「光車よ、まわれ!」天沢退二郎

Catégories: /

 [amazon]
校舎をたてに揺さぶるような酷い雨の日。授業中に教室の後ろのドアがあいた時、一郎は心臓が止まるほど驚きます。そこには黒装束で異様に顔の長い化け物のような3人の大男がいたのです。しかしよくよく見てみると、それは同じクラスの宮本と武田と斉藤。思わず椅子の上に立ち上がってしまった一郎ですが、そこまで驚いていたのは一郎だけ。しかしその後一郎がふと気付くと、その3人も、学級委員の吉川も、鋭い目付きで一郎のことをにらみつけていたのです。

私のファンタジー的バイブル、石堂藍さんの「ファンタジー・ブックガイド」にも紹介されていて、気になってた作品なんですよね。数年前にブッキングで復刊された時に読もうとしたんですけど、ぼやぼやしてるうちに文庫が出てしまっていて、今度こそ読まなくては!と、読んだのですが...

やっぱり子供の頃に読んだ方が夢中になれたかもしれないな、なーんて思ってしまいました。そういうことを思うのって、自分の中の子供の部分を失ってるのを目の当たりにさせられてしまうようで、ちょっとサビシイんですが...。解説で三浦しをんさんが小学校低学年の頃に読んで、現実のお話だと思い込んでしまったほど夢中になったと書いてらっしゃるんですが、そこまでのものは感じなかったです。大人になった今読んだ印象は、ああ、懐かしい雰囲気の話だなーということ。こんな雰囲気のSF作品を、子供の頃に時々読んでましたよ。「懐かしい」のは、登場人物の名前や会話のせいもあると思うんですが、「時をかける少女」を初めて読んだ時のことを思い出しちゃいました。あと「緑魔の町」とか... あ、これってどっちも筒井康隆作品なんですね。「緑魔の町」は眉村卓かと思い込んでました。
と、ふとここで気付いたのは、自分が思い出しているのがSF作品だということ。この「光車、まわれ!」は、ファンタジー作品のはずなのに、なぜ? 水が異界との境目となっていることからも、むしろ石井桃子さんの「ノンちゃん、雲に乗る」を思い出してもおかしくないのに。水の向こうの異界の闇が、ノンちゃんの世界とは到底比べられないほど暗くて濃いものだったからなのかしら。

光車のことも他のことも、全ての情報は龍子という大人びた少女から。主人公の一郎も他の子供たちも龍子の言う通りに動く駒。たとえ失っても、誰も嘆いていないみたい。だからこの世界に入り込めなかったのかな? 光車というイメージは美しいし、地霊文字はぜひ見てみたいと思えるようなものだったのに、どうも違和感が残ってしまって残念。(ピュアフル文庫)

| | commentaire(0) | trackback(0)

Trackbacks(0)

「光車よ、まわれ!」天沢退二郎 へのトラックバック一覧:

URL TrackBack de cette note:

コメントする(要JavaScript)

Note


MAIL FORMBBS

購読する ATOM


Powerd by MovableType4.24-ja
Copyright 2004-2011 四季. All rights reserved.