「イン・ザ・ペニー・アーケード」スティーヴン・ミルハウザー

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アウグストの父は時計職人で、彼が覚えている一番古い情景は、父親が懐中時計の裏蓋をあけて、歯車が重なり合って神秘的に動いている情景。時計や歯車のことを習い始めたアウグストは、12歳の時に見た動く絵を自分でも作り、14歳の時には自動人形を作り始めます。そして18歳になったアウグストは、大手百貨店を経営するプライゼンタンツに誘われて、ベルリンで自動人形を作る仕事に取り組むことに... という「アウグウト・エッシェンブルク」他、全7編。

スティーヴン・ミルハウザーの本を読むのは初めて。これは森山さんにオススメいただいた本です。この本に収められた「東方の国」が私好みじゃないかとのことだったんで早速探してみたら... いや、もうほんと好みでした! 森山さん、私の好みがよく分かってらっしゃるわー。
この本は3部構成になっていて、第1部には上にあらすじを書いた中編「アウグスト・エッシェンブルク」が、2部と3部は短編が3作ずつ収められてます。第2部の3作に関しては、雰囲気ががらっと変わってしまって驚いたんですけど、これは訳者あとがきによると「ミルハウザーとしては比較的珍しいタイプの作品」とのことなので、まあいいとして。(これも決して悪くはないんですが)1部と3部はほんと良かったです。特に「アウグスト・エッシェンブルク」と、最後の「東方の国」。素晴らしい。
「アウグスト・エッシェンブルク」は、なぜかとても懐かしく感じられる物語。かつて好きだった物や憧れていた場所、既に忘れかけていた懐かしい情景を集めてきて物語の形にしたら、こんな感じになるのでしょうか。これは19世紀後半のドイツを舞台に、天才的な自動人形の作り手・アウグスト・エッシェンブルクを描く物語。12歳のアウグストがまず動く絵に、14歳で自動人形に魅せられる場面の懐かしい空気ったら。アウグストの作る自動人形が百貨店のウィンドウに置かれている場面のどれも素晴らしいことったら。当時のヨーロッパの文化の持つ濃厚な美しさや豊かさが伝わって来るようです。そして後にアウグストの作り上げる自動人形の舞台の美しく哀しいことったら。もう胸をぎゅーっと鷲掴みにされ続けてました。この物語自体が、アウグストの自動人形の舞台を見ているような作品。きっとミルハウザー自身が、アウグストのような職人的な作家なのでしょうね。
そして最後の「東方の国」は、まるでイタロ・カルヴィーノの「見えない都市」のような幻想的な物語。最初に本を手にした時にこの「東方の国」を開いたら、もう目が釘付けになってしまって... 見た途端に好きだと分かるのもすごいなあと思うんですが、その予感通りの作品でした。こういうの、ほんと好き!

あわせてオススメされた「バーナム博物館」も読まなくちゃ。それにしても白水uブックスってほんと外れがないなあ。少しずつ読んでいこうっと。(白水uブックス)


+既読のスティーヴン・ミルハウザー作品の感想+
「イン・ザ・ペニー・アーケード」スティーヴン・ミルハウザー
「バーナム博物館」スティーヴン・ミルハウザー
「三つの小さな王国」スティーヴン・ミルハウザー

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Commentaires(2)

四季さん、こんにちはー。
確かに、白水uブックスは外れがないですよね♪
すっきりと軽いスタイリッシュな作りと言い、素晴らしい~。

「バーナム博物館」は、私も読んだことがあるのです。
とんでもない想像力に満ち溢れてる人なんだな、と思いました。笑
四季さんの感想も楽しみです~。

つなさん、こんにちは~。
うふふ、つなさんも白水uブックスお好きですよね。
お仲間お仲間♪
そうそう、作品そのものもなんだけど、作りもいいんですよね~。
全部揃えたいぐらいです!(というのは、まず無理なんだけど・笑)

わあ、つなさんは「バーナム博物館」読んでらっしゃいましたか。さすが。
私は、こんなに好みの作家さんを知らずにいたなんて!ですよ。
でもこれから色んな作品を読めるんですものね。
続いて「バーナム博物館」にいってみたいと思います。
つなさんも「イン・ザ・ペニー・アーケード」ぜひぜひ♪

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