「タイコたたきの夢」ライナー・チムニク

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むかしむかしのある日のこと、大きなもりの中にぽつんとある町の通りを、1人のせむし男がタイコをたたきながねり歩き、さけびだします。「ゆこう どこかにあるはすだ もっとよいくに よいくらし!」 町の人々はその男を牢屋にとじこめようとします。しかし町をくまなくしらべてみても、どこにもその男はいないのです。その夜、ひとりの老人がタイコを持っているのを見つかり、牢屋にとじこめられてしまいます。人ちがいだと言っても、だれも聞いてくれません。そしてあくる朝、またしても同じようにさけぶ声が。老人と牢番が一緒にタイコをたたきながら、同じようにさけんでいたのです。

たった1人が叫んだ「ゆこう どこかにあるはすだ もっとよいくに よいくらし!」 という言葉。最初は1人だったのが2人となり、8人になり、見る見るうちにもっと増えて、あっちでもこっちでも人々がタイコをたたき始めます。それは水滴が集まって水となり、やがては川となって勢い良く流れていくような感じ。読んでいる私まで、その奔流に飲み込まれてしまいそうになります。1つの町で始まった行進は、他の町も巻き込んでどんどん勢いを増して、しまいにはものすごい大きさに。まるでレミングの行進みたい。でも可笑しいんだけど、笑うに笑えない...。何があってもあくまでも前進してゆく人々の姿が、痛々しく見えて仕方ありません。それだけにすごく印象に残るんですけどね。これは何を意味しているのだろうと思いながら読んでいたら、最後にライナー・チムニクの紹介が。1930年にポーランドに生まれ、ミュンヘン在住の作家さんだと分かって、深く納得。
グレー地に、ライナー・チムニクが自ら描いたという細いペン描きの絵があって、とてもシックでお洒落な本です。絵もすっごく可愛い! ちょっと細かいんだけど、味わいがある絵なんですよね。そして矢川澄子さんの訳がやっぱり素敵。「ゆこう どこかにあるはすだ もっとよいくに よいくらし!」 ...このリズム感がいいんですよね。(パロル舎)

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Commentaires(4)

こちらには初めておじゃまします~^^
わあ~、四季さん「タイコたたきの夢」読まれたんですね!
この本は私まだ読んでいなくて、いまの図書館本が落ち着いたら予約したいなと思っています♪
チムニクの本って、極細ペンでかかれた絵がとっても雰囲気あってステキですよね~・・・そしてうっとりするほどの矢川さんの訳・・・
ああ、なんだかいますぐ堪能したくなってきちゃった!^^

わあ、ことりさん、ようこそいらっしゃいませ~。
そうなんですよー、 チムニクの本!
以前矢川さんの訳の本をチェックしてた時、チムニクが色々あったので
その時から読みたいなと思ってたんですが、ようやく読めました。^^
ほんとこの絵は素敵ですね~。本そのものも、とてもお洒落だし♪
パロル舎っていい感じの本が多いですよね。
で、次は「クレーン男」を読みたいなと思ってるんですよ~。
ことりさんは、去年読んでらっしゃるんですよね。楽しみです。^^

「ゆこう どこかにあるはすだ もっとよいくに よいくらし!」
確かにいい語感ですね。
かわいい中にも力強さがあって。
 ここではないどこか、というところが問題ですけれど^^
でも、これくらい明るい感じで日本も進んで行ってくれたらいいんですけれどね〜。現状が暗すぎるからこれくらいの明るさでかわいくいって明るくなってくれたら、、、あ、でも絵本的にはかわいそうなオチがつきそうですね^^

樽井さん、こんにちは~。
ねね、いいですよね。そのままスローガンに出来そうな感じ。
矢川澄子さんの翻訳って、やっぱりいいなあって思います。
でもそうなんですよ、「ここではないどこか」が問題なんですよね。
この明るさと力強さで自分たちで作ろうという気になってくれれば、怖いものなしなのに。(笑)
うん、今の日本に必要なのは、この明るさと力強さなのかもしれないですね。
でもって、「どこかに」じゃなくて、もっと自分たちで作ろうって感じで。^^

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