「駆け出し魔法使いとはじまりの本」ダイアン・デュエイン

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土曜日の夕方、いじめっこのジョアンたちに追いかけられていた13歳のニータは、咄嗟にいつも通っている図書館に逃げ込みます。顔馴染みの司書に地下の児童室に行っておくようにと言われたニータは、大好きな本たちを眺めながら本棚と本棚の間をぶらぶらと歩き回ってるうちに、見覚えのない本を見つけて驚きます。それは「魔法使いになるには」というタイトルの本。誰かのジョークだとしか思えないニータでしたが、その中に書かれていることは、いたって大真面目な様子。ニータは夢中になってその本を読み始めます。

図書館で見つけた本がきっかけで、魔法使いになってしまうという物語。どうやら以前他の出版社から「魔法使い(ウィザード)になる方法」という題名で刊行されて絶版になっていた本が、新訳となって再登場したみたいですね。

図書館にあった「魔法使いになるには」というタイトルの本は、魔法使いの資質がある人にはきちんと書いた人間の意図通りに見えているけれど、そうでない人には別のものに見えているという設定。シャンナ・スウェンドソンの「Don't Hex with Texas」にも同じような設定があったなあ、なんて思ったんですけど、こっちの方が先です。(最後の方でハリー・ポッターを思い出すシーンがあったんですけど、それもこっちの方が先・笑) この「魔法使いになるには」という本、魔法使いの素質がない人にはどんな本に見えてるんでしょうね。図書館の司書の目には普通の本に見えていたはず。ニータの妹のデリーは、キッチンに置き忘れていた本を部屋に持って来て「手品師にでもなるつもり?」なんて言ってるんですけど、普通の人には「手品師になるには」って本に見えるのかな?
この「魔法使いになるには」の本の引用もなかなか楽しいんです。にやりとしてしまったのは、「魔法使いは言葉に愛着を抱く。たいていの魔法使いは活字中毒だ。実際、魔法使いの素質を持つ者に現れる強い徴候として、なにかを読まずして寝つくことができないという点があげられる」というくだり。あと「歴史、哲学、<魔法使いの誓約>」の章で<力ある者><素質ある者>、そして<孤高なる者>について語られている辺りも面白かったし。「この物語は形を変え、数多くの世界で語り継がれている」って、確かにね。聖書だけでなく、いくつもの異世界ファンタジーにもなってるはずですもん。(笑) そしてこの本に書かれている情報が時と場合に応じて変化していくらしいのも、いかにも魔法使いの本らしくていい感じ。ニータはまず植物と話ができるようになるんですが、ナナカマドと会話する辺りも好きだったし。

物語そのものは、もうちょっと整理できたんじゃないかという気もしたんですが... ちょっと読みにくいところがあって、何度も前に戻って読み直したりしてしまったんですが、ニータも、仲間になるキットという少年も微笑ましいし、一緒に活躍するホワイトホール(?!)のフレッドも愛嬌たっぷり。
ニータの本は図書館の本だから返さなくちゃいけないんだけど、この冒険の後どうしたのかしら? この話はシリーズ物になってて、来年には続きが刊行されるようなので、またその辺りも書かれてるんでしょうね。絶賛ってほどじゃないんだけど、なかなか可愛らしかったので、もう少し付き合ってみるかなー。(創元推理文庫)


+シリーズ既刊の感想+
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「駆け出し魔法使いと海の呪文」ダイアン・デュエイン

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四季さん、こんにちは、ご無沙汰しています。YO-SHIです。

この本は、ちょっと前に読みました。粗い感じがする部分もありましたが、
面白く読みました。ホワイトホールが連れになるなんて、どうやったら
思いつくのでしょう?

「たいていの魔法使いは活字中毒だ。」のところはニンマリしました。
だからと言って「活字中毒な人は魔法使いになれる」わけではないのですが、
本読みな私としてはちょっとうれしかったりして。
あ、でも、いい加減な気持ちで魔法使いになってはいけないんでしたね。
 

YO-SHIさん、こんにちは!
書き込みはしておりませんが、
ブログはちょこちょこと拝見させていただいてますよ~。
YO-SHIさんも、この本読んでらしたのですね。
そうそう、ホワイトホールというのがすごいですよね!
普通のファンタジーかと思いきや、物理系の言葉がぽんぽんと
登場してるのも個性的で面白いところでしたよね。

あ、やっぱりあそこでニンマリされましたか。
この本を読んでいる人は、かなりの本好きだという前提で出てきた
言葉なんだろうなと思いつつ… 上手いですよね。(笑)
ダイアン・デュエイン自身がきっと相当の本好きなんでしょうね!
図書館にもよく通って、ニータみたいな女の子だったのかも。
そういうところも好印象でした。

こんにちはー。
私も「活字中毒」のところでは嬉しくなりましたよ~。
ニータの児童書を全て読み干した、なんてエピソードも本好きならありそうで、きっと作者の体験からきてるんでしょうね。
隠れ家的な図書館がとても素敵で羨ましくなりました。
私も毎日通っちゃいそうです(笑)

fumikaさん、こんにちは~。
児童室の本を全部読みつくした、なんて絶対作者の体験ですよね!
何冊ぐらい入ってるのか分かりませんが、すごいですよねえ。
私も図書館は大好きでよく通っていたけど
端から端まで全部読みつくしたいと思ったことはなかったかも…。(笑)
普通の家を改造した図書館だし、きっと居心地の良い場所なんでしょうね~。
ほんと羨ましくなっちゃいますよね。^^

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