「源氏供養」上下 橋本治

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本当は「窯変」を読み終えてから読もうと思っていた「源氏供養」。我慢できなくて読んでしまいましたー。先日読んだ10巻で源氏の君も亡くなったし、まあいいかなと思って。いや、「窯変」を読んでいると、ものすごく「あとがき」が読みたくなるんです。でも「窯変」に「あとがき」はなくて、あるのは裏表紙の著者の一言だけ。まあ、それはそれでいいとは思うんですよ。白い表紙にフランス映画のワンシーンのような写真、そして各帖の冒頭には1行の言葉とそのフランス語訳があるようなこの本には! でもやっぱり「窯変」の後ろにあるものが色々と知りたくなってしまうんですね。

そして、あとがきを読みたくなるということは、やっぱり「窯変源氏物語」が生まれるきっかけについても知りたかったんだと思うんですけど、この「源氏供養」を読んでみると、「窯変」が生まれた背景には、どうやら瀬戸内寂聴さんの「女人源氏物語」があったようです。

"瀬戸内源氏"では、光源氏という男性を中心にして、それを取り囲む同士年のように語り手の女性達がいます。それぞれに光源氏との距離を取ってぐるりと取り巻くこの構造を見た時、「そうか、源氏物語がなんだかもう一つピンと来なかったのは、光源氏という男がどういう男かさっぱり分からなかったからなんだ!」と私は思いました。

「源氏物語の中で、光源氏は"空洞"として存在している」と。「だったら自分がその空洞の中に入っちゃえ」と、愚かにして無謀なことを考えたのは、この私です。

なるほどー。そういうことだったのか。

「源氏物語」という作品の性格上、この本でも男女の関係を見ていく部分がとても多いんですが(特に下巻はほとんどそれだけかも)、私が面白く読んだのは、源氏物語の中の対句的表現や図象学的解釈。紫式部は漢文学者の娘だっただけあって、「源氏物語」には漢詩的なレトリックが色々と潜んでいるみたい。あとは当時の風俗・習慣その他諸々の解説。身分のことや住まいの場所に関する説明も勉強になったし、桐壺帝の年齢設定とか、弘徽殿の大后を唐代の武則天になぞらえているのも面白かったし。あと「窯変」を書くために、和歌を改変したり、新たに和歌や漢詩、手紙を創作したという部分も興味深いです。やっぱりそうだったのかあ。
本編の「窯変」ほどの密度じゃないし、さらさらと読み流してしまえるような本だったんですけど、「窯変」を踏まえて読むにはやっぱり面白かった。それにあとがきに、源氏物語を映画にしたいと考え「文字による源氏物語の映画化」をしてしまったという言葉があって、これにとっても納得しました。うん、確かに「窯変」ってそういう作品ですよね。
ということで、11巻以降を読むのも楽しみです♪(中公文庫)


+既読の「源氏物語」の感想+
「源氏物語」+「まろ、ん?」小泉吉宏(与謝野晶子訳)
「源氏物語」1・2 円地文子訳
「窯変 源氏物語」1~3 橋本治
「窯変 源氏物語」4~6 橋本治
「窯変 源氏物語」7・8 橋本治
「窯変 源氏物語」9・10 橋本治
「源氏供養」上下 橋本治
「窯変 源氏物語」11・12 橋本治
「窯変 源氏物語」13・14 橋本治

+既読の「源氏物語」関連作品の感想+
「東方綺譚」マルグリット・ユルスナール(雲隠)
「輝く日の宮」丸谷才一
「千年の黙(しじま) 異本源氏物語」森谷明子
「紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス日本の古典」紫式部・山本淳子編

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