「ソルトマーシュの殺人」グラディス・ミッチェル

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ノエルは、ソルトマーシュ村の副牧師を務める青年。牧師のクーツさん夫妻はあまり好きではないものの、彼らの姪のダフニと甥のウィリアムは気に入っているし、特にダフニとは恋仲。クーツ家でなかなか居心地の良い日々を送っていました。しかしクーツ牧師の家でメイドをしていたメグ・トスティックに子供ができたことから、クーツ家は大騒ぎとなります。破廉恥な行いが大嫌いなクーツ夫人によってメグは首となり、村の宿屋に滞在して出産を待つことに。メグの恋人は、宿屋のバーテンダー兼用心棒のボブ・キャンディ。しかし赤ん坊の父親はボブではなかったのです。メグは誰が父親なのか頑として口を割ろうとしないどころか、出産後、誰もメグにもその赤ん坊にも会うことができず、村では噂が飛び交います。そんな折、この土地の領主であるサー・ウィリアムの家にミセス・ブラッドリーという小柄で痩せた、眼光の鋭い女性が滞在することになって...

ミセス・ブラッドリーという精神分析医の女性が探偵役を務めるミステリ。でもこれが普通の探偵役とは全然違ーう! このミセス・ブラッドリー、声は綺麗らしいんですが、その外見描写は散々なんですよね。「小柄で、痩せていて、しわくちゃで、顔は黄ばみ、魔女を思わせる黒い目は眼光が鋭く、猛禽の鉤爪のような黄色い手をしていた」とか「トカゲ、というか、鱗に覆われた先史時代の爬虫類みたいで、甲高い、きーきーいう笑い声を聞くと、思わず飛び上がってしまう」とか... ワトスン役のノエル青年も始終ぎょっとさせられてるし、とにかく「胡散臭い」「変人」というのが第一印象。しかも物語自体も一筋縄ではいきません。何が何やらよく分からないうちに事件が起こっていて、気が付けばこのエキセントリックなミセス・ブラッドリーがノエル青年を従えて捜査に乗り出してるし。
とにかく、これまであまり読んだことのないような雰囲気。しかも物語自体に何やら妙な歪みのようなものがあるなあ、なんて思ってたんですが、訳者あとがきに「この作者はわざと強弱の付け方を逆にしてオフビートな世界を創り出しているのだ。グラディス・ミッチェルの面白さとは、盛り上がるべきところで盛り上がらず、本来なら盛り上がるはずのないところで、突如、盛り上がったりする面白さなのである。」と書かれているのを見て納得。そうか、そうだったのか。やっぱりそれがグラディス・ミッチェルの魅力だったんですね。でもやっぱり強烈ですよ、ミセス・ブラッドリーって。もしやグラディス・ミッチェル自身がミセス・ブラッドリーのような女性だった...? なんて思いたくなっちゃう。(笑)
これは慣れれば慣れるほどクセになるかもしれないです... という私も一読した時よりも、感想を書こうと思ってぱらぱらと読み返してた時の方が面白くてハマってしまって、結局また読み直してしまったし。最初に読んだ時はほんと「ワケ分からん」状態だったんですが、後から読み返してみると「そういう意味だったのか!」という文章や会話がいっぱいあって、なんだか作者にいいようにしてやられてしまったみたいです。これはシリーズの他の作品もぜひ読んでみようと思います~。(国書刊行会)

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Commentaires(4)

四季さん、こんばんはー。
ストックが溜まっていたのかしら。年始から怒涛の更新ですね!
追い切れません…。笑

ミセス・ブラッドリー、楽しまれたようで良かったです(ほっ)。
ねー、なんか奇天烈なキャラクターですよね。
探偵ものにも色々あるけど、特に女性でこんなキャラは珍しいように思います。
好きかとか親近感を抱くかといわれると、そういうんじゃないけど、怖いもの見たさについ
横目で見てしまうというか。笑

ほんと、グラディス・ミッチェル自身がこういう人だったのかもしれませんね。
食えない感じですよねえ。

四季さんのほかの作品の記事も楽しみです♪
私もまたぼちぼち読んでみようかなぁ。

つなさん、こんにちはー。
あー、ごめんなさいー、私自身追いついてません。(笑)
年末年始に全然感想を書いてなかったので、なんだか溜まってしまって
ここ2~3日で、日付を遡って一気にアップしてしまったんですが
ダメですね、一気に書こうとすると。
忘れないうちに何か書いておかなくちゃーっ、と気は焦るのだけど
どれも推敲不足で、後から読み返すと「???」な文章になってます。^^;

それにしても! ミセス・ブラッドリーって、ほんと面白いキャラですね。
彼女が探偵だってあらかじめ知ってなかったら
これもまたミスリーディングの1つだと思ったかもしれません。(笑)
そうそう、怖いもの見たさ! その表現がぴったりですね。^^
作品自体も、感想に書いたように妙な歪みみたいなのがあって
ちょっとクセになる感じだし~。

次こそは「ウォンドルズ・パーヴァの謎」を読もうと思ってます。
でもね、うちの地元の図書館、あとこれだけしかないんですよー。
「踊るドルイド」なんて、題名からしてものすごく気になるんだけど!
入れてくれないかしらー。(笑)

四季さん、こんばんは。
おお、次は「ウォンドルズ~」なのですね!
うちの図書館と四季さんとこがかぶるのは、どうも「ウォンドルズ~」だけみたいです。
私も「ソルトマーシュ」が読みたいのになぁ。
というわけで、「踊るドルイド」、図書館で予約してみました。
こちらは、わたくしめが担当(?)いたしましょう。
ドルイド教とかもそんなに詳しくないので、面白さをきちんと堪能できるか不安ではありますが…。

図書館の蔵書ってちょっと不思議ですー。
うちの図書館、マロセーヌシリーズの二作目だけが入ってないしなぁ。笑
自分で買いなさい、と言われればそうなんだけど、同じ著者の同じシリーズは、一旦入れ始めたら、
全部入れておいてほしいですよね。

つなさん、こんにちは~。
おお、では「ドルイド」はつなさんにお任せしてしまいましょう。
でもほんと気になります、この題名。どんな感じなんでしょうね。
神秘的な感じになるか、とっても胡散臭くなるか、それとも…?(笑)
うちの地元の図書館に入ってないのがクヤシイですーっ。

ほんと、同じ著者の同じシリーズは揃えて欲しいですよね。
マロセーヌシリーズの2作目だけが抜けてるなんて、すごーく不思議。
グラディス・ミッチェルの場合は、ちょっと仕方ないかなあとも思うんですけどね。
だってこの「ソルトマーシュ」は国書刊行会、「ウォンドルズ」は河出書房新社、
「踊るドルイド」は原書房、「月が昇るとき」は晶文社、
「ワトスンの選択」に至っては、長崎出版ですって!(笑)
こうなると、選書した人にシリーズ物という認識があったのかどうかも不明…
図書館以前に、同じシリーズは同じ出版社から出して欲しいですー。(笑)

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