「はいいろの童話集」アンドルー・ラング編

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東京創元社で復刊中のラング童話集の6冊目。
こういう童話や昔話は、突っ込みたくなることもままあるものですが、それはしないお約束です。(笑)
それでも今回ものすごーーく突っ込みたくなってしまった作品がありました。それは「小さな灰色の男」という話。まず冒頭から。

むかしむかし、修道女と農夫と鍛冶屋の三人が、そろってほうぼうを流れあるいていた。

いや、農夫と鍛冶屋が一緒に旅をするのはいいんだけど、修道女って...?!
と、軽く突っ込みつつも続きを読むと。
この3人、旅の途中で古いお城を見つけて住み着くことになるんですね。毎日順番に1人が残って家事をして、あとの2人は外に「幸せになる道」を探しに行くという取り決め。「幸せになる道」ってナニ? というのもあるんですが、まあこれはいいとして。(笑)
留守番をしてる人の前に、「小さな灰色の男」が出てきます。

「うーっ! 腹がすいてかなわん!」「かまどに食べ物がはいってるから、お好きにどうぞ」

昔話では、見知らぬ人にも親切にするのが幸せになるための鉄則ですね。
親切にされる側は、普通なら遠慮のひとつもするところ。でも時々遠慮をしない人が出てきます。(だからといって悪いヤツだと決め付けられないのが、童話や昔話の難しいところ)この灰色の男も、作ってあった夕食を全部食べちゃう。しかもたしなめられると逆切れして暴れだし、修道女も農夫も半殺しの目に遭うことに...。でも3番目に家事のために残った鍛冶屋はこの灰色の男をやっつけるんですね。
ま、そこまではいいんです。灰色の男が死んだおかげで、お姫さまが2人と王子さまが1人魔法から解けるというのも、よくあるパターン。でも、大抵はお姫さまが3人。王子が1人混ざってるというのはものすごくレアなのではないかと思いますが。

王女たちは、助けてもらったことをたいへんありがたく思い、片方は鍛冶屋と、もう片方は農夫と結婚した。

これは順当な成り行きです。でも

そして王子は修道女を妻にし、みんないっしょに、死ぬまで幸せにくらした。

これはどうなんでしょうか! いくらいい相手が見つかったからといって、修道女が王子さまと結婚?! 魔法が解けた3人の中に王子さまがいた時点で、うすうす予想はしていたとはいえ、もうほんとひっくり返りそうになりました。
これはドイツの昔話。この「修道女」は本当に最初から「修道女」だったのでしょうか。もしそうだとしたら、ドイツ人はおかしいと思わなかったのかしら? これで3人がきょうだいだったら分かるんだけど、そうとは書いてないし。でもまともな家の女性なら、家族でもない男性2人と旅するなんてあり得ないですよね。となると、百歩譲って修道女でも構わないとしても、結婚ですよ、結婚! となると極端な話、修道女じゃなくて実は売春婦か何かだったんじゃ...? なんて考えてしまうんですが...?(東京創元社)


+シリーズ既刊の感想+(東京創元社版)
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Commentaires(4)

こんばんは。はじめまして!
最近読書ブログを渡り歩いていて辿りつき、拝読しておりました。

修道女…気になりますね。笑
こういう時、私は誤訳を疑って答えのない疑問に悩まされることが多いです。
日本の尼さんだと実態は売春婦…みたいな場合もあったそうですが(・ ・;

liquidfishさん、はじめまして!
書き込みありがとうございます。^^

修道女、気になりますよね。(笑)
そっか誤訳… それについては全く考えてませんでした!(なぜ)
でもその可能性は高いですね。
考えてみれば、そもそもラングがドイツの昔話からこの話を持ってきた時点で
妙になってる可能性だってあるんですものねー。
でもそうだとしても、おかしいと思わなかったのかしら。

売春婦は極端だったかもしれませんが(笑)
他に思い浮かんだのはくぐつ(傀儡女?)とか、盗賊団の女首領とかそんなのばかり…
実際どうだったのか知りたいです。

 こんばんは。
 自分も、四季さんのおっしゃるように遊び女とか歩き女とか白拍子とかそういうニュアンスではないかなぁと思います。それだと、宗教的なものと性的なものが同居できますからね。というか、そうでないと本当にそれこそ誤植でもなきゃわからん世界です。
 そうそう。
 四季さんに聞こう聞こうと思いつつ忘れていた事なんですけれど、「がたがたの竹馬小僧」という童話をご存知ですか?

樽井さん、こんにちは!
あ、樽井さんもそう思われましたか♪
そうか、白拍子なんかもいましたね。
そもそも男性2人と旅をしてるという時点で、やっぱり普通の修道女じゃ変ですよね。
無条件に崇め奉られるような聖女ならいいですけど、普通だったら身の危険が…!
それも修行の1つ? まさか!(笑)
あ、歩き女というのもあるんですか。それは知らなかったです。
それも白拍子とか遊び女と同じような感じなんですか? 各地を歩き回るのかな?

がたがたの竹馬小僧。あんまりよく知らないんですけど、聞いたことが…
名前を当てさせる童話じゃありませんでしたっけ?

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