「かかしと召し使い」フィリップ・プルマン

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パンドルフォじいさんが作ったかかしは、その夜のうちに怠け者の農夫に盗まれ、そして次の晩はまた別の誰かに盗まれ、だんだんとじいさんの小麦畑から遠ざかっていってしまいます。そしてある嵐の晩、かかしは稲妻に直撃され、そのショックでかかしの体の中の分子や原子や素粒子が活発に働き出したのです。翌朝、畑の脇で小麦のつぶとカブの葉としなびたニンジンを食べていた少年・ジャックは、かかしに呼びかけられてびっくり。しかし、かかしに頼まれて足をもう一本探してくると、かかしに提案されるまま、かかしの召し使いとなって一緒に世界を回ることを決めることに。

「ライラの冒険」のフィリップ・プルマンの作品。この表紙が可愛くて、以前から気になってたんですよねえ。「ライラの冒険」は、ミルトンの「失楽園」を読んでて良かったと思うような宗教観まである作品でしたが、こちらは表紙そのまんまの雰囲気の楽しい冒険物語。山賊をやっつけたかと思えばお芝居に出演、軍隊に入って突撃していたかと思えば無人島に漂流したりと、なかなか盛り沢山。
まずこのかかしが動いてる理由付けが楽しいんですよね。稲妻に打たれたせいで、体内の分子や原子、素粒子が活発に動き始めただなんて! かかしが動いたり話したりしているといえば「オズの魔法使い」や、その影響を受けていそうな「魔法使いハウルと火の悪魔」が印象的なんですが、きっとフィリップ・プルマンは、これらの作品を読んだ時に、かかしが動き出した理由が特に書かれてなかったのが不満だったに違いない。(笑)
でもこのかかし、かかしという仕事柄(?)鳥には詳しいし、生まれた時にパンドルフォじいさんに「礼儀正しく、勇ましく、誇りをもて。思いやりを忘れるな。精一杯がんばれ」と言われた通りの生き方をしているんですが、そんな理想だけでこの世間が渡れるはずものなく... しかもカブ頭のせいか脳みその豆が途中で飛び出してしまったせいか、かなりピントがズレてるんですよね。その点、召し使いとなったジャックの方が、よっぽど現状を把握してるし、さりげなくフォローしてるんですが... そのジャックにしたところで、かかしの召し使いになる前はただの貧しい少年。それほど世間を知っているわけではありません。2人で大真面目に行動していても、いつの間にかどんどんずれていっちゃう。まるでドン・キホーテとサンチョ・パンサ。
児童書だし、最初はやっぱりちょっと物足りないかな~なんて思いながら読んでたんですけど、宿敵(?)ブッファローニ家との最後のやりとりも爽やかで良かったし!(いや、あの会話には実は含みがあって全然爽やかじゃなかったのかしら...) 読み終えてみれば、なかなか可愛いお話でした。(理論社)


+既読のフィリップ・プルマン作品の感想+
「黄金の羅針盤」上下「神秘の剣」上下 フィリップ・プルマン
「琥珀の望遠鏡」上下 フィリップ・プルマン
「かかしと召し使い」フィリップ・プルマン
「マハラジャのルビー サリー・ロックハートの冒険1」フィリップ・プルマン
「仮面の大富豪 サリー・ロックハートの冒険2」上下 フィリップ・プルマン

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