「片目のオオカミ」ダニエル・ペナック

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檻の前にいたのは、2時間以上も身動きせずにじっと立ち続け、青い毛並みのオオカミが行ったり来たりするのを眺め続けている少年。オオカミは、少年が一体自分に何をして欲しいのかと不思議に思います。そのうち飽きるだろうと考えるオオカミでしたが、少年は翌日もそのまた翌日も、そしてその翌日も、月に一度の休園日も、オオカミの檻の前に1日中立っていたのです。10年前に人間に生け捕りにされた日に片目を失って以来、人間に二度と興味を持つまいと誓っていたオオカミですが、やがて根負けして檻の中を歩き回るのをやめ、少年に真正面から向き合うことに。

今まで読んだダニエル・ペナックの作品って、マロセーヌシリーズの4冊だけなんですけど、そちらとはもう全然雰囲気が違っててびっくり。マロセーヌシリーズはもう本当に饒舌な作品でしたが、こちらはとっても静かなんです。外界から心を閉ざして檻の中を歩き続けるオオカミと、そのオオカミを見つめる少年が正面から向き合うことによって徐々に理解や信頼が生まれて、オオカミは再び生きる力を得るという物語。
読み始めた時は、児童文学?と思ったんですが、実際にはすごく深くて大人向きの作品ですね。子供のうちに読んでも楽しめるとは思うんですけど、本当に理解できるのは大人になってからでしょう。「先進国に対するアフリカ」とか「自然破壊」みたいに、表にはっきりと出てきてるテーマもあるんですが、一番大切なことはむしろ隠れてるし。読みながら、これはどういうことを意味してるんだろう?って1つずつ考えちゃう。
この作品に出てくる少年は、アフリカ生まれの黒人の少年なんですよね。フランス人作家のダニエル・ペナックがこんな作品を書いてるとはびっくりでしたが、モロッコのカサブランカで生まれ、両親とともにアジアやアフリカの各国で暮らした経験を持つのだそう。そうだったのか。納得です。 (白水uブックス)


+既読のダニエル・ぺナック作品の感想+
「人喰い鬼のお愉しみ」D.ぺナック
「人喰い鬼のお愉しみ」「カービン銃の妖精」ダニエル・ぺナック
「散文売りの少女」ダニエル・ぺナック
「ムッシュ・マロセーヌ」ダニエル・ペナック
「片目のオオカミ」ダニエル・ペナック
「カモ少年と謎のペンフレンド」ダニエル・ペナック
「奔放な読書」ダニエル・ぺナック

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Commentaires(2)

四季さん、こんばんは。
マロセーヌシリーズの舞台、ベルヴィルも移民が多い街のようですが、
そうか、ダニエル・ペナック自身にも、そういう過去があるんですねえ。
ベルヴィルと言えば、大分前に「ベルヴィル・ランデブー」というアニメ
映画を深夜のテレビで見かけて、少し気になったんですが、絵柄が合わず
挫折しました。

こちらは本当に静かな作品でしたね。
うん、大人の童話でしたね~。
(すべてを読みとれたとはとても思えないのですが^_^;)

つなさん、こんにちは。
ねー、私もぺナック自身がそういう過去だったとは、びっくりです。
だからマロセーヌくんシリーズみたいな作品が出てきたのかーと納得しました。
そうだ、ベルヴィル・ランデブーというのもありましたね!
私も題名だけは聞いたことがあります。これはアニメだったんですかー。
アニメは絵柄によって好みが分かれますものね。
特に海外のは絵柄とか動きが独特なのが多いから…
あ、ベルヴィルってもしかして「美しい町」って意味ですか?!

この作品、子供でも読めますが、深い意味を汲み取るのはなかなか大変ですよね。
という私も全てを読み取れたとは思えないですが…
でもいい話ですよねえ。(しみじみ)

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