々しくて面白かったですよね。
恩田さんは、エッセイももっと読んでみたいなぁ。

つなさん、こんにちは。
あ、ボリス・ヴィアンなら「日々の泡」(別名「うたかたの日々」)をぜひ!
私の2006年度の年間ベスト1の作品でございます。^^
おお、「清談 佛々堂先生」も借りられたのですね。それはつなさんの感想が楽しみだ~♪

…ということで、「猫の針」ですが(笑)
そうそう、戯曲以外のとこもすごく面白かったですよね~。
私も恩田さんのエッセイ、もっと読んでみたいです!
「恐怖の報酬~」とか「小説以外」とかも、ほんと面白かったし。
本や映画の話はもちろん、それ以外にも引き出しの多い方ですもんね。書いて欲しいな。

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