「エンデュミオンと叡智の書」マシュー・スケルトン

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オックスフォード大学の聖ジェローム学寮のボドリアン図書館で母を待っていたブレーク。母は一学期契約の客員教授としてオックスフォードに来ており、ゲーテの「ファウスト」に関する論文を準備中。ブレークとその妹・ダックは図書館で長い時間を過ごすしかなかったのです。待ちくたびれたブレークが本棚の本を指の節で次々に叩いていると、1冊の本に反撃されたような気がして驚きます。本が猫のようにブレークの指をふざけてたたいて、ひょいと身を隠したように感じたのです。そこに並んでいるのは古くてもろい普通の本ばかり。しかし1冊の本が床に落ちていました。それは平凡な茶色の革装の本。母に叱られてあわてて本を拾い上げると、本はブレークの手の中でほんの少し動き、本を開くとページが僅かに揺れ動きます。その本の表紙には「エンデュミオン・スプリング」というタイトルがありました。しかし本の中には何も書かれてはいなかったのです。

現代のオックスフォードの図書館が舞台となるブレークという少年の話と、15世紀、グーテンベルクが活版印刷を発明した頃のドイツのマインツを舞台にしたエンデュミオン・スプリングの物語が交互に進んでいきます。15世紀の話の方には、グーテンベルクを始め、グーテンベルクの弟子となったペーター・シェーファー、ゲーテの「ファウスト」のモデルになったとも言われるヨハン・フストなど歴史上の人物が登場。世界初の印刷物「四十二行聖書(グーテンベルク聖書)」が作られようとしている時代。そしてその時代にいたエンデュミオン・スプリングという少年の冒険が現代のオックスフォードの図書館にいるブレークの冒険に繋がっていくんです。ブレークが見つけたエンデュミオン・スプリングの本は、選ばれた者しかそこに書かれた文字を読むことができないという空白の本。
オックスフォードの図書館が舞台と聞いたら、読んでみずにはいられなかったんだけど... うーん、イマイチだったかな。設定は面白いと思うし、現代のオックスフォードの図書館が出てくれば楽しいし、グーテンベルクへの歴史的な興味もあって、途中までは面白く読めたんですけど... 肝心の登場人物がイマイチ。ブレークの妹のダックはとても聡明で、オックスフォードの教授陣を感心させるほどなのに、肝心のブレークは全然冴えない少年なんですよね。ダックにも馬鹿にされっぱなしだし、2人の母親は自分のことに夢中で、「行儀良くしなさい」「妹の面倒をみなさい」ばかり。こういうの、あまり楽しくないです。それに最後の詰めが甘すぎる! 悪役との対決もイマイチだったし、結局エンデュミオンの本は何だったっていうのよ? って感じで終わっちゃいました。
最近母がファンタジーに凝ってて、比較的新しいファンタジー作品がどんどん手元に回ってくるんだけど、どれもこれももひとつ物足りないまま終わってしまって困っちゃうなあ...。(新潮文庫)

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Commentaires(2)

こんにちは。

やっぱり物足りないですよね。
誰にも感情移入できないから、読み終わるのにとても時間がかかった本です。
寝食を忘れてしまうようなファンタジーに出会いたいです。

きゃろるさん、こんにちは!
やっぱりきゃろるさんも物足りなく思われましたかー。
せめてもうちょっとだけでも、登場人物に魅力があれば…
設定はすごくいいのに、なんだか勿体ないなあって思っちゃいました。

寝食を忘れるようなファンタジー、ほんと出会いたいですよね。
最近のファンタジーだとなかなか難しいかもって思い始めてますが…。

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