「オレンジだけが果物じゃない」ジャネット・ウィンターソン

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格闘技を観るのが好きな父と、格闘するのが好きな母。母にとっては全てが敵か味方か二つにひとつ。そして「私」は、普通のやり方で子供を授かることに不満だった母が、孤児院から貰ってきた子供。母とタッグを組んで「自分たち以外のすべてのもの」と闘うために、この家に連れてこられたのです。「私」は狂信的な母によって宗教的な教育を受け、異教徒たちと日々戦うことになります。

先日読んだ「さくらんぼの性は」がとっても面白かったジャネット・ウィンターソン。これは彼女の自伝的な作品なのだそう。主人公の名前も「ジャネット」です。
ここに登場する母親は狂信的なキリスト教の一派の信者。新約聖書ではなく旧約聖書ばかり読んでるというところも、通常のキリスト教の信者とはかなり違う感じ。そんな母親にジャネットは徹底的に宗教教育されることになります。読み書きを習うのも旧約聖書を使って。だから小学校に入った時には、周囲から完全に浮き上がってしまうんですね。真に迫った様子で地獄の話をしてクラスメートを怖がらせてみたり、家庭科の時間も、みんながふわふわした羊なんかを刺繍してるのに、1人地獄をモチーフに黒一色で刺繍をしてみたり。それでもジャネットは母親と教会を100%信頼してるし、先生にも、自分に理解できないものだからって、価値がないと決めつけるの間違いですなんて反論してます。
でもある出来事がきっかけで、自我に目覚めて、全ての物事を自分の目で見つめなおすようになるんです。ま、思春期ですしね。それまで信頼してた親の言動に疑問を持つようになるというのは、ごく普通のことなんですが。ジャネットの家がちょっと極端だっただけで。...とは言っても、やっぱりここの家はスゴイのだけど。(笑)

最後はどうやらすっかり元の鞘に収まってしまったようで、それが少し不思議だったんですが... でもこんなものなのかな。狂信的な信者だったというのが問題なだけで、母親はジャネットのことをきちんと愛情を持って育てていたわけですしね。これが家族の絆なのかな。しばらく合わない間に「果物といえばオレンジ」だった母親は「オレンジだけが果物じゃないってことよ」になってたんですけど... でも実は何も変わってなくて。そんな母親をコミカルにシニカルに描写しているのが、さっぱりとしてていい感じです。
本筋も面白かったんだけど、それ以上に(?)面白いのが時折挿入される寓話。これがその時々のジャネットの心情を現してるんです。こういうのがジャネット・ウィンターソンらしさなんだろうな。こういうの好き好き♪(国書刊行会)


+既読のジャネット・ウィンターソン作品の感想+
「さくらんぼの性は」ジャネット・ウィンターソン
「オレンジだけが果物じゃない」ジャネット・ウィンターソン

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