「ザ・ロンリー」ポール・ギャリコ

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第二次大戦中のイギリス。戦争神経症の兆しがあるため、搭乗勤務をやめて2週間ほどスコットランドで休んでくるようにと航空医官に言い渡された23歳のジェリー。休暇をとればそれだけアメリカに帰るのも遅くなり、婚約者のキャサリンとの結婚も遠のくのです。しかもスコットランドで男1人過ごす休日なんて、とジェリーは苛立ちます。そんな時に憧れのハリソン少佐に言われたのは、スコットランドへ女の子を連れていけばいいということ。その時だけのつきあいだときちんと最初に言っておけば、イギリスの女の子はほぼ100パーセント大丈夫だというのです。そう言われた時にジェリーの頭に浮かんだのは、英国空軍婦人補助部隊の地味な女の子・パッチズ。丁度パッチズも10日間の休暇をとるところで、2人はスコットランドへと向かうのですが...。

アメリカの故郷で待っているのは、恵まれた生活に尊敬すべき両親、そして申し分ない婚約者。もうすぐイギリスでの任務も終わるのです。それなのに、イギリスで出会った、ちょっと風変わりな女の子に惹かれてしまったジェリー。キャサリンが嫌いになったんなら、まだ話は簡単だったんでしょうけどね。そしてもしパッチズが婚約者よりもずっと美人で性格も良くて、だったなら。だけどキャサリンは美しく健康的で誠実な女の子。子供の頃からジェリーのことが好き。母親同士は長年の親友で、家同士の社会的な立場や物の見方も似通っていて、周囲にとってはこれ以上ないほどの組み合わせ。そういう状況を打破するのはしんどいでしょうねえ。
ジェリーとパッチズの思いが肌理細やかに描き込まれてるので、読んでるうちにこの2人にとても感情移入してしまうし、とてもいい作品だったと思うのだけど... キャサリンは姿だけの登場なんですよね。キャサリンの本当の気持ちを放っておいて、「いい作品だった」なんて言ってていいものなのかしら?なんて思ってしまったりもします。
物語が始まる前に、「ザ・ロンリーとは、年端もゆかぬうちから天国と地獄とをまのあたりに見てしまった者たちのことである」という言葉がありました。地獄を見てしまったジェリーを、果たしてキャサリンがきちんと受け止められたかと考えると疑問なので、やっぱりこれで良かったんでしょうけど...。(王国社)


+既読のポール・ギャリコ作品の感想+
「トマシーナ」ポール・ギャリコ
「セシルの魔法の友だち」ポール・ギャリコ
「マチルダ ボクシング・カンガルーの冒険」ポール・ギャリコ
「われらが英雄スクラッフィ」ポール・ギャリコ
「幽霊が多すぎる」ポール・ギャリコ
「猫語の教科書」ポール・ギャリコ
「ハリスおばさんパリへ行く」「ハリスおばさんニューヨークへ行く」他2冊 ポール・ギャリコ
「七つの人形の恋物語」「スノーグース」ポール・ギャリコ
「トンデモネズミ大活躍」「ほんものの魔法使」ポール・ギャリコ
「ポセイドン」上下 ポール・ギャリコ
「ザ・ロンリー」ポール・ギャリコ
「「きよしこの夜」が生まれた日」ポール・ギャリコ
Livreに「ジェニィ」の感想があります)

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