「血染めの部屋 大人のための幻想童話」アンジェラ・カーター

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貧しい家に育ち、音楽学校でピアノを学んだ17歳の「わたし」は、フランス一の金持ちである「彼」に求婚され、結婚。寝台車で彼の城へと向かうのですが... という表題作他全10編の短編集。

「青髭」や「美女と野獣」、「長靴をはいた猫」「白雪姫」「赤ずきん」などの童話、ドラキュラや狼人間といった伝説をアンジェラ・カーターが現代の物語として語りなおした幻想童話集。七生子さんにものすごく良かった!と伺ってたし、タニス・リーの「血のごとく赤く 幻想童話集」(感想)も大好きだったので、楽しみにしてた本です。
で、読んでみて。どの作品もエロティックで陰鬱な空気が漂っていて、甘美な毒とでもいった感じでしょうか。すごく素敵でした~。「大人のための」という言葉がぴったり。血の赤と雪の白、烏の黒という色合いが「雪の子」という作品に出てくるんですけど、読んでいると、この3色がどの作品でもとても鮮やかに浮かび上がってきます。タニス・リーの「血のごとく赤く」でも、この3色の印象が強いんですけど... まあ「白雪姫」の色と言ってしまえばそれまでなんですけど... 童話における三原色なのでしょうか?(笑)

「美女と野獣」が、「野獣の求愛」「虎の花嫁」という2つのある意味正反対な物語になっているのも面白いし、狼三部作なんかもとても濃くて面白かったのだけど、私にとって一番印象が強かったのは、やっぱり表題作の「血染めの部屋」かしら。これは「青髭」を語りなおしたものです。青髭と結婚するのは、音楽学校(コンセルヴァトワール)に通っていた17歳の少女。ギロチンが首に当たる位置と丁度重なる血のようにルビーの首飾り、夫である侯爵のエロティックな版画のコレクション、夥しい白い百合が飾られている寝室、寝室の12枚の鏡、微妙に調律が狂っているベックスタイン・ピアノ... この物語全編を通して音楽が聞こえてくるのも嬉しいところなんですよね。これまでに3度結婚しているという青髭の最初の妻は、主人公も少女の頃にオペラでイゾルデを歌っているのを見たことがあるというプリマドンナ。結婚前に2人で出かけたのも「トリスタンとイゾルデ」。そして普段はドビュッシーの前奏曲やエチュードを弾いてる主人公なんですけど、見てはいけないものを見てしまった動揺をおさめるために弾くのはバッハの平均律クラヴィーア。そんな音楽の使い方もすごく効果的だと思います。主人公の造形描写に一役買ってますしね。意外性のある(でもちゃんと伏線がある)ラストも良かったな。(ちくま文庫)


+既読のアンジェラ・カーター作品の感想+
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