「アーサー王物語の魅力」高宮利行

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サー・トマス・マロリーの「アーサー王の死」は、アーサー王の誕生から、最期に妖精の女王たちの手によってアヴァロンの島に運ばれるまでを描いた作品。近代的な小説の台頭によって一時は忘れ去られてしまうものの、19世紀半ばにテニスンに取り上げられることによってラファエル前派の絵画のモチーフとして頻繁に登場するようになり、20世紀に入ると中世英文学の名作として愛読され、学問的研究の対象となり、様々な芸術メディアに登場するようになります。騎士ロマンスらしくステレオタイプ化された登場人物にステレオタイプ化されたストーリーを持つアーサー王伝説が現代これほどまでにもてはやされる魅力の秘密を探るという本です。

以前読んだ「アーサー王伝説万華鏡」と重なっている部分もあったものの、新たな視点から書かれている部分もありました。特に興味深かったのは、ケルト人の戦争指揮官がモデルと言われているアーサー王、ケルトの伝説が起源だと言われているアーサー王伝説に、実は西アジア起源説もあったという話。紀元4世紀以降、南ロシアを中心に勢力をふるったイラン系の遊牧騎馬民族・サルマート人がモデルじゃないかというんですね。このサルマート人、ローマ帝国と戦って敗れることになるんですが、その兵士たちの一部がローマ皇帝によってブリテン島に派遣されたそうなんです。サルマート人たちはケルト文化に同化するのを拒否して、長く独自のアイデンティティを保っていたそうで... アーサー王伝説の騎士たちの装備や戦い方はサルマート人によく似てるし、しかも現在コーカサス山中に残っているサルマート人の末裔・オセット人が持っている叙事詩はキリスト教以前の古い時代に遡るもので、これがアーサー王伝説と酷似してるとのこと。そんな話は全然知らなかったなあ。
以前読んだ本と重なってたり私の興味がなかったりという部分も多くて、期待したほどではなかったのが残念だったんですが、アーサー王伝説好きとしては、やっぱり読まずにはいられないですしね。以前「ユリイカ」で読んだ高宮利行さん、葛生千夏さん、ひかわ玲子さんの対談をここでまた読めたのも良かったです。(秀文インターナショナル)


+既読の高宮利行作品の感想+
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