「夜のガスパール レンブラント、カロー風の幻想曲」アロイジウス・ベルトラン

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ある日ディジョンの火縄銃(アルクビューズ)公園のベンチに座っていた「私(ベルトラン)」は、貧困と苦悩を全身に纏ったような哀れな男に出会います。同じベンチに座って読書をしていたその男の本からひとひらの押し花が地面に落ち、「私」がそれを拾い上げて男に返したことがきっかけで、話し始めた2人。芸術を探し求め、そして見つけたという彼は、「私」にそのことを語り聞かせ、持っていた本を読むように渡して去っていきます。それは「夜のガスパール。レンブラント、カロー風の幻想曲」という本でした。

夭折した詩人・ベルトランの散文詩集。没後忘れられていたこの作品集はボードレールによって見出され、マラルメをはじめ多くの詩人に影響を与えることになったのだそう。ラヴェルのピアノ曲「夜のガスパール」も、ここからなんですよね。ラベルのこの「夜のガスパール」は「オンディーヌ」「絞首台(ジベ)」「スカルボ」の3曲。それぞれ同名の詩があるんです。このラヴェルの曲、弾くのがものすごーーく難しそう... 美しいけどちょっと薄気味悪いところもある曲です。

この本は、「神と愛とが芸術の第一の条件、芸術の中にある《感情》であるならば、--悪魔こそその第二の条件、芸術の中にある《思想》ではないでしょうか」と言う男が持っていた本「夜のガスパール」を、ベルトランが出版したという体裁。ガスパールとは、この本の中では悪魔の名とされていますが、元々はベツレヘムへ向かった東方の三博士の1人の名前から。(ちなみに3人の博士の名前はメルヒオール、ガスパール、バルタザール)
「フランドル派」「古きパリ」「夜とその魅惑」「年代記」「スペインとイタリア」「雑詠」という「夜のガスパールの幻想曲第一の書」から「第六の書」までと、「作者の草稿より抜粋したる断章」があって、1つの章につき収められている詩は10編前後。散文詩という物自体、私にはよく分からないままだったし、一読しただけではその魅力が十分分かったとも言えないんですけど、でも1つ1つじっくり読んでると、なかなかいいんです、これが。特に「夜とその魅惑」には、稲垣足穂の「一千一秒物語」を思い起こさせる雰囲気がありましたしね。ちょっと薄気味悪くて、でもちょっと楽しい感じ。

月が黒檀の櫛で髪を梳いていた。丘を、野原を、木々を、蛍の雨で銀色にしていた。(狂人)

しかし小人は、いななき逃げる私の魂にぶらさがり、白いたてがみから糸を紡ぐ、紡錘のように廻っていた。(小人)
そして私、--熱に錯乱し!--顔に皺寄せた月が、私に向かって舌をつき出している首吊り人のように見えた!(月の光)

これだけ抜き出してもワケ分かりませんが...。こういうの、結構好きだな。(岩波文庫)

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Commentaires(2)

四季さん、こんばんは。
「夜のガスパール」は、本当に超絶技巧の何曲ですね。
私もこの曲を弾けたらと思いつつ、自分のテクニックの無さを恨みつつ、もっぱら聴く方にまわっています。四季さんと一緒にチャレンジしてみたいですが・・(^^ゞ

このモニカアースのこのアルバムは良いですね。選曲も多彩で、大変楽しめます。それに、彼女のフランス人らしい上品な演奏!
「水の精」の清水のような爽やかで煌めく音色、「絞首台」の幻想の極み、「スカルボ」の白熱する音の緊張した輝き、こんなに多彩な音色が・・とため息が出ます。
他では、アルゲリッチの演奏も偏愛しているんです。(グラモフォンからの)

ワルツさん、こんにちは~。
「夜のガスパール」は、本当に難しそうな曲ですね。
楽譜を見たことはないんですけど、あの細かい音の連なりはーっ。
いえいえ、ワルツさんと一緒にチャレンジできたら本当に嬉しいんですけど!
私の場合は、もうテクニックに問題があるなんてレベルじゃなくて。いや、ほんとに。(涙)

モニカ・アースはドビュッシーで初めて聴いたんですけど、いいですね。
フランス人らしい演奏というのは、こういうものなんだなって思いました。
フランス人には生まれながらにラヴェルとかドビュッシーが弾ける血が流れてる…?なんて。(笑)
あ、アルゲリッチもいいんですか~。そちらは聴いたことがないんです。
また一味違うオンディーヌになりそうですね。もっと小悪魔的なイメージかしら~。
聴いてみたいです。教えて下さってありがとうございます。^^

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