「時計じかけのオレンジ」アントニイ・バージェス

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近未来のイギリス。15歳の少年・アレックスは、3人の仲間ジョージー、ピート、ディムとともに「何か新しいものを」入れたミルクでハイになっては、夜の街でしたい放題の毎日。図書館から借りた学術書を大事そうに持って歩いている教授タイプの男性を襲って殴る蹴るの暴行を加え、本を破壊。続けて商店に強盗に入り、木の下にいたカップルを殴り、さらに「ホーム」と書かれた家に押し入って、夫の目の前で妻を強姦。押し入った時、その夫は「時計じかけのオレンジ」という題名の原稿を執筆しているところでした。しかしその後入ったバーで、女性客がオペラの一節を歌い始めたことが原因で、アレックスとディムの仲は険悪になるのです。次に盗みに入った家でアレックスは仲間たちに裏切られて警察につかまり、アレックスは14年の実刑判決を受けることに。

スタンリー・キューブリック監督が映画化したことでも有名な作品。中学の時に本を読んだつもりになってたんですけど... 今回読んでも内容を全然覚えてなかったので、読んでなかったのかも。(汗)
とにかくパワーのある作品。極悪非道なことを繰り返すアレックスもすごいんですが、文章に造語が沢山入っていて、それがまた一種独特な雰囲気なんですよね。仲間は「ドルーグ」、男の子は「マルチック」、男性は「チェロベック」、女の子は「シャープ」、若い女性は「デボーチカ」、おばあさんは「バブーチカ」。他にも「デング」「ハラショー」「スコリー」「モロコ」「ベスチ」... こういった言葉はロシア語にヒントを得ているのだそうです。そういった言葉が饒舌なアレックスの一人語りにふんだんに散りばめられているので、読み始めた時は鬱陶しくて! でも一旦慣れてしまったら、この一種独特な雰囲気にするりと入り込めちゃう。
まあ、色々とあるんですが、やっぱりポイントは、アレックスが実はクラシック好きだったというところですね。外でどれだけ暴力を振るっても、自室に戻ると自慢のステレオでモーツァルトのジュピター交響曲やバッハのブランデンブルク協奏曲を聴いてるんです。(そういう場面に、架空の音楽家や演奏者の名前がそ知らぬ顔で混ざってるのが可笑しい) その音楽好きが、アレックスと仲間の反目の原因になるわけで、後のルドビコ療法でも利いてくるわけで。そしてそのまた後には音楽の好みの変化もあったりして。

アメリカ版では出版社の意向で最終章が削られていて、キューブリックはそのアメリカ版を元に映画化したので、この本と映画とでは結末が違うのだそうです。本国イギリス及びヨーロッパでは、最終章もきちんと付いているそうですが。
そして日本語版では、「デボーチカ」や「デング」といった言葉には「おんな」とか「かね」とかルビが振られてますが、原書にはそういう配慮はないようですね。新井潤美さんの「不機嫌なメアリー・ポピンズ」に原文が紹介されてましたが、文章にいきなり見知らぬ単語が登場してました。だから読者は文脈から意味を汲み取るしかなくて、その解読で気を取られてしまい、暴力描写をあまり生々しく感じなくなるんだとか。まあ、日本語版でもいちいちルビを見るわけだから、読みやすくなってるとはいえ、その効果は多少あるのかも。でも映画ではそのものの場面が映されるわけで...。映画は観てませんが、序盤は相当衝撃的な場面になってるようですね。「不機嫌なメアリー・ポピンズ」を読むと、本と映画の違いが色々面白そうなんだけど... でもやっぱりちょっと観るのを躊躇っちゃうなあ。(ハヤカワepi文庫)

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Commentaires(4)

四季さんごぶさたしてマス。
これは映画で見ましたよ。ご想像の通り(?)ものすごい映画です(笑) けっして万人には向いていません。

映画ではアレックスはベートーベンマニアですね。
音楽はとても効果的だと思います。「第九」とか。音楽担当がウェンディー・カーロスという人で、シンセサイザーを使うはしりの人ですね。
いちばん有名なのは、「雨に唄えば」を口ずさみながら強姦するシーンでしょうか。さすがキューブリック、そこまでやりますね、、という作品ですね。

shosenさん、こんにちは!
お返事が遅くなってしまってごめんなさい~。
「時計じかけのオレンジ」、観てらっしゃるのですね。
そしてやはり、簡単にオススメできるような映画ではないのですね!(笑)
私はキューブリックの作品はあまり観てないのですが
「2001年宇宙の旅」ですら観てると怖くなるので、まず無理かと…
…って、全然タイプが違うし!
しかもなんで「2001年」が怖い?と思われそうですが。(笑)

ああ、映画ではベートーベンマニアでしたか。
原作でもベートーベンは出てましたが、どちらかというと「交響曲好き」という感じなんです。
ベートーベンに特化した方がきっと効果的でしょうね! それだけでも迫力ですね。

>「雨に唄えば」を口ずさみながら強姦するシーン
ひいいいい、そんなのがあるんですか。それはすごすぎます…
やっぱり観ない方が良さそうです…(汗)

はい、わたしも観ましたよ、高校生の頃に。
映画好きな友だちに誘われて、学校帰りに、なんの予備知識もなく。
ええ、トラウマです。w
雨に唄えばをほがらかな気持ちで聴くことができません。w

でも前半の残酷シーンより、後半の洗脳(?)シーンの方が強烈に印象に残っていますわ…。

とりあえず、映画とこの完全版とはラストが違うということで、読んでみたいと思ってます~。

ちょろいもさん、こんにちは~。
わわっ、予備知識が何もない状態で! それはツラい!
題名しか知らなかったら、SFなのかな~?とかその程度ですよね、普通。
いきなり連れて行っちゃうお友達もすごいなあ!(驚)

>雨に唄えばをほがらかな気持ちで聴くことができません。w

うわーん、それは悲しいですーっ。
洗脳シーンは、ちょっと見てみたい気もするんですけどね。
というか、映画の中の音楽の使い方見てみてみたいです。(除「雨に唄えば」)
ベートーベンなんて、ほんとハマりそうだなって思いますもん。
すごい迫力がありそうですね。

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