「海の上のピアニスト」アレッサンドロ・バリッコ

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トランペット吹きのティム・トゥーニーが汽船ヴァージニアン号に乗り込んだのは、1927年1月のこと。一等の金持ち連中のために、二等船客のために、そして時々貧しい移民連中のためにと1日に3~4回ずつ演奏する日々が始まります。その船のジャズ・バンドの中にいたのが、ピアニストのダニー・ブードマン・T・D・レモン・ノヴェチェント。ノヴェチェントは、このヴァージニアン号で生まれた人間。ニューヨークに到着した時に、一等船客用のダンス室のグランドピアノの上に、段ボール箱に入れられて置き去りにされていたのです。1900年生まれのその赤ん坊はノヴェチェント(900)と呼ばれるようになり、やがて世界一のピアニストになることに...。

私は観てないんですが、映画「海の上のピアニスト」の原作ですね。中心となるのはトランペッターのモノローグ。彼が船の上で出会って親しくなったピアニストのノヴェチェントについて語っていきます。かっちりしたシナリオではないんだけど、モノローグの合間にト書きが書かれているので、本当に芝居の脚本を読んでいるような雰囲気。
船で生まれた赤ん坊はそのまま船に置き去りにされ、船の上で成長し、船で出会う人々の目を通して世界中を知ることになります。生まれてこの方一度も陸の土を踏んだことのないノヴェチェントは船を下りようなんて考えもしないんですけど、ある日突然言うんです。「ニューヨークで、あと三日したら、この船から降りるよ」
その時ノヴェチェントは32歳。でも、陸地から海が見たいと言ったノヴェチェントの足が3段目で止まってしまうんですね。この時のノヴェチェントの思いが終盤に明らかにされるのですが、これがすごく分かる...。この場面を読んだ時、ノヴェチェントの出すピアノの音がどんな音だったのか、なんだかとても分かるような気がしました。
本を読んだ限りのイメージでは、フルカラーの綺麗な映像の映画よりも、もっとシンプルな舞台で観たいなーという感じ。美しい映像で美しいピアノの音色を聴くのももちろんいいんですけど、もっとシンプルな方がノヴェチェントの生涯が際立ちそうな気がする... 実際にはどうだったのかしら?(白水uブックス)


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「絹」アレッサンドロ・バリッコ

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Commentaires(2)

こんばんは。
私、これは市村正親の一人芝居で見ました。
>もっとシンプルな舞台で観たいなーという感じ。
まさに、そのとおり。
確か、舞台の上には、自在に方向を変えられる階段が2つあるだけ。
下手にピアノの演奏者が控えていて、
ノヴェチェント役の市村が、階段を下りれば
それが船のタラップになり、
階段を上がればダンス室の舞台になり、
というふうだった記憶があります。
そうか、本が出ているのですね。読んでみようかな。

菊花さん、こんにちは!
わあ、日本でも一人芝居があったんですね。
訳者あとがきに、イタリアでは多数上演されてるとあったんですが
日本でのことには触れられてなかったんですよ。
いいですねえ、そのシンプルな舞台構成。
市村正親だと正直ノヴェチェントよりもトランペッターのイメージかな…
という気もするのだけど(笑)きっととてもいい舞台だったんでしょうね。

本はとても短いんです。すぐ読めちゃう。
でもいいですよ。ぜひぜひ♪

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