「窯変 源氏物語」1~3 橋本治

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1巻は「桐壺」「帚木」「空蝉」「夕顔」、2巻は「若紫」「末摘花」「紅葉賀」、3巻は「花宴」「葵」「賢木」。
1991年から1993年にかけて全14巻で刊行されたもの。源氏の君の視点で書かれていることもあって、かーなり大胆な翻案作品となっています。ちょろいもさんのオススメです♪

先日、与謝野晶子訳を読んだ時は、紫式部の思考回路って男だなーと思ったんですが、円地文子訳を読んだ時、その印象がちょっと薄れたんですよね。やっぱりあのさっぱりした与謝野晶子訳と、しっとりした円地文子訳の文章の違いでしょうか。そしてこの「窯変」を読んでみると、また印象が違う...! 書き手の橋本治さんは男性だし、源氏の君という男性の視点から書かれているにもかかわらず、どこかものすごく女性的なものを感じてしまうんです。なんでだろう。ほんとこれでもかこれでもかって勢いで源氏の君が1人で語ってるのに。

それにしても、ほんと今まで読んだ源氏物語と全然違っていて、それはもうびっくりしてしまうほどです。話の大筋は一緒なのに、同じ人と出会い、同じ出来事が起きてるのに、もうまるで違う橋本ワールド。...ものすごい曲解?(笑)ってとこもあるんですけどね。その強引とも言える話の流れが、強引なりにきちんと流れていくのがすごい。
ただ、全体的にすごく面白いんだけど、面白さにも波があるみたい。読み始めは「うわー、うわー、面白い!」で「桐壺」最後までテンションが高いまま。「帚木」は、それほど... で、「空蝉」は面白いんだけど、ちょっと落ち着いた感じ。と、章によって少し波がありました。基本的に面白いんですけどね。まあ、元々「帚木」はそれほど好きな章ではないから仕方ないのかも。それと、そもそもこの「窯変」の面白さは、世の中を斜めに見てる源氏の君の一人語りにあるとと思うんですが、同じように語っていても、話題によってちょっと違うのかもしれませんね。そのものズバリ女の話よりも、それに絡めて発展させた話の方が、私は楽しめるみたい。

それにしても橋本治さん、きっとものすごい知識量なんでしょうね。その上でさらりと書いてるって感じがします。本来注釈になりそうなことも全て本文の中に織り込まれてるんですが、この詳細な描写のおかげで、宮中での諸々のことや当時の風俗・習慣についてなど、ものすごく分かりやすいです。いや、これだけ書き込んでたら、長くもなりますよね。3冊読んでもようやく藤壺の宮が出家するところまでですもん。でも、長いけどこれは全14巻読みますよー。4巻以降は未入手なので、時間はかかりそうですが。

生れ落ちた時から全てを手にしていたように見える源氏。本人も周囲もそう思っていたんでしょうけど... でもその手の中には実は何もなかったのね。(中公文庫)


+既読の「源氏物語」の感想+
「源氏物語」+「まろ、ん?」小泉吉宏(与謝野晶子訳)
「源氏物語」1・2 円地文子訳
「窯変 源氏物語」1~3 橋本治
「窯変 源氏物語」4~6 橋本治
「窯変 源氏物語」7・8 橋本治
「窯変 源氏物語」9・10 橋本治
「窯変 源氏物語」11・12 橋本治
「窯変 源氏物語」13・14 橋本治

+既読の「源氏物語」関連作品の感想+
「東方綺譚」マルグリット・ユルスナール(雲隠)
「源氏供養」上下 橋本治
「輝く日の宮」丸谷才一
「千年の黙(しじま) 異本源氏物語」森谷明子
「紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス日本の古典」紫式部・山本淳子編

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Commentaires(8)

わー、さっそく読まれてますね!! このフットワークの軽さ、ぜひ見習いたいところです…。orz

源氏は訳者によって本当に変わりますが、なかでもこれって異彩を放ってますよね…。
橋本氏の知識量の膨大さはわたしには想像も及びませんわ。
心理描写も風俗描写もこれでもかというくらい細かくされていて、自家中毒を起こしそうなほどです。w
最後まで読んでみて、気に入ってくださると嬉しいのですが♪

現代口語訳『源氏物語』を興味深く記事を読んでいます。
今年に始めに「たら本」で紹介されていて、気にはなっているもの、どの訳がいいのか、読解能力があるか悩んでいます。
読み出したきっかけの本も我が家にはあるので、四季さんに総括?を楽しみにしています。
その前に漫画で事前学習しないと(^_^;
全国放送になるのか調べていませんが、『あさきゆめみし』アニメ化されるそうです。

橋本治さんの源氏は14巻もあるのですか。。。。
現代語訳の源氏物語をいろいろ読み比べるって面白いでしょうね。
私も、いつか挑戦してみます!

>ちょろいもさん
読み始めましたよー。
もうこの強烈さにノックアウトされてます。すごいですね、これは!!
「源氏物語」初めての1冊としてはやめておいた方が良さそうですが(笑)
これを知らずに逃したままにしておくのは勿体ないぞ、とほんと思いましたよ。
人によって、合う合わないは激しいかもしれませんが、私は14巻全部読むのが楽しみです。
源氏が亡くなった後もこのパワーは続くのでしょうか。どきどき

あと「源氏供養」というのもあるんですね。
無事全部読み終えたら、こちらも読みたいなーと思ってます。
「窯変」に出会わせてくれたちょろいもさんに感謝♪

>美結さん
私も読み始める前はどの訳にするかずいぶん迷いましたよー。
でも案ずるより産むが易しとは、このことかもしれません。
与謝野訳も円地訳もそれぞれにいいところがあったし、
色んな訳をパラパラと見てみて、ピンと来たのにするのが良さそうです。
私はこの窯変を読んだら、いよいよ谷崎源氏かな。
もしかしたら、また別のを読んでみるかもしれませんが…
谷崎源氏の日本語の美しさには定評がありますしね。最後のご褒美的存在です。(笑)

「あさきゆめみし」、アニメ化ですか! それは綺麗でしょうねえ。
こういった現代語訳の源氏の文章を読んでいても
時々大和和紀さんの絵が浮かぶことがあります、実は。(笑)

>honyomiさん
そうなんです、全14巻なですよー。長いですよね。
他の方の現代語訳は大体5~6冊ってところなのに!
でもそれだけ濃密な源氏物語なので、これはほんと引き込まれました。
ただ、これを読む前に事前に他の方の源氏で肩慣らしをしておいた方が良さそうです。
でないと大ヤケドしてしまうかも~。(笑)

honyomiさんも読み比べ、ぜひぜひ♪

「源氏供養」は、窯変みたいな熱さはなくて、わりと淡々と知識などを述懐する…という感じでしょーか。それでも上下巻なんですけどね(苦笑)。
源氏が亡くなってもあの雰囲気は続きますよ~フフフ。
もちろん、死後はそれなりにガラッと変わってしまうんですけどね。


>ちょろいもさん
「窯変」ってね、あとがきがないじゃないですか。
本文を読んでると、ものすごくあとがきが読みたくなってしまうので
そうか、「源氏供養」を読めばいいのかーと思ったんですが…
淡々と知識を述懐して上下巻、というのもすごいですね。(笑)

おお、源氏が亡くなってもあの雰囲気は続きますか。
「雲隠」より後って、どの本を読んでも今ひとつ入り込めなかったんですが
これで面白さが分かるかも?とその辺りもちょっと楽しみなんです。^^

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