「ナレンブルク 運命に弄ばれた人々の城」A.シュティフター

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1836年。ある夏の日にペルニッツ川沿いのフィヒタウのロマンティックな森の渓谷を歩いていたハインリヒは、城の廃墟を発見します。それはローテンシュタイン城。かつて当主が、その城と財産を受け継ぐ者全員に、その生涯の事細かな自叙伝を書き保管室にきちんと整理し、それまでに書かれた自叙伝を全て読むことを義務付けたことで近隣に知られていました。しかし最後の当主がアフリカで射殺されてからというもの城を受け継ぐ者もなく、城は廃墟と化していたのです。ハインリヒはフィヒタウの旅館に逗留し、やがて旅館の娘・アンナと恋仲になります。そしてアンナと結婚するためには、まず地位と公職を手に入れなければと考えていました。

自然描写の美しさが魅力のシュティフターの作品。この作品も楽しみにしてたんですが...! これはちょっと訳がひどすぎました。多少自分とは合わない文章でも「ひどい」なんてまず言わない私ですが、これはひどいです。ちょっと前の「中国黄金殺人事件」(ロバート・ファン・フーリック)の「いまの彼女にはちょいと人好きする美しさが欠けてはいなかった。」系の訳。しかも誤植が多すぎ! この本は校正されてないんですかね?
もう、読んでても全然集中できませんでしたよー。自然描写の美しさどころか、ハインリヒとアンナのことも、ローテンシュタイン城のことも、かつて城にいた人々の物語もまるで楽しめず仕舞い。この本の解説は、原書にあったものをそのまま訳してるんだと思うんですが、ここに「「ナレンブルク」がシュティフターの創作力のもっともよく発揮されている作品の中に数えられているのは当然である」とあってびっくり。そんなにいい作品だったのか。でもこの日本語版では到底その良さは味わえないと思います。もっときちんとした日本語を書ける方が改めて訳して下さることを切望。(林道舎)


+既読のシュティフター作品の感想+
「水晶 他三篇 石さまざま」シュティフター
「森の小道・二人の姉妹」シュティフター
「晩夏」上下 シュティフター
「ナレンブルク 運命に弄ばれた人々の城」A.シュティフター
「石さまざま」上下 アーダルベルト・シュティフター
「森ゆく人」アーダルベルト・シュティフター
「書き込みのある樅の木」アーダルベルト・シュティフター

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