「シチュエーションパズルの攻防」竹内真

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ぱっとしない私立大学の文学部に入学したせいで、上京するなり叔母の経営する銀座の文壇バー・ミューズでバイトをすることになった了。その店はミステリー作家の辻堂珊瑚朗が贔屓にしている店。辻堂は来店するなり、店には新しい男性スタッフが増え、しかもその男性が叔母とかなり親しい仲だということを看破します。

竹内真さんとしてはとても珍しいミステリ作品。語り手は了という大学生の青年なんですが、中心となっているのはミステリ作家の辻堂珊瑚朗。彼が安楽椅子探偵のように様々な謎を解き明かしていく連作短編集です。
最初の謎を解く辺りがまるでシャーロック・ホームズのようで(見ただけで相手の職業を言い当ててしまうのは「赤毛連盟」でしたっけ?)おおっと思ったんですが、そういう路線の作品でもなかったようです。謎解きは色々あるんだけど、謎解きそのものを楽しむというより、辻堂珊瑚朗が出してくる回答によって辻堂自身の粋さを感じさせるのが一番なのかな? 必ずしも真実ではなくても、その場に相応しい回答を相応しい形で用意するというのが肝心みたい。それは相手によって自分を演じ分けてしまうという辻堂自身のようでもあるし、銀座のバーという夜の世界一流の嗜みでもあるような。

竹内真さんといえば爽やかな青春物。ジャンルがミステリに変わっても、竹内真さんの持ち味は変わらないのではないかと思ったんですが... 夜の銀座を舞台にしてるということは、もしかしたらそういうイメージからの脱却を目指してらっしゃるのでしょうかー。これはこれで楽しめる作品だとは思うんですけど、もう少し竹内真さんらしさが欲しかった気も...。まあ、文壇バーが舞台となっていることもあって、登場する作家たちは誰がモデル?という楽しみはあるんですけどね。最後に登場する甲賀という作家は、もしや竹内真さんご自身? となると、いずれ「安楽椅子探偵」という言葉の定義と矛盾するような安楽椅子探偵物の長編が読める日も来るのでしょうか。(笑)(東京創元社)


+既読の竹内真作品の感想+
「図書館の水脈」竹内真
「真夏の島の夢」竹内真
「じーさん武勇伝」竹内真
「自転車少年記」竹内真
「笑うカドには お笑い巡礼マルコポーロ」竹内真
「オアシス」竹内真
「ワンダー・ドッグ」竹内真
「ビールボーイズ」竹内真
「シチュエーションパズルの攻防」竹内真
Livreに「粗忽拳銃」「カレーライフ」「風に桜の舞う道で」の感想があります)

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Commentaires(2)

こんばんは。
夜の銀座のバーという世界の嗜みを描きたかったのかもしれませんね。
あやふやな感じで、ちょっと残念な印象でした。

藍色さん、こんにちはー。
別に「竹内さんは青春小説じゃなきゃ!」と決め付ける気はないんですけど
やっぱりちょっと違うんじゃ…?という感じもありましたよねえ。
夜の世界というのも初めてなら、ミステリ作品というのも初めてだし
どこかこなれてない印象だったのは、そのせいなのかな。
いつもの伸び伸びとしたところが感じられなかったのが残念でした。

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